ハーブのなかでも特に人気のラベンダー。ハーブの女王とも呼ばれ、入浴剤や柔軟剤の香り、ハーブティーやアロマテラピーのオイルなど、私達の暮らしのあらゆる場面で利用されてきました。
実はラベンダーは育てやすく、初心者向けの植物なんです。
一言にラベンダーと言っても、たくさんの種類があります。今回は初心者におすすめのラベンダーの品種を紹介します。
目次
ラベンダーの種類は大きく分けて6種類
- ラバンディン系
- デンタータ系
- プテロストエカス系
- アングスティフォリア系
- ストエカス系
強い香りが特徴のラバンディン系ラベンダー
ラバンディン系は紫色の部分がぷっくりしており、茎が太く稲穂のような見た目をしています。
香りが強く、精油が多く含まれている品種です。さっぱりとした香りが特徴で、柔軟剤や入浴剤など香りものの原料とされています。
その中でも「グロッソ」という品種はとくに人気が高いです。お花自体からはもちろん、葉っぱからも良い香りがします。
ラバンディン系はタフな品種で、寒い環境でも暑い環境でも元気に育ってくれるので初心者向けです。また、生長すると1メートルくらいになるので、庭に植えると迫力があります。花が咲く時期は、7月〜9月です。
【代表的な品種】
- グロッソ
- インプレス・パープル
- アラビアンナイト
- プロバンス
- スーパーセビリアンブルー
暑さに強いデンタータ系ラベンダー
デンタータ系ラベンダーは、小さい歯がいっぱい並んだ形をしているのが特徴です。ラテン語で「デンタータ」とは「歯のような」を意味します。また、フリンジのような形に見えることから別名「フリンジ・ラベンダー」とも呼ばれています。
デンタータ系は他のラベンダーと比べて色が薄いです。見た目が特徴的な品種なので香りだけでなく、見た目も楽しめます。
花が咲く時期は5月〜8月ですが、四季性なので秋にも咲きます。1年に2度楽しめる品種です。大きさは60センチ〜80センチに育ちます。
日本の夏の暑さに耐えられるのが、このデンタータ系ラベンダーです。暑さに強いので初心者におすすめ。ただ、多湿と寒さは苦手なので梅雨の時期は剪定して、株と株の間の風通しを良くすると元気に育ってくれます。後に紹介する地植えにも適しています。
【代表的な品種】
- リンダ・リゴン
- スーパーサファイアブルー
観賞用に人気なレースラベンダーことプテロストエカス系ラベンダー
プテロストエカス系ラベンダーは、「レースラベンダー」または「ファーン・ラベンダー」と呼ばれます。プテロストエカス系は、細かい切れ込みの入った繊細なレース状の美しい葉が特徴です。
別名のレースラベンダーとはここからきています。こちらの名前の方が知名度が高いかもしれません。花穂が大きく3つに分かれているので観賞用として人気の品種でもあります。
ツンとした、薬っぽさがする独特な香りを持っています。好みが分かれるラベンダーです。花が咲く時期は、ほぼ一年中咲きます。
寒さにとても弱い品種です。10度くらいまでしか耐えられないので、冬場は室内に取り込む対策が必要です。そのため庭植えには向きません。上級者向けのラベンダーです。
【代表的な品種】
- ビナータ
- ブライダルレース
香りが強い品種、アングスティフォリア系ラベンダー
ラベンダーといえば、アングスティフォリア系ラベンダーです。大きな特徴は香りの強さです。強い香りが特徴なので入浴剤や柔軟剤、お菓子など香料の原料として使用されています。日本では北海道でよく植えられています。
こちらも別名「イングリッシュラベンダー」「トゥルーラベンダー」「コモンラベンダー」とも呼ばれています。
茎は細くて、紫の部分は少し丸みを帯びた見た目をしています。花の色も薄い紫、濃い紫、ピンク、白など様々です。
花が咲く時期は、5月~6月です。大きさは50センチ~60センチに育ちます。
アングスティフォリア系は冬の寒さに強く、約-15℃まで耐えることができます。半面、夏の高温多湿にとても弱いのでこちらも上級者向けの品種です。
【代表的な品種】
- ヒドコート
- オカムラサキ
- インペリアルジェム
- スパイカナナ
- ロイヤルパープル
ウサギの耳のようなストエカス系ラベンダー
ウサギのような見た目のストエカス系ラベンダー。両端に紫の花びらが伸びてまるでウサギの耳のようなとっても可愛らしいラベンダーです。実は耳に見える花びらは「苞葉(ほうよう)」という葉っぱです。
別名「フレンチ・ラベンダー」「イタリアン・ラベンダー」「スパニッシュ・ラベンダー」と呼ばれています。ラベンダーの中では、控えめな香りです。ほんのり甘い香りがします。香りが少ないので、押し花など小物や雑貨として使われることが多いです。
紫、黄色、白、ピンク、赤など色とりどりな花の色を楽しめます。花が咲く時期は、4月~6月です。大きさは50~60cmに育ちます。
ストエカス系ラベンダーは暑さに強く、寒さに弱いです。庭植えに適していますが、寒さに弱いので冬は対策が必要です。
見た目が愛らしく、香りも控え目なので観賞用として人気の品種です。
【代表的な品種】
- アボンビュー
- キューレッド
- エンジェル
地植え?鉢植え?ラベンダー初心者にはどちらがおすすめ?
