バジルはハーブの中で代表的な存在ですが、枯れやすい植物のため、育て方が難しいといわれています。
バジルはシソ科でミントと同じ仲間です。ミントは育てやすいのに、バジルは育ちにくいのは疑問に思いますよね。
それは、ミントは多年草、バジルは一年草という違いがあるからです。日当たりや室温の調節があれば誰でも簡単に育てられます。
バジルの特徴を理解して、初心者でも手軽に育てやすい方法をご紹介します。
目次
多年草と一年草の違いは?
- 多年草…季節に関係なく何年も枯れることなく、根が生きている植物
たとえ冬になっても茎が枯れていても根は生きている。 - 一年草…花や実を付けて一切が枯れてしまう植物
3月から種まきを始め、苗植え付けをして10月まで収穫できる。(バジルの場合)
そのため、バジルは枯れやすいというお困りの声が多いのです。
バジルは蒸し暑い環境が好きなハーブ
つまり夏の暑さには強いけど、冬の寒さには弱いということです。もちろん、日当たりは大好きです。
- バジルの原産地:熱帯アジア・インド
- 生育適温:15〜30℃
日当たりが良いところにバジル栽培を置いてあげましょう。
ただし、直射日光が強すぎる場合はレースカーテン越しに当てることや、半日陰になる場所に置くことも可能です。
初心者は水耕栽培がおすすめ
初心者が室内でバジルを手軽に育てるのがおすすめなのは、水耕栽培です。
水耕栽培は例えば、キッチンに置いていつでも料理に使う時にすぐに収穫することができます。土をわざわざ買う必要がないですし、室内でも汚れる心配がなく育てやすいのがメリットです。
水耕栽培はキッチンにあるスポンジやコップ、空き容器など。道具を用意するのは全然問題がないので、手軽に楽しむことができるのが魅力です。また土を使わないので、害虫を抑えることも安心ですね。虫嫌いな方や衛生面が気になる方には、水耕栽培を強くおすすめします。
バジルの水耕栽培を育てるポイント
水耕栽培は、コップに水を入れてバジルの茎を入れるだけという簡単な方法です。
室内でバジルの水耕栽培に気をつけることは下記の通りです。
- 日当たりがあるかどうか
- 置き場所
- 室内温度
- 水やり
- 肥料の管理
バジルは日当たりの良い場所が大好きなので、そこに置いてあげましょう。逆に北向きで暗い場所に置くと、バジルは元気に成長していくのが厳しいです。なぜ日当たりの良い場所が良いのか?それはバジルの葉っぱは光合成によって養分が作られるからです。
春から秋くらいまでに栽培することが望ましいです。室内であれば朝から夜まで15〜30℃を保てているので、枯れる心配はほぼないです。ただし、北海道など寒冷地でバジルを育てる場合は、エアコンなどで室内温度を調節する必要があります。
真夏、蒸し暑い時期になると、バジルの成長が鈍くなってしまう恐れがあります。バジルの葉っぱは柔らかいため、直射日光による葉焼けができてしまい、葉っぱの色が茶色くなります。
つまり葉っぱのヤケドです。直射日光を避けるには、レースカーテン越しなどに置くように管理することが大事です。
バジルの水耕栽培をどのように水やりをするのか気になりますよね。それは、水と液体肥料を用意するだけです。液体肥料を使わないと、バジルが栄養不足し、バジルの葉っぱが黄色く変色してしまいます。
水耕栽培の場合は、土から栄養を吸収することができないため、水耕栽培専用の液体肥料を使うのが基本なのです。水を新しく変えるとき、必ず液体肥料も適量補うようにしましょう。
バジルの水耕栽培の種まきの方法
- まず種まきをします。土を使わず、水だけでもできちゃいます。土の代わりにスポンジを使います。皿洗いなどによく使うスポンジでけっこうです。
- 用意したスポンジを消しゴムくらいの大きさに切ります。
- 切ったスポンジの真ん中にカッターで十字を切り込みます。
【注意点】切り込みを深くしすぎ、スポンジの中にタネがめり込んでしまうと、日光が当たりにくくなり、成長が偏る恐れがあります。 - この切り込みの中にタネを一つずつ入れておきます。
- 水をためたコップにスポンジを入れて発芽させます。
バジルの水耕栽培を植えかえる方法
コップや空き容器のままで育てることができますが、ペットボトルやガラス瓶、プランターに植えかえてあげた方がバジルが育ちやすい環境がつくられます。
