オレンジやイエローのビタミンカラーが元気をくれるマリーゴールド。丈夫で育てやすく、植えっぱなしでも花を咲かせるので、花壇や植木鉢の彩りとして育てている方も多いと思います。
しかし、花が咲かなかったり、急につぼみが黒くなってしまったことはありませんか?
今回は、初心者がやりがちな失敗事例をもとに、マリーゴールドの花が咲かない原因と対策を解説していきます。
マリーゴールドの基本情報
マリーゴールドとは、オレンジやイエロー、ミルク色など色のバリエーションがあり、複数の花びらをつける夏の代表的な花です。キク科の植物で、原産地はメキシコや一部のアフリカ、乾燥を好みます。
種から植えても2か月ほどで開花し、手入れもそれほど要らないことから、家庭菜園初心者の方でも簡単に楽しめます。
独特の香りは好き嫌いが分かれるものの、乾燥させてポプリなどフレグランスアイテムとしても利用されています。
また、その香りや根の周りの菌によって様々な害虫を遠ざけるため、「コンパニオンプランツ(共存作物)」としても有名です。害虫の発生を抑え、農薬を減らして栽培するために、他の野菜や花の近くに植えられることもあります。
フレンチとアフリカンのマリーゴールドの違い
マリーゴールドには、大きく分けて「フレンチ・マリーゴールド」と「アフリカン・マリーゴールド」の2種類があります。
フレンチ・マリーゴールド
フレンチ・マリーゴールドは「孔雀草(クジャクソウ)」とも呼ばれます。草丈が低いため、コンテナや鉢植えに適しています。ガーデニングにもよく使われる品種です。これから、代表的な品種をご紹介します。
デュランゴ
えんじ色やレモンイエローなど鮮やかな色です。花の大きさが6㎝ほどにもなる大きめの花で、一重の外弁に中心がアネモネのように盛りあがって咲きます。
ボーイ
草丈は25㎝ほど、花の大きさは4㎝ほど。こっくりとしたオレンジ色の花が咲きます。
ディスコ
草丈は20㎝、花の大きさは6㎝と大きく育ちます。一重の花ですが、フレンチ種にしては大きな花と黄色から濃いオレンジまで花色のバリエーションが豊富であることから、見栄えのする品種と言えるでしょう。
ボナンザイエロー
草丈は15㎝ととても小さく、花の大きさは5㎝程度。花びらが丸く集まって咲く「ポンポン咲き」という咲き方で、色は黄色からオレンジミックスまでバリエーションがあります。
切り戻しをすることで何度も花がつくので、長い期間楽しめます。
アフリカン・マリーゴールド
一方、アフリカン・マリーゴールドは「千寿菊(センジュギク)」とも呼ばれ、草丈が高くなるため花壇や菜園などの地植えに向いています。
草丈も高く、主に畑の景観用などに用いられます。市販されている種も、一袋にたくさん入っているものが多いです。
アフリカン・マリーゴールドはどれも大きな花をつけ、咲き方も同じなので、草丈か花の色で選びましょう。これから、代表的な品種をご紹介します。
タイザン
草丈は30㎝ほどとアフリカン・マリーゴールドの中では低く、バランスがとれていて、強く育ちます。花の大きさは7㎝ほどで、しまりがよく花もちも良好です。
アフリカンオレンジ
草丈が1mにもなる背丈の高いマリーゴールドで、アフリカンの中でも大きな品種。花も10cmほどと大きくなるので見ごたえがあり、遠くから見ても楽しめます。広い土地にたくさん植えられていることの多い品種です。
ホワイトバニラ
珍しいミルク色の花が咲く種類のアフリカン種のマリーゴールドです。草丈は50㎝ほどで花の大きさは8㎝程度。最初は黄色っぽい花が次第に白く変化していく様子も見ていて楽しいですよ。
レディー
草丈は60㎝ほど、花の大きさは7㎝ほどのものが一般的で、花色もイエローやオレンジの種がミックスされて売られています。
マリーゴールドは冬越しできる?
マリーゴールドには1年草タイプと、冬越しできる多年草タイプがあります。
1年草タイプ
1年草タイプは春から秋にかけて開花し、気温が下がる冬には枯れてしまいます。植物が夏と勘違いする環境を作り出せば理論的には冬越しできますが、一般家庭では難しいでしょう。生育適温と言われる15度〜25度を維持し、日照時間を確保し続ける必要があります。
多年草(冬越し)タイプ
1年草タイプの多いマリーゴールドの中でも、ミントマリーゴールドとレモンマリーゴールドは多年草です。草丈が60㎝〜100㎝と大きめに育ち、耐寒性もありマイナス5度まで大丈夫なので、冬越しもできます。
マリーゴールドが枯れる時期
マリーゴールドは1年草のものが多く、本来は一度しか花を咲かせられず枯れてしまいます。しかし、咲き終えた花を早めに切り落とせば、秋にもう一度花を咲かせることがあります。
夏の暑さで枯れてしまった花をもう1度咲かせたい場合は、8月下旬頃に根元の少し上で茎を切りましょう。
咲き終わって枯れた花をそのままにしていると、栄養が種に奪われてしまうため、つぼみがつかなくなってしまいます。枯れた花はそのままにせず摘み取りましょう。
マリーゴールドのつぼみが開かない!花が咲かないときの原因と対策は?
