新築のお家を立てて、お庭で、菜園や園芸を楽しみたい!と言う方も多いのではないでしょうか。また、お子様に、自宅で採れた安心安全な新鮮な野菜を食べさせたいとお考えの方もいると思います。
では、菜園を楽しむには、土はそのままでいいの?うまく育つの?と疑問に思われると思います。野菜栽培では、土作りが最も重要になります。
今回は、新しいお庭で野菜栽培を始める基本の土作りについて、ご紹介して行きたいと思います。
土の準備、土を耕す
新築の住宅のお庭の土は、通常は粘土質の固い土が使用されている事が殆どです。住宅地の土ですから、ふかふかの畑の土が入っている事はまずありません。野菜栽培を始めるには、まず、土の準備をする必要があります。
まず、菜園を行う場所を決めます。場所を決めたら、その土を掘り返します。ショベルや鍬を使って行います。その際、土の中の石やゴミなどは取り除きます。そして、小石が通る程度の土フルイを使って、土をふるいます。石がたくさん残っていると、植物が根を張る妨げになる事があるので、可能な限り取り除きます。また、耕すのが浅いと、ダイコンなどは股根と言って二股になってしまう事があるので、可能な限り深く掘り起こしましょう。
土作り、土壌改良
土を掘り起しフルイ通しをしたら、いよいよ菜園が出来る土にするための土作りです。掘り起こしても、そのままではいずれカチカチの元の土に戻ってしまいます。菜園を行うには、野菜が育つための土に改良する必要があります。
その為に、「堆肥」、「肥料」、「石灰」などを使って土壌改良を行って行きます。土作りは、野菜栽培の基本です。いくら良い苗を植えたり、良い肥料を使っても、土作りができていないと、野菜は育ちません。
それでは、まず最初に行う事として、「堆肥」を土に施します。「堆肥」には、動物性の堆肥と植物性の堆肥があります。「堆肥」を入れる事で、土の「団粒化」を促進し、野菜栽培に適した土へと変化して行きます。
- 「団粒化」とは・・・土の団粒構造の事で、土の粒子が小粒の集合体になっている事です。粒状の大小の粒子になっている事で、隙間が適度に出来ている状態で、通気性、排水性に優れ、有用微生物が多く繁殖するようになり、有用微生物により団粒化が促進され、植物の栽培に適した土の構造になっている事です。
「堆肥」を入れる事で、土の団粒化に繋がり、植物が良く育つ土に変えてくれる。有用微生物も増えていくので、必要不可欠なものという事です。
まず使用するのは、動物性の堆肥として「牛糞」を使用します。「牛糞」を使用する事で、排水性、保水性、肥効(肥料の効果)が良くなります。使用する量としては、40Lで販売されている物が多いです。新築の場合で有れば、1㎡あたり2袋~3袋以上、多目に入れる事をおすすめします。使用する「牛糞」は、「完熟牛糞」を使用すると失敗がありません。醗酵が不十分な「牛糞」を使ってしまうと、土の中で醗酵が始まり、地温が上がり、野菜が枯れてしまうと言う場合もあるので注意して下さい。
続いて使用するのは、植物性の堆肥として「バーク堆肥」を使用します。「バーク堆肥」は、木の皮を醗酵させたものです。木の皮の様々な大きさの塊があるので、土に入れる事で水の流れ道を作ってくれるので、重要な役割をしてくれます。使用する量としては1㎡で40Lを1袋ですが、初めての場合は2倍程度施して下さい。「牛糞」7割「バーク堆肥」3割を目安とします。
「堆肥」をそんなに施すのは大変と言う方には、「農業屋腐植プラス」がおすすめです。使用量は、1,000㎡で、60㎏~120㎏ 1㎡あたり、60g~120gです。土壌に必要な「腐植酸」が、一般的な堆肥の25倍強含まれているため、少量で効果を発揮します。栽培を続けて行く上で、「連作障害」などが起こる場合がありますが、それは、土の中の「腐植酸」が不足して起こる事が考えられます。「腐植酸」は、栽培の過程で、消耗していきますので、「腐植プラス」を施す事で、土壌環境の改善に繋がります。
