抜いても抜いても生えてくる雑草の草取り作業は本当につらいですよね。昨日草取りしたはずなのに、もう生えてきてる雑草にうんざりする気持ち、すごくわかります。
しつこい雑草対策に苦労している人は多いでしょう。今回は、そんなつらい草取りから抜け出すための方法を紹介します。
ポイントは「雑草が持つ力を知り、雑草の力を生かすこと」これを知れば、きっとつらい草取り作業から解放されるはずです!
目次
雑草の力を生かして、土を豊かにする
紹介する方法は、「根を残して草取りをし、雑草の力を生かす」方法です。伝えたいことは次の3点です。
- 草取りは雑草の根っこを土の中に残す
- 刈り取った雑草を土に返す
- 土を育てることで結果的に草取りが楽になる
雑草をすべて取り除く方法ではなく、雑草の力を生かして雑草と土と生物の相互作用を生かす方法を紹介します。なので今回は除草剤や防草シート、除草マルチの紹介はしません。
短期的な結果だけで見ると、除草剤や防草シート、除草マルチは効果的です。
しかし、それでは本質的な解決とは少し言い難いです。雑草が育つ仕組みや植物本来が持つ力を知ることで、これまで苦労してきたことを考え直すきっかけになるはずです。
まずは雑草について触れていきたいと思います。
雑草はなぜ生える
畑で作物が育ち始めたころ雑草は少しずつ生えてきます。そもそも雑草はなぜ生えるのでしょうか。
雑草のことを知ることで、新しい視点で雑草対策を考えることができるかもしれませんよ!
雑草はどこからやってくる?
種をまいたわけでもないのに雑草が生えてくるのはなぜでしょうか。雑草が生えてくる理由は次の通りです。
- 土の中に種が残っている
- 動物が種を運んできたり風に乗って飛んでくる
- 土の中に残っていた根っこから芽が出る
- 土の中で休眠していた種から芽が出る
- 地下茎と呼ばれる種類の雑草は土の中に残った茎から芽が出る
私たちが見えないところで雑草もしっかり命をつないでいるのですね。一筋縄ではいかないことがよくわかります。
雑草が作物に及ぼす影響
雑草は放置しているとあっという間に生い茂り、作物が必要とする栄養素も吸収してしまいます。
太陽の光を遮り、通気性も悪くなり、こうした環境は害虫の温床となります。これでは作物は健康に育ってはくれません。
やはり、雑草はなんとしてでもすべて取り除いたほうがいいのでしょうか。
雑草の力を活かす
雑草は栽培する作物に悪影響しか与えない存在として見られがちです。しかし、実は雑草は必ずしも作物の生育を阻害する「悪」だけの存在ではありません。
雑草が持つ力をうまく活用することで、その畑全体を作物が良く育つ肥沃な土壌へと改良させることができるのです。
雑草が持つ力とは
- 根を伸ばして土を柔らかくする
- 根から養分を出し微生物を活性化させる
- 養分を含んだ雑草を土に返すことで、微生物が分解して肥沃な土へ還元してくれる
こうした雑草が持つ力を知ると、これまでのつらく苦しいだけの草取りから解放されるかもしれません。
雑草の力を活かした草取りの方法
これまで草取りをするとき、雑草を根っこから抜いていた人も多いのではないでしょうか。今、効果的な草取りの方法として推奨されているのが、「根を残した草取り」です。
「根を残したら、結局またすぐに生えてくるんじゃないの?」という疑問が浮かび上がってくると思いますが、前章で説明した雑草が持つ力を参考に読み進めてみてください。
根を残す草取り
根を残す草取りとはどのように行うのでしょうか。
植物には「成長点」と呼ばれている、成長が始まる部分があります。成長点より下、つまり根を残しつつ根元より下の部分を鎌で刈り取ります。
これよりも上を刈り取ってもすぐに成長してきてしまいます。根っこは土の中に残して上の部分を刈り取ることを意識して行いましょう。
