家庭菜園やガーデニングで定番の野菜、トマト。地植えでもプランターでも育てやすいことで人気ですが、害虫の被害に悩む人も多いといわれています。
今回は、トマトに発生しやすい害虫の種類とともに、食害のサインなどもまとめました。被害について知ることで、大事なトマトが被害にあうのを防げますよ。
目次
トマトの害虫!オオタバコガとタバコガの生態
トマトやミニトマトにつく害虫のなかでも、代表的なのがオオタバコガとタバコガです。
この2種類の虫はタバコガという仲間ではありますが、微妙に違います。
<タバコガとオオタバコガの生態の違い>
タバコガ | オオタバコガ | |
幼虫時の体長 | 35〜40mm | 35〜40mm |
幼虫時の体色 | 淡緑色、緑褐色、黄褐色 | 淡緑色、緑褐色、黄褐色 |
成虫の体長(翅の開長時) | 15mm(30mm) | 15〜20mm(35〜40mm) |
成虫の体色 | 黄褐色 | 緑灰色~黄褐色 |
寄生植物(トマト以外) | イチゴ、ナス、大根、オクラなど | タバコ、ホオズキ、トウガラシなど |
タバコガとオオタバコガは、サイズも体色もほぼ同じため、見分けるのが困難です。
成長し成虫になったときに、体色で緑がかった色を見つけた場合は、オオタバコガである可能性が高いと覚えておきましょう。
オオタバコガとタバコガの発生時期
オオタバコガとタバコガは、どちらも高温で乾燥する環境を好み、6月〜10月が発生時期です。オオタバコガのほうが若干活動期間が長く、11月まで見られることもあるようです。
成虫が植物の葉や蕾に飛来し、1匹につきオオタバコガは1000〜2000個、タバコガは500〜600個産むといわれています。
風通しの悪い環境を好み、雑草のなかで繁殖するので、トマト周辺の草花の手入れを怠らないようにしましょう。
トマトの害虫発生サイン
トマトに病害虫が発生すると、さまざまな症状があらわれます。症状を見てどの害虫の仕業なのかがわかれば、害虫駆除がスムーズにいきますよね。
ここでは、トマトにあらわれるサインと、害虫の種類について解説します。
トマトの果実に穴が空く
菜園のプチトマトに穴が空いているのを発見したら、犯人はタバコガの幼虫だと考えられます。タバコガは、青虫時代に植物の果実や茎に頭から潜り込み食害を及ぼすのが特徴です。
タバコガに食害されたトマトの果実は、ぽっかりと穴が空き、収穫不可能となってしまいます。
トマトの葉に白い筋がある
トマトの葉に、病気にかかったような白い筋があるのを見つけたら、トマトハモグリバエの幼虫が原因でしょう。
トマトハモグリバエは、成虫になると口からストロー状の管を出し、果実や葉から栄養を吸汁します。しかし、幼虫時代は葉の表面に潜り込み、トンネルを進むように食べて行くのが特徴です。
トマトハモグリバエの幼虫が食べたあとは、葉に白い線が残るため、別名「えかきむし」とも呼ばれています。
トマトの青実に小さな陥没がある
トマトの果実がまだ熟す前、青い状態のときに陥没が見られたら、それはアザミウマの仕業です。アザミウマは、体長約2mmほどの小さな虫で、口からストローのような細い管を出して作物の果実を吸汁します。
吸汁された果実は水分量が減り、形がイビツになってしまいます。イビツな形の植物は収穫できないため、家庭菜園はもちろん栽培のプロである農家にも大打撃を与える害虫です。
トマトの葉の裏に小さい粒がついてる
毎日の管理作業中、トマトの葉の裏に小さな粒がついているのを発見したら、アブラムシやタバココナジラミという害虫の仕業を疑いましょう。
2種類とも、サイズは1mmほど。サイズの小ささから、この2種類が葉の裏に集団発生すると粒のように見えます。
成虫、幼虫とも、作物の葉や果実に管を刺して吸汁するのが特徴の虫です。体が小さいため、数が少ないと気づきにくいでしょう。
大量発生してから気づくと、対応が遅れ作物に甚大な被害を及ぼすことがあります。
トマトの害虫予防法ってある?
