冬から春の長い間、さまざまな色で花壇をいろどってくれるビオラ。小さな蝶のような花がかわいらしいですね。
ビオラだけをシンプルに植える楽しみ方もありますが、他の種類の花と一緒に寄植えにするとお互いを引き立て合い、豊かな表情を見せてくれます。
ビオラを寄植えにするとき、株の間隔をどれくらい取れば良いか迷うことはありませんか?また、一緒に植える植物は、どんな種類がおすすめでしょうか?
この記事では、ビオラの寄植えのポイントを分かりやすく解説します。
また、ビオラの奥深い魅力を知るため、ビオラと似た種類であるパンジーとの違いや、他のスミレ属の園芸種についても紹介します。ビオラの魅力をより感じてみてくださいね。
目次
ビオラをプランターに植える時の間隔は?何株植えられる?
ビオラは丈夫なので、株を密集させて植えても元気に育ちます。密集させて植えると、ブーケのようなこんもりした姿が楽しめます。
しかし、花を大きく育てたいときは、株と株の間を空けて植える方が良いです。間隔は、株と株の間を10〜20cmほど、つまり一株ぶん程度の間隔を開けましょう。
一般的な横幅60cmのプランターであれば、4~5株程度植えられることになります。小さめの30cmのプランターであれば、2株程度ですね。
ビオラと他の植物の寄せ植えのコツは?
数種の花を取り合わせた寄植えは憧れますが、ちょっと難しそうな気がしませんか。しかし、ポイントさえ押さえれば、ビオラは丈夫で他の植物と寄植えしやすい植物なんです。ここでは、ビオラと他の植物を寄植えするときのポイントについて解説します。
ビオラと寄植えするのに適した植物は?
複数の植物を寄せ植えするときは、似た土壌を好む植物同士を合わせます。具体的には、ビオラと同じ時期に植えられる植物です。
ビオラの植え付けは秋です。一緒に植える花としては、ガーデンシクラメンやアリッサムなど、秋植えで耐寒性のある花がおすすめです。
葉物ととり合わせるのであれば、耐寒性のあるハボタンやシルバーレース・シロタエギクなど、白っぽいカラーの入ったものを合わせると冬らしい雰囲気が出ます。
また、ビオラは背丈が低いので、もっと背丈のある植物と組み合わせることで立体的な寄植えにすることもできます。
球根とも寄植えできる?
秋植えの寄植えを作るときは、根本に春咲きの球根を植え込んでみると冬が終わったあとの楽しみをプラスできます。
初めて作る場合はミニサイズのチューリップやスイセン・ムスカリなど、小型の球根が配置しやすくておすすめです。
球根は春に向けて芽を出し、鉢の中の緑に徐々に変化を付けてくれます。そして春には花が咲き、新しい姿に生まれ変わった寄植えが見られますよ。
花の根元に球根を埋め込むときは、深さの異なる層にして埋めます。ダブルデッカー(二層植え)やトリプルデッカー(三層植え)と呼ばれ、立体的な鉢が作れる方法として人気です。球根が一種類の場合はダブルデッカー、開花時期が異なる2種類の球根を植え込む場合は、トリプルデッカーとします。
トリプルデッカーにする場合は、球根のそれぞれの開花時期で層を分けます。早い時期に開花する球根を上の層にし、後に開花する球根を下の層に植え込めばOKです。
ビオラと他の植物を寄植えするときの間隔は?密集させても大丈夫?
ビオラは比較的丈夫な植物で、密集して植えても育ってくれます。また、ビオラの根は柔らかいため、他の植物と密着させたとしても、他の植物の根を邪魔してしまうことも少ないです。寄植えに適した植物なんですね。
しかし、数ヶ月経つと、だんだんと株自体が大きくなってきます。春の花が終わる5~6月頃には根も伸びて鉢が詰まり、植物が弱る原因にもなります。
一年生のビオラの場合、時期は長くとも翌年の6月頃までですが、宿根のビオラの場合は植え替えをすると来年以降も元気に成長してくれます。
土から掘り上げてそれぞれの株を分割し、新しい土を鉢に足して植え替えしましょう。植え替えをしていけば、宿根のビオラは年々株が大きく成長していきます。また来シーズンも元気に花を咲かせてくれるでしょう。
ビオラを長く咲かせるコツは?
