ビオラは開花期間が長く、たくさんの花を咲かせてくれるガーデニングに欠かせない花として人気ですが、より長く楽しむためのコツや育て方を知っていますか?
小ぶりながらも華やかに彩るビオラですが、せっかく育てるからにはより長く、きれいな開花を楽しみたいですよね。
正しく効果的に育てる方法を知ることで、より長くビオラの開花を楽しむことができます。
この記事では、ビオラを長く楽しむために知っておきたいことを解説していきます。
ビオラとは
ビオラは冬から春にかけて長く咲く一年草です。丁寧に手をかけて育てることで半年以上キレイな状態を楽しむことができ、ガーデニングに欠かせないお花です。草丈が低くたくさんの花を咲かせるので土や地面を隠すグランドカバーとしても重宝されます。
よく似ている花にスミレや、ニオイスミレ、パンジーといった草花があります。色や形が似ているのですぐに見分けることが難しいことで知られています。
ビオラの基本情報
学名 | Viola |
属名 | スミレ科スミレ属 |
分類 | 草花 |
原産国 | ヨーロッパ |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
種まき時期 | 9月 |
開花時期 | 10月~5月 |
色 | 原色に近い黄色、オレンジ、薄い青色、濃い紫など |
ビオラの特徴
ビオラはヨーロッパを原産国とする比較的寒さに強く、暑さに弱い花です。日本でのビオラの栽培スケジュールは、9月に種をまき10月から5月まで冬を越しながら半年以上の長い期間で開花を楽しむのが一般的です。
色は原色に近い黄色やオレンジ、薄い青色や濃い紫色など多くの種類があり、毎年新品種が出されていて、ガーデニングでは人気の花となっています。
ビオラの種類
ビオラは毎年100種類近い数多くの新しい品種が開発され流通しています。数多くの品種が生み出されるなかでも、その特徴によっていくつかのシリーズに分類することができます。
ビオラ種類をシリーズで紹介
「フルーナ」シリーズ
花弁が厚く冬に霜が降りても傷みにくい。
「ペニー」シリーズ
花つきと花ぞろいがよく、大株に広がる。
「ビオレット」シリーズ
株が横に広がって伸びるため、ハンキングバスケット植えにもおすすめ。
「ビビ」シリーズ
丈夫で育てやすく、花色にアンティーク調のものがある。
「ソルベ」シリーズ
花弁にひげやストライプ、ブロッチが入るもの、花色が日ごとに変化するものもある
ビオラと似た花
スミレ
スミレは、スミレ科スミレ属の植物の総称として広く使われていますが本来は「Viola mandshurica」という種類を指しています。ビオラはスミレ科スミレ属に分類されていることから、スミレと似た見た目や形、性質を持っていることがわかります。
ニオイスミレ
スミレ科スミレ属の多年祖王で別名スイートバイオレットと呼ばれています。冬の花で2cmほどの香りのよい花を咲かせます。ヴァイオレットカラーと呼ばれるスミレ色が基本ですが、薄紫色、白、淡いピンクの品種もあります。ビオラと比べると花が小さく、花つきも少し悪いのが特徴です。
パンジー
花の色や形がビオラと特によく似ている花として知られているのがパンジーです。どちらもスミレ科スミレ属に分類される草花でとても良く似ています。植物学上では同じ花といえるようですが、わずかな違いから園芸界では名前を分けて区別しています。
ビオラとパンジー:花の大きさ
ビオラとパンジーの最大の違いは花の大きさにあります。パンジーの花の大きさは5cm以上で、ビオラの花の大きさは4cm以下と言われています。
しかし、最近では技術の進歩や盛んな品種改良によって、5cm以上のビオラや4cm以下のパンジーも存在しており、ますます見分けが難しくなっています。
ビオラとパンジー:見分けるコツ
小ぶりで華奢な花がビオラ、花弁がふんわりと大きい花がパンジーといった見分け方が一般的です。ビオラとパンジーの見分けがさらに難しい中間的な「パノラ」という品種も存在しています。基本的には5cmという花の大きさの基準で判断するのがいいでしょう。