元気なトマトを収穫したいなら、害虫被害にあわせないことが一番です。そのためには、害虫が寄生する前に防除しなければいけません。
トマト栽培に効果的な防除方法をご紹介しますので、試してみてください。
トマト専用の防虫・殺虫剤を使う
ガーデニングや家庭菜園で人気の高いトマトには、専用の防虫・殺虫剤がたくさん販売されています。代表的な殺虫剤は、以下の2つです。
- オルトランDX
- ベニカX
専用の防虫・殺虫剤は、トマトに被害を与えやすい害虫に効果の高い成分で作られているため、効き目は抜群です。
近くの園芸コーナーなどで気軽に買えるのも、嬉しいポイント。防除方法がわからない初心者にもおすすめです。
手作り防虫剤をまく
防虫剤は、手作りできることをご存知でしょうか?
手作り防虫剤なら農薬や殺虫成分などが入っていないので、無農薬栽培を目指す人は試してみてください。
<手作り防虫剤の材料>
- 米酢:200ml
- トウガラシ(鷹の爪):5本
- にんにく:1片
<作り方>
- 鷹の爪はタネを取り除き、にんにくは皮をむき潰しておく
- 米酢に鷹の爪とにんにくを入れる
- 1ヶ月ほど漬ける
- 使うときは水で10倍に薄めてトマトに散布
寒冷紗や防虫ネットで物理的にブロック
薬剤を使いたくないという人は、寒冷紗や防虫ネットの使用がおすすめ。寒冷紗とは、ポリエチレンやポリエステルなどで作られた布のことです。
農業で昔から使用されていて、トマトの株を覆うようにかけることで防虫効果が期待できます。
寒冷紗や防虫ネットは、ベランダでの鉢植え栽培や室内の観葉植物など、どんな場所でも簡単に使えるのが便利なポイントです。
上からかけておくだけで虫の侵入を防げるので、安心してトマト栽培を楽しめますよ。
コンパニオンプランツを植える
コンパニオンプランツとは、隣り合って植えることで双方に良い影響を与えるとされる植物のことをいいます。トマトの場合、ハーブのバジルがコンパニオンプランツとして最適だと覚えておきましょう。
バジルには、肥料の影響で増えやすい、土壌内の窒素成分を減らす効果があるといわれています。土壌中に窒素が増えると、アミノ酸が大量に生成されてしまいます。
害虫にはアミノ酸を好む種類が多いため、バジルで窒素の発生を抑えることで害虫が寄りつきにくくなるんです。
まだいるトマトの果実に被害を及ぼす害虫
冒頭でトマトに被害を与える代表的な2種類の害虫をご紹介しましたが、それだけではありません。トマトに食害を及ぼし、生育に悪影響となる害虫には、ヨトウムシやシンクイムシなどがいます。
ここでは、数いる害虫のなかでもトマトへの被害が多いといわれる2種類の生態をご紹介します。
カメムシ類
カメムシ類とは、カメムシ科に属する虫の名称で、「ミナミアオカメムシ」や「アオクサカメムシ」などがいます。
カメムシ類は、トマトに寄生すると果実に細い管状の口を挿し込み、なかの水分を吸汁するのが特徴です。
吸汁されたトマト被害部分がまだら模様に変色し、しおれてしまいます。味も落ちるので、収穫は不可能になるでしょう。
アザミウマ類
アザミウマ類には、「ミカンキイロアザミウマ」「ヒラズハナアザミウマ」などがいます。どれも体長1mm前後と非常に小さく、細長い体をしているのが特徴です。
アザミウマ類はトマトに寄生すると、葉っぱの表面から栄養を吸収します。葉緑素が失われた葉は白く変色し、最終的には萎縮して枯れ落ちてしまいます。
まとめ
トマトにつく害虫には、タバコガやカメムシ類、アザミウマ類など、さまざまな種類がいます。どの虫も対応が遅れると、あっという間に繁殖してトマトを枯らしてしまうため、毎日の管理と早めの予防が重要です。
菜園には、手作り防虫剤をまいたり寒冷紗を利用したりして、普段から害虫防除しましょう。
しっかりした防除を行えば、プロでなくても健康で美味しいトマトがつくれること間違いなしです。
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