モグラは、畑の作物に被害をもたらす害獣の1種です。しかし、普段は土の中にいて目にする機会が少ないため、どのように対策すべきか分からず困っている人も多いでしょう。そこで本記事では、家庭でできるモグラ対策やおすすめの対策グッズなどを紹介します。モグラの巣の見つけ方や注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
モグラとは？
モグラは、哺乳綱真無盲腸目モグラ科の動物です。北海道を除く日本全域に生息し、土を掘って地中で生活するという珍しい習性で知られています。体長は12〜18cm程度ですが個体差が大きく、種類によっても体の大きさは異なります。
モグラの見分け方
モグラの体は特徴的な円筒形でずんぐりとしており、尻尾は短い棒状です。四肢は短いですが、前足に固い地面も難なく掘り進められるほど、大きく鋭い爪を持ちます。全身は細かな毛で覆われ、小さな目は毛に埋もれてほとんど見えず、とがった鼻だけが露出しています。
モグラの生態
モグラは基本的に群れをつくらず、単独で生活する動物です。大きな爪で地中に巣をつくり、一生のほとんどを土の中で過ごしますが、なかには泳ぎが得意な種もいます。主食はミミズや昆虫ですが、種によっては魚類や両生類などもエサとします。目は退化しておりほとんど見えていませんが、光を感知する能力が高いとする説もあり、においや音には敏感です。
モグラは大量のエサを必要とし、空腹状態が数時間〜数十時間の間続くだけで餓死してしまうとされています。そのため、モグラは冬眠をせず、1年中エサを求めて活動し続けます。
モグラの種類
ひとくちにモグラといっても、その種類は実にさまざまです。日本にも多種多様なモグラが生息しており、日本固有の種も少なくありません。以下に、日本に生息する代表的なモグラをまとめました。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| アズマモグラ | おもに東日本に分布。環境により大きさが異なる |
| コウベモグラ | おもに西日本に分布。アズマモグラと比べてやや大きい |
| センカクモグラ | 日本の固有種。尖閣諸島の魚釣島のみに生息する |
| サドモグラ | 日本の固有種。本州の越後平野や佐渡島に生息し、生息数は少ない。 |
| ミズラモグラ | 日本の固有種。本州の山地の森林に生息し、生息数は少ない |
モグラは農作物を食い荒らさない？
実は、前述のとおりモグラはミミズや昆虫などをエサとしているので、家庭菜園の野菜や果物などを食い荒らすことはありません。しかし、モグラが農作物を直接食べなくても、その生態により畑に被害をもたらすことがあります。
モグラによる農業被害
モグラが土の中にトンネルを掘ると、土を掘り進める過程で作物の根が傷つけられてしまいます。地中にトンネルという空洞がつくられ、地盤にゆるみが生じやすくなることも懸念材料です。また、モグラはミミズをエサとしますが、ミミズは土壌の質を向上させる益虫です。モグラがミミズを食べると、周囲の土壌の質が低下する恐れがあります。
そのほか、モグラが土を掘ることで水田の水が抜ける、畦が壊されるなどの被害を受ける可能性もあります。さらには、モグラがつくったトンネルからネズミが侵入し、農作物が食い荒らされるというケースも考えられるでしょう。
モグラの巣の見つけ方
モグラの巣は「エサを獲る部屋」「エサを蓄える部屋」などのいくつかの部屋と、通路で構成されます。通路は部屋同士をつなぐ「本道」と、エサを獲るためなどに時たま使用される「支道」に分けられます。
まずは「モグラ塚」を見つける
モグラの巣を見つけるためには、まず「モグラ塚」を発見することが大切です。
モグラ塚とは、モグラがトンネルを掘ることで余分な土が地表に排出され、地面が盛り上がったものです。モグラ塚はモグラがいる目印なので、不自然に地面が盛り上がっている部分がないか探してみましょう。
本道を見分けることが大切
モグラ塚が見つかったら、本道と支道を見分けます。モグラ対策は本道に施すとより効果的なので、農作物を守る上で欠かせない作業です。
本道はモグラにとって重要な通路なので、壊れた場合は補修しようとします。モグラ塚を見つけたら、盛り上がった土を地中に戻して、少し様子を見てみましょう。巣の持ち主であるモグラによって通路が補修されていたら、そこが本道だと判断できます。
家庭でできるモグラ対策＆おすすめグッズ
ここからは、家庭でできるモグラ対策と、それぞれの対策に使えるおすすめグッズを紹介します。
においで追い払う
1つ目は、モグラが嫌がるにおいを使って追い払う方法です。たとえば、モグラは木酢液や唐辛子などのにおいを嫌がります。また、においの種類によっては、モグラ以外の害獣・害虫を同時に対策できる場合もあります。
防獣・鳥・虫 モグラ来ん棒