育てやすいラベンダーですが、種類が豊富なので生育に適した環境も様々です。品種によって地植えか鉢植えかを選びます。ラバンディン系かデンタータ系だと地植えがおすすめです。
地植えのメリット
- 基本的に水やり不要
- ほったらかしでOK
- 迫力のある大きな品種を育てられる
ラベンダーを地植えで育てる場合は、基本的に水やりは必要ありません。ほったらかしでも大丈夫です。冬は乾燥した日が続き、葉っぱがしなっとなったら水やりのサイン。ですが、基本的には冬も水やりの必要はありません。
ラバンディン系のような大型に育つ品種も楽しめます。ただ、デンタータ系のような多湿、寒さに弱い品種の場合は対策が必要です。梅雨の時期には剪定などをして株同士の通気性を保つといいです。
寒さに弱い品種には、冬が来る前に盛り土をしてみてください。盛り土とは、腐葉土を株元に5〜7cmほど盛ることです。この対策をすることで、地面の温度が下がりすぎるのを防ぐことができます。
また雪が降るような地域の場合は、雪が積もることを防ぐため、寒冷紗などを張って対策をします。雪の重みで枝や茎が折れてしまわないよう注意が必要です。
ここで地植えのデメリットも紹介します。
- 暑さに弱い品種には向かない
- 寒さに弱い品種に冬の対策が必要
暑さに弱い品種の場合は地植えに適さないです。
ラベンダーの地植えの手順
では、実際にラベンダーを植えていきます。日当たりの良い場所を選び、2週間前から土づくりをするのがベストです。
- 水はけのいい土を作り(堆肥、腐葉土合わせたものと、パーライトやバーミキュライトを合わせたもの、苦土石灰や有機石灰を少し混ぜた土)、植え穴を掘ります。土は弱アルカリ性にします。
- 1株でも大きく生長するので、複数の苗を植える時は50センチくらいの間隔を開けて植えます。
- ポットからラベンダーを出して、高さを出して植え穴に入れます。
- 根っこを隠すように土を盛ります。盛り土をすることで水はけが良くなり、根腐れの予防になります。
- 手で優しく押し固めたらたっぷりと水をあげます。
ラベンダーを地植えする時のポイントは、盛土です。しっかりと盛り土をすることで高温多湿に弱いラベンダーを根腐れから守り、元気に育ってくれます。斜面に植えるのも一つの手です。
ラベンダーは種から育てることもできますが、初心者には苗から育てることをおすすめします。
ラベンダーを育てる際に注意すべき病気と害虫
ラベンダーを育てている時に発生する病気として、うどんこ病があります。うどんこ病にかかると、葉っぱにうっすら雪が積もったような見た目になります。
原因としては、風通しの悪い環境です。うどんこ病は、ラベンダーの発育に悪影響を及ぼします。多湿の環境が苦手なラベンダーは多いのでうどんこ病にならないためには、風通しの良い場所で育てることが大切です。
もし病気になってしまった場合は、殺虫剤を吹くのが効果的です。また、害虫にも注意が必要。もともと害虫が付きやすい植物ではありませんが、4〜5月になるとアブラムシが現れます。見つけたらすぐにつぶして駆除します。
育てたラベンダーは収穫してドライフラワーやハーブティーに
ラベンダーは世界中で愛されてきたハーブです。ラベンダーはラテン語で「洗う」という意味があります。
世界の歴史では、心や身体を浄化するハーブとして入浴の際に使われていました。今でも、スキンケア用品やハーブティー、アロマとして人気が高いです。
ラベンダーは他にも以下の効果があるといわれています。
- リラックス効果
- イライラを鎮める
- 不眠や頭痛を和らげる
- 消炎作用で胃腸トラブルを和らげる
- 防虫効果
- 血圧を下げる
- 雑菌やカビの繁殖の抑制
収穫したラベンダーはドライフラワーや押し花にしてみたり、ハーブティーとしても楽しめます。農薬を使わずに育てれば、安心して口にできます。大切に育てて収穫したあとも楽しめます。
ただし、妊婦さんや授乳中の方、乳幼児は注意した方がいい場合があるので、必ず医師に確認してください。
まとめ
今回は初心者でも育てやすいおすすめのラベンダーの品種を紹介しました。ラベンダーは家庭菜園をこれから始める人にとてもおすすめです。
自分にあった品種を選んで、香りや見た目を楽しんでみてください。自分で育てた植物は愛着が湧きます。収穫後もクラフトしたりして、長く楽しむことができます。
また家庭菜園に慣れてきたら種まきや挿し木など新しいステップにも、是非挑戦してみてください。