ビオラは、秋から春まで咲き続ける息の長い花です。しかし、正しい育て方を知らないと、長丁場の途中でダウンさせてしまうことも。
できるだけ長く花を付けてもらうためには、毎日のお世話にコツがあります。ここでは、ビオラに長くきれいに咲いてもらうためのコツをまとめました。
花がら摘み
ビオラを長く咲かせるために一番重要なのは、こまめな花がら摘みです。花がらとは、咲き終わった花のこと。花がらをそのまま放置すると、新しい種をつくることに養分を使いはじめるので、新しい花が咲きにくくなってしまいます。
開花中はできるだけ毎日チェックして花がらを摘み取りましょう。花がらをきちんと摘むことで、開花期間が長くなり、そして咲く花の数も増えますよ。
花がらの摘み時の判断は?
咲き終わったビオラの花は、張りがなくなり、しおれて丸まってきます。そうなると摘み時です。いったん花の付いた茎にはもう花は付かないので、根本からきちんと摘み取りましょう。
剪定
剪定も、ビオラを長く咲かせるために必要な世話です。ビオラの剪定には次の2つがあります。
- 切り戻し
- 摘心
剪定のポイントは、清潔なはさみを使うことです。普段は水洗いする程度で大丈夫ですが、病気や弱った植物を切ったときは、エタノールで消毒して感染を防ぎましょう。
切り戻し
切り戻しとは、株の姿を整えるため、弱った葉や、茂りすぎた茎葉を刈り込むことです。不必要な葉を刈ることで、株の風通しが良くなり、病虫害の発生を防ぐことができます。切るときは、茎の根元から刈り取りましょう。
また、株全体が徒長して姿が悪くなったときは、株全体を1/2~1/3の長さで切り戻す方法も。一ヶ月ほどすると株全体が復活し、花を咲かせるようになります。
注意点として、4月以降に株全体の切り戻しをすると花が咲かなくなってしまう可能性があります。寒い時期だけの作業にしておきましょう。
摘心
ビオラになるべくたくさんの花を付けてもらうためには、摘心をします。摘心とは、株の中心の芽(頂芽)を摘むことです。
植物には頂芽優勢という習性があり、中心の芽が元気に育っていると、脇芽が育ちにくくなります。
摘心のやり方は簡単です。ビオラの苗を買ってきたら、中心の花の茎を根本を少し残して摘み取りましょう。すると、まわりに中心を囲むように脇芽が生えてきて、花がたくさんついたこんもりした株を作ることができます。
追肥
長ければ半年以上も花を咲かせるビオラ。長丁場は元肥だけでは乗り切れません。肥料が切れてくると、花の数が少なくなったり、小さくなったり。そのため、ビオラには定期的な追肥が欠かせません。
追肥の頻度は週一回から月2回程度です。肥料の説明書に合わせて施肥しましょう。追肥として使う肥料は、液肥が取り扱いしやすいのでおすすめです。
最近はビオラ・パンジー専用の液肥も売られていますので、他の植物と扱いを変える必要がなく、手軽に使用することができます。
ビオラってどんな植物?
ビオラはどういった品種で、どのような関連品種があるのでしょうか?どうして楽器と同じ名前なのでしょうか?それらの疑問について解説します。
ビオラはどんなスミレ?パンジーとはどう違う?
ビオラという名前は、植物の分類名に由来しています。スミレ属は英語でViola属(スミレ属)。つまりビオラという名前は植物としての属名そのものを指しています。ビオラ自体の学名は、Viola Wittrockkianaです。
楽器のビオラとは関係ある?
バイオリンよりひとまわり大きな弦楽器でビオラというものがありますよね。この楽器の名前はスミレに由来しています。楽器の銅のくびれた形がスミレと似ているので、ビオラと名付けられたそうです。
ビオラとパンジーの区別は?