ビオラの育て方
種まき
種まきは8月後半から9月中旬におこない、10月ごろからの開花を目指すのが良いでしょう。ビオラの発芽地温は20度前後なので、熱帯夜が続くような暑い時期は避けたほうがいいです。
それでもまだ気温や地温はビオラにとっては高めなので、種をまくまで冷房の効いた部屋で管理すると発芽にばらつきが少なくなります。
準備するものと手順
準備するもの
- ビオラの種
- 用土
- ジョウロ(目の細かい)
- プランターや鉢、セルトレイ
手順(鉢の場合)
- 土を鉢に入れて平らにならす
- 種をばらまきにする(1cm間隔を空ける)
- 軽く土で覆う
- ジョウロで水をあげる
- 直射日光をさけて、風通しの良い場所で保管する
ポイント:鉢に入れる土をあらかじめ湿らせておく
苗の販売時期
ビオラを苗で購入して育てようと考えている人は苗が流通する時期を把握しておく必要があります。ビオラが一番きれいに花を咲かすのは春ですが、苗は10月ごろから販売され始めます。
人気の品種や新品種などは早々に売れてしまうこともあるので販売開始の時期は要チェックです。
植えつけの条件と時期
ビオラは地植えでも鉢植えでもどちらでも栽培が可能です。植えつけをおこなう際はビオラが好む次の条件を押さえておきましょう。
- 日当たりの良い場所
- 風通しの良い場所
ビオラは太陽の光を浴びられる場所と風通しの良い場所できれいに育ちます。日当たりがよいとビオラはより多くの花を咲かせます。逆に日当たりが悪いと、徒長して病気の被害にあいかねないので要注意です。
水やり
ビオラの水やりのポイントは、午前中にたっぷりとあげることです。
ビオラは冬から春に開花するため、水やりは午前中におこないます。午後に水やりをおこなってしまうと乾ききる前に夜を迎えてしまうことになり、霜が降りる気温の場合にビオラの根がやられてしまう恐れがあるのです。
土の表面に優しく何回かに分けてたっぷり水をあげましょう。鉢に水をあげる時は鉢の下から水がこぼれてくるくらいがちょうどよいでしょう。乾いた土の状態と水を与えた後の土の色の違いを観察しておくことで、乾き具合や水のあげる量もだんだん分かってくるようになります。
追肥
ビオラは一年草で長く花を咲かせるため、その分多くの養分を必要とします。そのため追肥は欠かせません。肥料切れを起こしてしまうと株が早くに弱ってしまい開花期間が短くなってしまったり、開花する数も減ってしまいます。
特に、冬を越す際の肥料切れには要注意です。冬は花の数が自然と少なくなってきます。しかし、この時期に追肥をしっかり行うことで春に多くの花を咲かせてくれます。
逆に肥料のあげすぎは根を痛め、虫がつきやすい苗になってしまう可能性があるので気を付けないといけませんが、ビオラは多くの養分を必要としているということは忘れないようにしましょう!
病害虫
肥料のあげすぎはビオラの根を痛め、株を衰弱させ、苗を弱らせてしまいます。すると次第に虫がつきやすい苗になってしまいます。特にアブラムシがついてしまうことが多いです。
育つ環境も影響しており、風通しが悪いと虫が集まってきてしまうので、定期的に花がらを取り、葉っぱをすいて密集状態を解消させてあげることが必要になります。
摘芯・切り戻し・花がら摘み
ビオラを長く丈夫に育てていくためには定期的に手をかけてあげる必要があります。水やりや追肥だけでなく、摘芯、切り戻し、花がら摘みといった作業があります。これらの作業についてはのちほど詳しく解説していきます。
処分
ビオラがすべての花を咲かせ終わった後は速やかに処分をしましょう。株をそのまま放置してしまうと根が腐り、害虫が多く集まってしまい土の中の環境も悪化してしまいます。
周りに植えてある植物にも悪い影響を与えることになってしまいます。最後、しっかり処分するところまでおこなうことで次の栽培を楽しむことができます。
ビオラはいつまで楽しめる?
