ミントは、抗菌作用・リラックス効果・不調改善・疲労回復など優れた効能があります。入浴剤や漢方薬として古代ギリシャや中国で育てられてきました。
また料理、お菓子やお茶などの飲食だけでなく、ミントの香りを楽しむリース、香り袋やポプリなどにも使われています。
そんなミントの花言葉は、「美徳」「効能」「爽快」「かけがえのない時間」です。美徳、効能はミントの葉の効果に由来し、爽快は爽やかなミントの香りを彷彿とさせます。
ミントは丈夫で栽培が簡単なので、家庭菜園が初めての方にもおすすめの植物です。今回は、ミント栽培のポイントを紹介します。
ミントの種類
ミントはシソ科多年草のハーブで、和名ではハッカ(薄荷)と呼ばれています。ミントには、ペパーミント系、スペアミント系、オレンジミント系など様々な種類があります。
ペパーミント系
ペパーミントは別名セイヨウハッカと呼ばれています。ペパーミントは、メンソールという成分を多く含んでいるため、清涼感のある強い香りが特徴です。
メンソールは、消化不良の改善、緊張性頭痛の緩和、リラックス効果などが期待できます。また、ペパーミントに多く含まれる「ミントポリフェノール」には、抗アレルギー物質が含まれているため花粉症の予防・改善の効果が望まれます。
ペパーミントの種類
- ホワイトペパーミント:上品な香り
- ブラックペパーミント:清涼感のあるスッキリした香り
- スイスリコラミント:清々しい香り
- キャンディーミント:強い香り
スペアミント系
スペアミントに多く含まれるメンソール含有量が少なめで穏やかな香りが特徴のミントです。スペアミントは、整腸作用・口臭改善・殺菌効果・乗り物酔いの改善などの効果が期待できます。
スペアミントの種類
- スペアミント:ほんのり甘い香り
- ケンタッキーカーネルミント:フルーティーで爽快な香り
オレンジミント系
- オレンジミント:オレンジの香り
- オーデコロンミント:柑橘系の香り
アップルミント系
- アップルミント:りんごのような香り
- パイナップルミント:甘くフルーティな香り
ハッカ系
ハッカは日本に自生するミントのことを指します。発火系はペパーミントのように清涼感が強くスッキリとした香りが特徴です。
ハッカの種類
- 日本ハッカ
- ナガバハッカ
初心者必見!ミントの育て方
ミントの種類を参考に自分に合ったミントを選んだ後は、ミントの育て方を見てみましょう。
ミントの苗選び
ミントはタネからでも育てられますが、タネからの栽培はコツがあり難しいので初心者の方には苗の栽培がオススメです。ミントの苗は、4〜5月、9〜11月ごろに多く出回ります。
苗選びのポイントは、葉の色が濃く、茎が太めでまっすぐ伸びている苗を選びましょう。病害虫の被害のない元気な苗がベストです。
ミントの育て方
ミントの置き場所
ミントは乾燥が苦手なので日の当たり過ぎに注意しましょう。特に真夏の強い日差しは避け、半日陰で管理をします。
しかし、ミントは一日中日陰になる場所だと葉の色づきや香りが悪くなるので、午前中のみ光が当たる半日陰の風通しのよい場所がオススメです。
ミントの土
ミントは、環境への適応能力が高いため土に特別こだわる必要はありませんが、乾燥に弱いので保水性のある土がオススメです。比較的どの土壌にも適応しますが、弱酸性や酸性の土壌を避けるとミントの成長が良くなります。
畑やプランターの土を再利用する場合、石や根っこを取り除き、日光に当てて消毒します。その後、ミントを植える2週間ほど前に土に石灰を混ぜてミントが好むアルカリ性の土壌を作ります。
ミントの植え替え
ミントの植え替えは、真夏と真冬を避けます。真夏は暑すぎ、真冬は寒いため、根付きが悪くなる可能性があります。
そのため、ミントの植え替えは比較的気温が温暖な3〜6月、9〜11月がオススメです。
ミントの水やり
土の表面が乾燥してからたっぷりとお水をあげます。ミントは乾燥を嫌い保水性のある土を好みますが、水をやりすぎると根腐れを起こす可能性があります。
目安としては、真夏は朝夕の1日2回、真冬は3-4日に1回と控えめに水やりをします。
おしゃれなミントの鉢植え
ミントの鉢植えには、テラコッタ素材などの素焼きの鉢やアンティーク調の鉢がオススメです。テラコッタやアンティーク調の鉢は、見た目がおしゃれなのでミントを引き立ててくれます。