高濃度唐辛子オイルをしみこませたスティックタイプの忌避剤で、モグラやネズミなどにも効果があります。スティックは土に溶けるため、回収する必要がないことがポイントです。
忌避石 逃げまんねん！ 小石サイズ
山火事に似たにおいで、モグラやコウモリ、ムカデなどを追い払います。小石サイズの忌避剤を2メートル間隔で撒くだけなので、設置も容易です。設置後は約2か月間効果が続くので、メンテナンスの手間もかかりません。
音や振動で追い払う
モグラは目がほとんど見えない代わりに聴覚が発達しており、音や振動に敏感です。音や振動でモグラを追い払う専用グッズも市販されていますが、ペットボトルで風車を自作する方法もあります。風によって風車が回ると、音や振動が地中に伝わり、モグラを追い払うことができます。
ペットボトル風車の基本的な作り方は、以下のとおりです。
- ペットボトルのフタと底に穴を開ける
- ペットボトルのくぼみに沿ってカッターで切りこみを入れ、羽根をつくる
- フタと底の穴に針金を通す
- 園芸用のパイプなどに風車の針金を入れて、地面に挿す
スーパーとりモグラキラキラー EG－76
プロペラが回転することで振動が伝わり、地中のモグラを追い払います。プロペラと尾翼にはホログラムが使用されており、鳥よけとしても効果を発揮します。風の力で回転するので、電池交換などの手間がかからない点もポイントです。
ソーラー式 モグラ音波撃退器可変式
音波を発してモグラを撃退する装置です。異なる音波を発することでモグラの慣れを防ぎ、忌避効果を長続きさせます。ソーラー充電式なので電池交換が必要なく、経済的です。
モグラのエサを減らす
モグラのエサになるようなミミズや昆虫を減らして、モグラにとって住みにくい環境をつくる方法もあります。ただし、ミミズなどの益虫には土壌を育ててくれる役割があります。ミミズが減ってしまうと、かえって農作物に悪影響となる可能性もあるので注意しましょう。
捕獲器をセットする
モグラの巣の本道に捕獲器をセットして、モグラを捕獲してから遠くへ逃がす方法です。使用する場合は捕獲器に土をこすりつけて、本体のにおいを消すようにしましょう。モグラを捕まえて畑から遠ざけられるので、根本的な対策になりやすい点がメリットです。
もぐらとり手付
モグラの通り道に上から挿すタイプの捕獲器です。グリップ式なので、強い力でモグラを捕まえられます。使用時には、誤って手を挟まないように注意しましょう。
モグラ一番TMI-2
両面扉式の筒型モグラ捕獲器です。モグラの巣の本道に設置して、トンネルを通ろうとしたモグラを捕獲します。筒の両側に扉があるので、モグラがトンネルの左右どちらからきても捕獲できます。確認穴から棒を入れられるので、土から掘り出さなくてもモグラを捕まえているか確認可能です。
家庭でのモグラ対策における注意点
家庭でモグラ対策を行う場合は、以下の2つのポイントに注意しましょう。
モグラは鳥獣保護管理法の対象
鳥獣保護管理法により、モグラを許可なく捕獲・飼育・駆除することは禁止されています。モグラの種によっては天然記念物に指定されているため、畑に侵入してきたことを理由に、むやみに捕まえようとしてはなりません。
都道府県に申請して許可が下りれば捕獲は可能ですが、手続きには手間がかかり、許可が下りるまでには1〜2週間程度の期間を要します。
本格的な駆除は専門業者への依頼がおすすめ
忌避剤や音などを使った手軽なモグラ対策もありますが、根本的な解決には至らないこともあります。本格的なモグラ退治をするなら、専門業者への依頼がおすすめです。詳しい作業内容や料金体系は業者によって異なるので、よく比較してから依頼先を選定しましょう。
モグラ被害を予防する方法
モグラによる被害を繰り返さないためには、「予防」に力を入れることも大切です。畑のモグラを退治したあとは、以下のような対策を講じましょう。
畦（あぜ）と畝（うね）の間隔をあける
モグラは本道を通って、畑の畦から侵入してくるケースが多くあります。そのため、作物のある畝と畦との距離を離すと、モグラの侵入を防ぎやすくなるでしょう。
波型シートで侵入経路をふさぐ
畦と畝の間に波型シートを埋め込み、モグラの侵入を物理的に防ぐという方法もあります。ただし、モグラがシートよりも深くにトンネルを掘ると、そのまま侵入されてしまうため100%の効果は期待できません。
まとめ
モグラは農作物を直接食い荒らすことはないものの、トンネルを掘り進める過程で根を傷つけたり、土壌がゆるむ原因をつくったりします。モグラには「におい」や「音・振動」などを使った対策が効果的ですが、根本的な解決には至らない可能性があります。ただし、モグラは鳥獣保護管理法により保護された動物なので、むやみに捕獲してはなりません。
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