ビオラは8月下旬から9月中旬までに種をまくことで10月頃から花を咲かせます。冬を越し、春を迎えると最も美しく咲き誇ります。そして、長い期間花を咲かせ続けたビオラは5月下旬から6月初旬まで開花を楽しむことができます。
開花期間の長いビオラは自宅の庭の花壇、ベランダや玄関前の鉢やプランターを長い期間鮮やかに彩ってくれます。ただし、より長く開花を楽しむためには栽培するうえでいくつか知っておきたい注意点やコツがあります。
ビオラを長く楽しむためにすべきこと
ビオラの花を長くきれいに咲かせて楽しむために知っておくべき3つのことがあります。
- 摘芯をおこなう
- 切り戻しをおこなう
- 花がら摘みをおこなう
摘心
脇芽を出すことを目的として摘心をおこないます。ビオラには頂芽優勢という性質があり、茎の先端にある芽が茎の側面につく脇芽より生育が優先されます。摘心をおこなわないと、優先された茎だけが著しく伸び、脇芽が生育しづらくなってしまいます。
切り戻し
ビオラを長くキレイな花を咲かせ続けてたのしむために切り戻しをおこなっていきます。傷んだ茎や込み合った茎葉、徒長している茎を見つけたら、きれいなハサミで切り戻しをおこないます。
切り戻しをおこなうことで姿形をきれいに整えることができ、さらに風通しを良くすることができ、病気を防ぐことができます。
花がら摘み
咲き終わった花のことを花がらといいます。咲き終わった花がらは子孫を残すために種をつけようとエネルギーを使い始めます。より多くの花を長く咲かせるためには、この花がらへ回ってしまうエネルギーを遮断させる必要があります。
咲き終わった花がらは見つけたらどんどん摘み取っていきましょう。そうすることで次々に新しい花を咲かすことができるのです。
咲き終わった花は、花びらが内側にクルっと丸まります。この状態が摘み取る合図です。花がら摘みは花がらだけをつみとるのではなく、花の茎からカットして問題ありません。
ビオラの楽しみ方:寄せ植え
ビオラは草丈が低いうえにたくさんの花を咲かすので地面を隠すのに役立ちます。そのため、寄せ植えに使う花としてとても人気があります。上手に寄せ植えをおこなうことで管理を楽に、なおかつ美しく花壇やプランターを彩ることができます。
寄せ植えの相性
ビオラを使って寄せ植えをおこなう場合には、ビオラと相性の良い花を選ぶといいでしょう。具体的には次のような点に注意して選んでみてください。
- ビオラと開花期間が同じ時期の草花
- ビオラと好む生育環境が同じ条件を好む草花
ビオラは開花時期が長いため比較的いろんな種類の草花と植え込みしても相性がいいです。加えて、日当たりがよい、風通しが良いといった環境を好む草花を選ぶことでそれぞれがキレイに育つ可能性が高くなります。
相性の良い草花
ビオラとの寄せ植えに相性のよい草花をいくつかピックアップしました。
- ハボタン
- ガーデンシクラメン
- クリスマスローズ
- スイセン
- チューリップ
- マーガレット
- ブルーデージー
冬や春、それぞれに相性の良い草花があるので自分の好みの色やサイズ、バランスを考えながら植え込みを楽しんでみてください。
まとめ
ビオラを長く楽しむためには次のことがポイントでした。
- 日当たりが良い場所で育てる
- 風通しが良い場所で育てる
- 摘心をおこなう
- 切り戻しをおこなう
- 花がら摘みをおこなう
たくさんの花を長く咲かせるビオラは生育に多くの養分を必要とします。手を入れずに放置してしまうと開花とは別の生育にエネルギーを使ってしまうことになり株は弱っていってしまいます。
ビオラの特徴を理解したうえで、まずはビオラが好む日当たりがよく風通しがいい環境で生育すること。そして、エネルギーをの多くを効率よく開花に注ぎ込めるように、摘心、切り戻し、花がら摘みを適切におこなうこと、これらがとても重要です。
解説してきたポイントを参考にぜひ、草丈も低く花びらも小ぶりではあるものの、長い期間多くの花を咲かせて楽しませてくれるビオラを大切に長く育ててみてください。