マリーゴールドの花が咲かない原因の主なポイントをご紹介します。
- 日光不足
- 水分の与えすぎ
- 肥料の与えすぎ
- 夏の猛暑
鉢植え、プランターなら日当たりの良い場所に移しましょう。葉が多くなりすぎると、日光不足になったり、風通しが悪くなり蒸れてしまいます。葉が増えてきたら剪定したり間引きしたりして密度を下げましょう。
窒素が多い肥料は、葉ばかりを育て花に栄養が行き渡りません。いったん肥料を与えるのをやめ、肥料を与える場合はリンを含むものにしましょう。
また、夏の猛暑が原因で花数が減ってしまったり、花が咲かなくなってしまうときもあります。そんなときは、肥料をいくら与えても逆効果になってしまうので、肥料は止めましょう。一度草丈を半分くらいに切り戻すと、秋にもう一度美しい花を咲かせてくれます。
葉が白くなっている場合はハダニという害虫も考えられます。葉の裏に寄生していることがありますので、見つけたらまずは周辺の葉を取り除きましょう。また、霧吹きで水をかけると、害虫を予防できます。
マリーゴールドは植えっぱなしでも育つ?
マリーゴールドは丈夫で、手のかからない花と言われています。外に植えている場合は、肥料も要らず雨水だけでぐんぐん育ちます。こぼれ落ちた種から新たな花が咲いていることも。お手入れとしては、枯れた花を取り除くくらいで大丈夫です。
マリーゴールドには花が咲かない品種がある?
「エバーグリーン」という名前の、花が咲かないフレンチマリーゴールドの品種があります。花が咲かないことで、オオバタコガの幼虫の餌となることがなく、株の老化も防いでくれます。土の中にいるセンチュウという害虫を抑制することから、大根の安定生産にも活用されている品種です。
害虫を寄せ付けないことから、コンパニオンプランツとして野菜と一緒に寄せ植えされることも多いマリーゴールド。特に大根やカブなどの根菜と相性が良いので、寄せ植えするのもおすすめです。
マリーゴールドの木質化とは?
茎が木のように茶色くスカスカになってしまうことがあり、これを木質化と言います。株が大きくなりすぎると、養分が株に吸い取られてしまうため、花をつけずに木のようになってしまいます。株が大きくならないよう、こまめに剪定しましょう。
マリーゴールドの立ち枯れ病とは?
苗の段階でかかりやすい病気で、葉っぱや茎に斑点が現れます。病原はカビの一種で、進行すると生育に悪影響を及ぼし枯れてしまいます。斑点を見つけたら、枯れて落ちた葉も処分しましょう。
鉢植えであれば、種や苗を植え付ける土を清潔で水はけの良いものに入れ替えるのが望ましいです。被害が大きければ、薬剤を吹きかける方法もあります。
つぼみがつかない場合の原因と対処法は?
マリーゴールドにつぼみがつかない場合、原因は肥料の与えすぎが考えられます。いったん肥料を与えるのを中止しましょう。
また、つぼみがつく前に窒素を含む肥料を与えると、葉に栄養がいってしまい、花には栄養が行き渡りません。肥料の成分に注意し、リンを含むものを与えましょう。
咲き終わった花をそのままにしておくと、栄養が種を作ることに持って行かれてしまいますので、つぼみがつかなくなり、次第に花数が少なくなってしまいます。
つぼみが黒くなるのはなぜ?
咲ききって枯れた花をそのままにしておくと、栄養分を奪われるため、新しい花が咲きにくくなってしまいます。
また、雨に当たったり水を与えすぎたりすると、根腐れになったり蒸れてカビが生えたりします。乾燥を好みますので、風通しを良くすることと水を与えすぎないことに注意しましょう。
まとめ
マリーゴールドを元気に育てるポイントをおさらいします。
- 日当たりと風通しをよくする
- 水を与えすぎない
- 肥料を与えすぎない
- 咲き終わった花、枯れた花は摘み取る
- 剪定や間引きをこまめに行う
丈夫な花ですので、手をかけすぎないくらいの方がよく育ちます。剪定や間引き、枯れた花の摘み取りはこまめにやる必要がありますが、水や肥料はあげすぎない方が良いでしょう。
種もよく見かけますが、苗も手頃な価格で買えるので、ぜひ購入して育ててみてください。ビタミンカラーの花を咲かせて、花壇や植木鉢を華やかに飾りましょう。