ビオラは同じスミレ属のパンジーとよく似た形をしていますが、両者の区別はご存知ですか?実は、パンジーの学名もViola Wittrockkianaで、両者に植物種としての明確な区別はないそうです。
園芸種としてはパンジーの方が古い歴史を持っています。パンジーを品種改良して、小型で花がたくさん付くようになったものがビオラです。パンジーとビオラの区別は、一般的には大きさで分けられます。
5cm以上の大型の花を付けるものがパンジー、4cm以下の小型の花を付けるものがビオラ、とされます。しかし、品種改良が進む中で両者が交配されたりすることもあり、パンジーとビオラの区別は年々あいまいになってきています。
ビオラにはどんな種類がある?
ビオラは園芸種の花としては、最も新品種の開発がさかんなものの一つです。ビオラとパンジーだけで、一年に100以上の新品種が作られているとか。
また、個人で交配をして、オリジナルのビオラを楽しんでいる方もいます。推定では、ビオラとパンジーを合わせて現在1000以上の品種があると言われています。
ビオラの人気品種は?
そんな多種多様なビオラですが、今人気の品種はどんなものがあるのでしょうか?現在大人気の代表的な品種を3つ紹介します。
ヌーヴェルヴァーグ
少しくすみ感のある、アンティークで落ち着いた色合いが特徴。フリルのきいた優美な花姿のビオラです。
色のバラエティが多く、なんと200種類以上もあるとか。それでいて、違う花色を取り合わせて植えても統一感がある不思議なビオラです。咲いているうちに花の色が徐々に変化するという楽しみもあります。
ディージェイ
とても花立ちが良く、たくさんの花を一度に咲かせてくれます。花を咲かせながら株自体もどんどん大きくなり、こんもりとした姿になってくれます。
その育ち具合といったら、一株を植えると鉢いっぱいに育つくらいです。非常に丈夫で育てやすいのも人気の理由です。
エッグタルト
ビオラなのですが、パンジーのように大きな花が特徴です。たまご色のかわいらしい花色に、フレアスカートのようなひらひらのフリル。レディのような外観のビオラです。茎や葉は濃い緑色で、柔らかな花色とのコントラストに目が覚めるようです。
ビオラ・パンジー以外にスミレの園芸種はある?
野生のスミレ属は世界中の温帯に広く分布しており、世界全体では約400種。日本には約50種が自生しています。
園芸種としてはパンジーとビオラが有名ですが、その他に栽培されているスミレはご存知ですか?ここでは、スミレの園芸種として代表的な2種を紹介します。
ニオイスミレ
ニオイスミレはスイートバイオレットとも呼ばれ、その名のとおり爽やかで甘い香りを放つのが特徴です。香水の材料にされる他、食用として料理に添えられたり、砂糖漬けにしてお菓子の彩りとしても使われます。
花の色は、青紫のものがほとんどですが、まれに白やピンクのものも販売されています。花の形は野生のスミレに近く、可憐な姿が魅力です。
栽培方法は基本的にパンジーやビオラと同じですが、丈夫で寒さや病虫害に強く、一度植えると自然に増えていく育てやすい植物です。種で殖えるだけでなく、ランナーでもどんどん殖えることができます。そのため、地植えしてグラウンドカバーにするのもおすすめです。
パルマスミレ
ニオイスミレ同様に、強い香りを放つスミレです。ニオイスミレは小さめの花ですが、パルマスミレは花が大きく、八重咲きの華やかな姿であるという違いがあります。色は藤の花のような柔らかい紫か、白がほとんどです。
香りが強いため、ニオイスミレと同じ仲間だと思われることもあるのですが、ニオイスミレの学名はViola odorata、パルマスミレはViola suavisで、同じスミレ属ではありますが、別の種であることが分かります。
パルマスミレの花は大きくて重いため、茎が倒れて咲きます。そのため、地植えにすると花が地面に付いてしまい、美しい姿が台無しに。鉢植えにすれば、しなだれた優雅な姿を楽しむことができますよ。
比較的寒さに強いスミレ属ですが、パルマスミレは若干寒さに弱い性質を持っています。冬は0度以下にならない場所で育てましょう。
まとめ
今回はビオラの寄植えのポイントや、ビオラという品種の成り立ちについて解説しました。ビオラは数多くの種類があり、さまざまな楽しみ方ができる花ですね。
育てやすく開花期間が長いビオラは、一度育て方をマスターすればこの先長くあなたのお庭を素敵に引き立ててくれるでしょう。色とりどりのビオラを取り入れて、素敵なガーデンライフをお過ごしください。