またテラコッタ素材などの素焼きの鉢は、通気性や適度な排水性に優れているため根腐れ防止にもなります。
植え替えの際は小さい鉢ではなく一回り大きな鉢に植え替えましょう。小さい鉢で育てると根詰まりを起こし、株が弱ってしまいます。
ミントは成長が早く、根が回りやすいので1-2年に1回のペースで一回り大きい鉢に植え替えをすると元気に育ってくれます。
基本的ミントに代表されるハーブ類は、肥料は必要ではありません。肥料をやり過ぎるとミントの香りが弱まることもあるので、肥料はあげなくて大丈夫です。
ミントのプランター栽培
ミントの栽培は、植木鉢やプランターがオススメです。後述しますがミントは生命力が強く広範囲に広がるので、植木鉢やプランターで栽培するのが無難です。成長が早いので大きめのプランターに植えます。
直径30cm以上でかつ容量は7〜15リットル以上のプランターがよいでしょう。植木鉢での栽培同様、生育旺盛で根が回りやすいので、1〜2年に1回大きな鉢に植え替えをします。
ミントの室内での育て方
ミントを鉢植えに植えて栽培すると室内でも育てられます。ミントの置き場は、窓辺など日当たりや風通しのいい場所がオススメです。
直射日光ではなくレースカーテン越しの光で十分に成長します。直射日光が長時間当たる場所は避けるようにすると良いでしょう。
また、ミントは鉢植えだけでなく水耕栽培(ハイドロカルチャー)でも楽しむことができます。
ミントは挿木で増えるので剪定したミントを水につけると発根します。水に挿すときに、節が2-3ヶ所浸かるようにすると水を吸い上げ発根しやすいです。
水は毎日取り替えましょう。根が出た後は土に植えてもよし、そのままハイドロカルチャーでも楽しめます。
ミントの水耕栽培メリット
- 気候に左右されにくい
- 手間がかからないので気軽に育てられる
- 少ないスペースで育つ
- 無農薬のミントが食べられる
- 野外での栽培に比べ虫がつきにくい
- 使いたい時にすぐに収穫できる
- インテリアとして楽しめる
ミントの水耕栽培デメリット
- 土で栽培したミントに比べて香りが薄い
- 水だけの栽培だと栄養不足になりやすい
- 外に比べて十分な日光が取り入れにくい
ミントを育てる際の注意点
ミントは基本的に育てやすい植物ですが、いくつか注意点があるのでお伝えします。
ミントの育て方 注意点
- ミントの繁殖力
- ミントの冬越し
- ミントの病害虫
ミントの繁殖力が危険
ミントは、先述した通り生命力が強く丈夫な植物ですが、ゆえにポイントがあります。それは、ミントを他の植物と一緒に植えない(混植しない)ことです。
種類の異なるミントもお互いを枯らしてしまうので、ミント同士の混色も避けます。「ミントテロ」や「爆植植物」という言葉があるほどミントの繁殖力・生命力は強靭です。
もちろん地植えでも鉢植えでも栽培できますが地植えの場合、地下茎が繁殖し雑草のようにどんどん増えていきます。ミントの地下茎を取り除いても一部が残っているとまた増殖してしまうのです。
この地下茎が広範囲に広がり、取り除くのが難しいために管理が大変になります。繁殖力が強いため、一度植えてしまうと広範囲に広がり、管理ができなくなってしまうほどミントの繁殖力は危険です。
さらに、ミントが開花し、タネができると広範囲に広がります。ミントのタネは根付きにくいですが、一度根を張ると繁殖力が強くなるので、要注意です。
この「ミントテロ」の解決策は、やはり鉢植えで栽培することです。鉢植えの場合、大きさが決まっているので広範囲へ繁殖することができません。
この点で鉢植えミントは、管理がしやすいと言えます。鉢植えでの栽培は、決まったスペースで効率よくミント栽培が可能です。
ミントの剪定
剪定は、「ミントテロ」の解決策にもなります。ミントの花が咲く7月ごろや背丈が20〜30cmになった場合、1/3くらいまでバッサリ剪定をするとミントの収穫をより楽しめます。また梅雨入り前の湿気が多い時期に剪定をすることで、風通しが良くなり株の健康を保つことができます。
剪定メリット
- 株の健康を保つ
- しっかり量を収穫できる
- 長く収穫できる
ミントは根元から剪定しても枯れたように見える場合もありますが、根と地下茎は生きていますので心配無用です。