はじめは慣れない作業に時間が掛かってしまうかもしれませんが、のちの作業効率に大きく関係してくるのであきらめずに取り組んでもらいたいと思います。
根っこから抜いてはいけない理由
土が固くなる
雑草を根っこから抜くと、その部分の土が固まってしまいます。一時的に雑草はなくなりますが、土が固くなると固い土でも繁殖する雑草が生えてくるようになり、さらに草取りが大変になってしまいます。
根の役割を残す
植物の根には、土を掘り進めることで土を柔らかくする役割があります。栽培する作物にとっても土が柔らかいことは根を伸ばしやすい快適な環境です。
微生物の活性化
根は光合成で得た養分を土に届けます。土の中の微生物が住みやすい環境となります。雑草が枯れた後も微生物によって分解され土の栄養に。根があった場所は空洞となり土がふかふかに。
植物の根っこは土の中で微生物と共同し、作物が育ちやすい肥沃な土壌を作り上げてくれるのです。根っこから抜く草取りは悪循環を生み出しているといえます。
根っこを残し自然の相互作用を最大限に生かすことで、より効果的な草取りができるのです。
地下茎の雑草は根も取り除く
雑草の中には地下茎の種類のものがあります。これらは、土の中に茎を這わしているのでなるべく土の中から取り除いておきましょう。
代表的な地下茎の雑草は次の通りです。
- ヨモギ
- ドクダミ
- スギナ
- シロツメクサ
こうした地下茎の雑草も土がふかふかになってくると育たなくなると言われています。
刈り取った雑草をマルチや堆肥として使う
雑草マルチ
根を残して刈り取った雑草はマルチとして活用することができます。刈り取った雑草を作物の畝の上に敷くことで通気性のあるマルチとして活躍してくれます。そのまま土に返すこともできるので、土づくりの一環にもなります。
※雑草の種類によって注意点はあります。
雑草堆肥
有機物と混ぜ合わせて時間をかけて堆肥として土に返す方法もあります。
刈り取った雑草の上に米ぬかや油かすをのせ、さらに雑草をのせてといった形で何層にも有機物と合わせます。定期的に空気を送り込むきりかえしを行い、発酵させて堆肥を作ることが出来ます。
詳しい方法はここでは説明しませんが、いずれの使い方にせよ捨てるのではなく「土に返す」ことで土が豊かになっていく自然の循環を生み出すことができるのです。
すべてが循環している
雑草の根を土の中に残すことで土は柔らかくなり、微生物も活性化されふかふかな土壌が形成されていきます。すると、不思議なことにふかふかな土を好む背丈が低い雑草が生えてくるようになるのです。
背丈が低いため作物の生育を大きく妨げることも少なくなり、草取りも楽になります。雑草を根っこから抜いていても土の中の環境は良くならず、なおかつ固い土を好む雑草が生えるようになり、草取りもさらに大変になります。
自然の力による好循環を作り出すことが本質的な雑草対策なのです。
まとめ
雑草をいっさい生えなくすることは難しいです。一時的に草取りを楽にするために除草剤を使うことはもちろん一つの方法として考えられます。
しかし、雑草が生える仕組み、雑草が好む環境を知ることで、長期的な目線での雑草対策が必要だと気が付きます。
今回は、「根っこを残して雑草を刈り取る」方法を紹介しました。雑草という名前の植物はありません。それぞれ名前を持つ一つの植物として持つ力を畑の土づくりに生かすのです。
植物は根をのばすことで土を柔らかくする。土に栄養を与えることで微生物を活性化させる。根を残して刈り取った雑草は枯れて土にかえっていく。次第にふかふかな土が出来上がっていく。
こうした自然のサイクルを回していくことで、最終的に草取りは楽になるし草取り自体にも意味を持たせることができるはずです。
雑草の力を知り、雑草の力を生かすという今までとは違った視点で草取りをしてみてはいかがでしょうか。