土作り、肥料
続いては、肥料を紹介して行きます。
肥料は、植物が成長していく上で必要な要素になります。「堆肥」を使ってしっかりと植物のお家を作り、「肥料」(人間で言う食事)を与える事で、成長して行きます。「肥料」も栽培の基本となります。肥料と言っても様々な肥料が売られていますが、今回は、安心安全をキーワードに、「有機肥料」を紹介して行きます。
- 鶏糞・・・ 堆肥にも分類されますが、肥料分が多いです。鶏糞は、完全醗酵していないと、土の中で醗酵する事があるので、すぐに植えるのはなく、土作りの段階で施します。価格が安いのがメリットです。
- ぼかし肥料・・・ ぼかし肥料は、様々な種類があります。おすすめは、「匠のぼかし」です!魚粕、魚骨、加工家きんふん、苦土を原料につくられ、完全醗酵ですので追肥でも使用する事が出来ます。植物の旨味を引き出す有機物100%で作られているので、美味しい野菜を安心安全に育てられます。
- 油粕・・・ 名前の通り油を作り際の残りの部分で、窒素肥料を多く含み、昔から使われている代表的な肥料です。油粕単体では肥料分が少なくなるため、「骨粉」「リン酸肥料」と併用して使用する事が多いです。骨粉が配合された「骨粉入り油粕」もありますよ。
油粕も土に入れる際は、醗酵が起こるので、土作りの段階で早めに施します。園芸用などでは、「醗酵油粕」もありますよ。
そして「堆肥」と「肥料」をしっかりと混ぜて2~3週間ほどおけば、お庭の畑は完成となります。
土の酸度調整、石灰
土が出来上がったら、土の酸度を図ってみましょう。初めての土では、土壌の酸度がどうなっているのか分からないため、栽培に失敗すると言う事もあります。種播きや苗の植え付けをする前に、育てたい野菜に向いた土壌酸度に整えておきます。
土壌酸度は、pHで示されます。pH7が中性となります。それより数字が高いとアルカリ性、低いと酸性となります。日本では酸性雨の影響で、酸性になっている事が自然の中では多いです。野菜を栽培する場合、多くは弱酸性pH5~6を好みます。そこで、土作りをした所のpHを測ります。新築の庭の土の場合、酸性がきつい事が考えられるので、しっかり測定して土壌酸度を調整して行きます。
土壌酸度は、「土壌酸度計」というものが販売されているので、手軽に測る事が出来ます。計測した結果で、「中性~ややアルカリ」程度であれば問題ありませんが、pH8以上などの強アルカリになっている場合は、「ピートモス」を土に入れて酸性にして行きます。ピートモスは、土壌改良材としても利用されています。もし、pH5以下などの強酸性の場合は、アルカリ成分を入れて弱酸性に近づける必要があるので、「石灰」を入れます。「石灰」はいくつか種類があるので、紹介します。
- 『消石灰』・・・ 消石灰はアルカリ性が強く、石灰の中では一番強く酸性を中和し、土壌の消毒にもなります。強いため、使用するときは2週間は作物を植えないようにしましょう。
- 『苦土石灰』・・・ 苦土石灰は、消石灰に比べるとアルカリ性は弱いですが、苦土石灰にはカルシウムとマグネシウムが含まれているので、栄養補給にもなります。
『消石灰』『苦土石灰』ともに、粉状のものと粒状のものがあります。粒状は、風の影響も受けづらいので、使用しやすいですよ。
- 『有機石灰』・・・ 有機石灰は、カキ殻、卵殻などでできています。アルカリ性は弱いですが、植え付け時に使用する事が出来ます。また、植付後に酸性を中和する場合でも使用できますよ。
5.まとめ
新しく菜園を始める土作りから土壌酸度までのご紹介でした。
冒頭でも触れましたが、土作りは菜園の基本となり、最も重要なことです。野菜がすくすく元気に育つための環境作りとして、堆肥により土壌改良、石灰などによる土壌酸度調整で「土作り」をしっかり行い、安心安全で美味しい野菜を収穫する為、「有機肥料」を使ってみましょう。あとは、どんな野菜を育てるか考えるのも楽しみですね。