ミントの冬越し
ミントの生育適温は15度から25度の間です。ミントは寒さに強いので特別な管理は必要ありません。強いていうならば、霜が降る場合や寒冷地では敷き藁や敷き草をミントの茎の根本に敷くと保温効果が上がるのでオススメです。
さらに、本格的に寒さが訪れる前の剪定も寒さ対策に最適な対策になります。ミントは寒さにより茶色く枯れてしまうこともありますが、葉が枯れても根は生きています。
翌春暖かくなると、ミントの芽が芽吹きはじめるので、株の根元から剪定をしてミントの再来を待ちましょう。春には元気に芽吹いてくれるはずですので心配はいりません。
ミントの病害虫対策
ミントは生命力旺盛で香りが強いので基本的に病害虫に強い耐性がありますが、稀に病害虫の被害が出ます。(室内栽培のミントは病害虫の心配は入りません。)お家で育てているので、なるべく無農薬で栽培したいものです。
地植えや野外での鉢植え栽培の場合は、害虫が出た場合の対策も必要ですので、以下を参考にしてください。
ミントの病気
- うどんこ病
- 灰色かび病
ミントの害虫
- アブラムシ
- ヨトウムシ
- ネキリムシ
- ハダニ
- バッタ
- 青虫
害虫対策
- アブラムシの天敵てんとう虫を利用する
- 牛乳スプレーをかける
- 防虫ネットを使う
アブラムシの天敵 てんとう虫を利用する
ミントによく付く虫の一つがアブラムシです。農薬を使わずにアブラムシを退治するためには、天敵のてんとう虫を利用します。
これはパーマカルチャー(循環型農業の一種)の教えで、自然の形に近い生態系をつくります。てんとう虫はアブラムシが大好物なので、アブラムシを食べてくれます。
生態系の中での生き物の循環を利用したパーマカルチャーの害虫対策法です。てんとう虫は草むらや茂みから捕まえてきましょう。
牛乳スプレーをかける
アブラムシには、自然農法で用いられる牛乳スプレーでの病害虫対策も効果的です。農薬を使わない無農薬栽培にも利用できます。
牛乳スプレーメリット
- 農薬不使用で害虫駆除ができるので安心
- 手軽なもので作れる
牛乳スプレーデメリット
- 牛乳が乾燥するまで匂いがする
- 牛乳が腐敗臭やカビの原因になることもある
牛乳スプレーの作り方
- 必要なもの
a.牛乳
b.スプレーボトル - 牛乳の原液をスプレーボトルに入れて完成
牛乳スプレーは効果を出すために、薄めずに原液で使うのがオススメです。
牛乳スプレーを使用するポイントは、晴天で雨が降っていない日を選びましょう。また、その前後も晴天で晴れている日がオススメです。牛乳スプレー散布前の水やりも控えます。(水やりは牛乳スプレー後に行います。)
牛乳スプレーは30分から2時間ほどの乾燥する時間が必要なので、午前中に行います。アブラムシは葉っぱの後ろにもいるのでミント全体に牛乳スプレーをかけます。
牛乳スプレーをそのまま長時間放置すると、悪臭を放ち、カビの原因になります。牛乳がしっかり乾燥してアブラムシの駆除が完成したら、シャワーでしっかり洗い流しましょう。
防虫ネットを使う
まずミントに虫がついていたら全て取り除いてから防虫ネットをかけます。ミントに虫がついたままネットをかけてしまうと、更なる害虫被害を引き起こす場合があるので注意が必要です。
アブラムシなどの小さい虫の侵入を防ぐ場合、ネットの穴が1mmのもので対応できます。
ミントがゴキブリ退治に!?
ミントの害虫対策についてお話ししましたが、実はミントは防虫効果が期待できます。ハーブの一種であるミントは、ゴキブリやカメムシなどの防虫に効果的です。
防虫に効果のあるミントは、ペパーミントとスペアミントの2種類のみになります。ゴキブリは、家の玄関や、窓、網戸などあらゆる隙間から家の中に侵入してきます。
このような場所にミントの鉢植えを置くと、ゴキブリ対策はバッチリです。自然の防虫剤の役割を果たします。
まとめ
抗菌作用・リラックス効果・不調改善・疲労回復など優れた効能はもちろん、強い生命力を兼ね備えたハーブの代表格のミントの育て方を紹介しました。
ミント栽培は、簡単で初心者の方でも育てやすい植物です。ミントといっても100種類以上のさまざまな品種がありますので、ぜひお好みのミントを探して育ててみてください。