ペットボトルなどの注ぎ口のところにスポンジごとを埋め込むだけでOKです。その後、下の部分に水を注いで根が水に触れるようにします。ただし、完全に水に根が浸かっているのはNGです。そこに適量の液体肥料を入れましょう。
インテリア性にこだわりたい場合は、スターバックスなどのカフェでもらえる飲み物の容器や透明なガラス瓶を使うのもおしゃれです。注意点として、水耕栽培を行う場合は大きめのサイズの容器が良いです。
バジルの水耕栽培を育てるとともにインテリアを楽しむことが一石二鳥になりますし、気分も上がりますね。とても映えて楽しめるのでおすすめです。ぜひ自分の好きな容器を選んで使ってみてください。
バジルの水耕栽培を育てるコツ
水はできるだけ毎日変えましょう
バジルの水耕栽培で大事なことのひとつ、水をできるだけ毎日変えてあげましょう。バジルも植物であるので、もちろん水中の酸素を吸い取りながら生きています。もし水を変えないでいると、水中の酸素が不足になり、根腐れを起こす恐れがあります。
バジルが元気に成長するには新しい水が必要です。できるだけ毎日変えましょうね。そうしたら、1年中元気に育ってくれます。
太陽光や蛍光灯の光を与える
バジルは日当たりが大好きなので、日当たりの良い場所を置くことが望ましいですが、キッチンなどに置きたい場合は、蛍光灯の光でも問題ありません。
雨続きでなかなか日当たりがない…という場合も蛍光灯の光が使えます。バジルは、日光や蛍光灯の光を与えれば与えるほど、葉っぱの香りが良くなり、すくすくと成長してくれます。
収穫を兼ねて摘心を行う
摘心とは、茎の先端にある新芽を摘みとることです。定期的に摘心を行うと、どんどん上の方に伸びてしまうのを防ぐ効果があり、わき芽を増やすことができます。
バジルが大体20〜30cmの丈に育ったら、下のほうの葉っぱを残して摘心しましょう。そうすることで、たくさんバジルを収穫することができます。
バジル栽培!室内でのプランターで簡単な家庭菜園
初心者が家庭菜園を始める時に最初に植える野菜として、バジルがおすすめです。
ここでは初心者におすすめのバジルの育て方をご紹介します。種まきの時期は、温かい時期、4〜5月がちょうど良いです。
準備するものは下記の通りです。
- バジルの苗もしくはバジルのタネ
- 野菜用培養土(1本あたり10リットル目安)
- プランター(直径・高さともに15cm以上)
- 鉢底石
- 園芸用シャベル
- 野菜用液体肥料または化成肥料
- 園芸用ハサミ
- じょうろ
バジルの苗を選ぶのにポイントがあります。葉っぱが明るい緑色、黄色く変色していないものが良いです。自分の納得するバジルの苗を選んでくださいね。
バジル栽培の種まきの方法
- プランターに、鉢底石を底が見えなくなるまで入れます。
- プランターに野菜用培養土を入れて広げます。(プランターの縁から2センチくらいの高さにしておくとベストです。)
- 苗のポットと同じサイズの穴を掘り、じょうろで水を注ぎ入れます。
- ポットから苗を土ごと取り出します。(苗や根元が傷つきやすいので、注意が必要です。ポットを逆さにし、根元にあるところをやさしく押してそっと抜き出すと良いです。)
- 水が土に染み込んでいれば、取り出した苗をその穴に入れます。その際に軽く手で押さえます。
- プランターの底から水が流れ出るまで、たっぷりと水をやります。
種まきが完了したら、日当たりの良い場所へ移します。水耕栽培と違って、土の表面が乾いたあとに、水やりをしましょう。
バジル栽培の育て方のポイント
日当たりの良い環境が重要なポイント
バジルの水耕栽培と同様に、日当たりの良いところに置いたり室温の調節にも気を配る必要があり、バジルの成長は日当たりの良さが欠かせません。
土の水はけを良くするように
バジルを育てるときに水をたっぷり与えすぎると、バジルが病気の原因になったり湿気を好むナメクジなどを引き寄せやすくなってしまいます。
それを防ぐために土の水はけを良くするように心がけましょう。逆に水やり不足もNGです。適度な水やりをする事が大切です。真夏にかけての生育期には水を切らさないようにこまめに水をあげる必要があります。
苗の場合、間引きを2回に分けて行う
植えて1〜2週間になったら、虫食いがなく綺麗なバジルの葉っぱで茎が太く丈夫なものを選んで2本に、その1〜2週間後は1本に、という段階を追って間引きします。
タネの場合は、バジルの葉っぱが2〜3枚生えた段階で葉っぱが触れないように、株同士の間隔が20〜30cmほど空くように弱い芽や枯れた芽を引き取ります。(共通のやり方としては、園芸用ハサミで切り取ります。)
葉っぱが10枚以上になったら肥料を追加
葉っぱが10枚以上になる頃に、土の中の養分がなくなります。そのため、野菜用液体肥料を1週間に1回というタイミングで与えます。ただし、化成肥料の場合は、2週間に1回、10グラムを目安に肥料を追加します。
茎の高さが20〜30cmになったら収穫の時期
まず上部にある柔らかい葉っぱから順番に、園芸用ハサミで切り取ります。必要な分だけ収穫しても大丈夫です。このときに中心の茎の先端をハサミで切り取ることも忘れないように気をつけましょう。
これを「摘芯」といって、茎の先端を切り取れば切り取るほど茎と茎の間から出てくる「わき芽」により葉っぱの枚数が増えるので、収穫量がアップします。
茎の再利用が可能
間引きや摘芯した茎は、再利用することが可能です。新しい水で10日くらいつけると、新たな根が出てきます。これを別のプランターに植えると、また同じように繰り返し育てることができます。
バジルの花は咲く前に摘みとるようにする
苗を植えて大体2ヶ月で花が咲くようになります。バジルの葉っぱは花が咲くと硬くなり、食味が落ちてしまうので、そのタイミングでハサミで切り取ると良いです。
こまめに摘むと、10月あたりまでバジルの葉っぱの収穫でき、長く楽しむことができます。
バジルが枯れてしまう原因
バジルが枯れてしまう原因はいくつかあります。
季節が冬だから
冬にバジルが枯れてしまうのは当然で、バジルは日当たりの良いところや暑さを好むからです。バジルは一年草なので、冬の寒い時期に耐えきれずに枯れてしまいます。育て方に問題があったのではなく、バジルの特性です。
鉢のサイズが合わない
鉢が小さいと根詰まりになり、成長が悪くなってしまいます。バジルの茎の下の葉っぱが黄色くなっているのは、根つまりの証拠なので大きな鉢に植え替えましょう。
根腐れ
バジルの葉っぱが黒ずんで不自然な枯れ方をしていた場合は、根腐れが原因と考えられます。根腐れの原因はほぼ水の与えすぎです。早期に発見した場合は、根の腐った部分は取り除くことで復活させることができます。
そのやり方として、土から出し、根の先端の黒ずんだ部分をハサミで切り取ります。清潔な土に植え変えて様子を見ましょう。
バジルの栽培で病気や害虫に気をつけること
バジルは、新芽や茎に「アブラムシ」がつくことがあります。「アブラムシ」は植物の栄養を奪って弱らせるという害虫です。もし見つけたら、ガムテープでペタペタと引き離したり殺虫剤で退治しましょう。
もちろん「アブラムシ」だけではなく、「ヨトウムシ」などのたくさんの害虫がいます。「ヨトウムシ」って「夜盗虫」と書きます。名前の通り、夜に出てきて葉っぱを食う害虫なのです。一度に大量発生する「ヨトウムシ」が一番危険のある厄介な害虫です。
害虫は虫よけである程度対策することが可能です。バジルを定期的によく観察したり、土のはけを良くしたり、密集しすぎないように株同士の間隔を広げたりと、さまざまな工夫する事が大切です。また室内で育てることも害虫を防ぐ方法のひとつです。
殺虫剤はいろいろなタイプがあるので、成分をよく確認してから使いましょう。無農薬の殺虫剤を使用した場合でも、2〜3週間は収穫しないのが良いでしょう。
もし、バジルの葉っぱが虫食いにあった場合、対処法としてその部分をハサミで切除します。虫食いを拡大させないための方法のひとつです。
バジルを冬越しさせることは可能か?
バジルは寒い環境が苦手なため、寒い時期が訪れると枯れてしまうことが一般的ですが、環境によって日当たりの場所や室温を整えていれば、冬を越すことは珍しくありません。5〜10℃以上の室温があればそこで育てることができます。
バジルは深夜や早朝に気温が一気に下がると葉っぱの先が黒ずみ、枯れてしまうことがあるので、特に窓庭の温度低下に気をつける必要があります。
サーキュレーターを回しながら風通しを良くすることもおすすめです。室温とうまく付き合いながら育ててくださいね。
まとめ
バジルは日当たりが良ければ誰でも簡単に育てる事ができる、最強なハーブです。摘心にこまめにチェックしていけば、どんどん伸びていくバジルの姿を見ると達成感があるはずだと思います。
自分で育てたバジルを使って料理することも何よりも楽しみになってますよ。家庭菜園の初心者にもおすすめのバジル栽培にぜひ挑戦してみてくださいね。