見た目はカナブンやコガネムシによく似た甲虫、ハナムグリ。ハナムグリは和名で、正式な学名は「Cetoniinae」です。
栽培中の花や野菜に発生しているのを見かけたら、駆除すべきか悩んでしまいますよね。はたして、ハナムグリは植物に被害を与える害虫なのでしょうか?
今回は、ハナムグリの生態を解説します。カナブンやコガネムシとの違いから体の特徴などを知り、ハナムグリとの付き合い方を知りましょう。
目次
ハナムグリは害虫なの?
虫は、大きく2つに分類されます。ダニやゴキブリのように人間の暮らしに被害を及ぼす害虫と、クモやハチなどの良い影響を与える益虫です。
ハナムグリはどちらの仲間に分類されるのでしょうか?
ハナムグリは土を豊かにする益虫
ハナムグリは、草花に良い影響を与える益虫です。幼虫のころは地中で腐葉土を分解しながら成長するため、土を豊かにします。成虫になると花の蜜をエサにするので、体に花粉がつき受粉を手助けする役割を担うんです。
益虫であるハナムグリは、駆除してはいけません。ハナムグリがいることで土壌が豊かになるうえ植物は受粉がしやすくなるため、大切にしましょう。
ハナムグリの特徴は背中の斑点
<ハナムグリの特徴>
- 背中に体毛がある
- 背中に白い斑点模様
- 羽根の付け根が三角形
- 体長約1.5cm
- 本州、四国、北海道まで全国に分布
一口にハナムグリといっても、シロテンハナムグリやコアオハナムグリなどさまざまな種類がいます。個体の違いはありますが、うっすら体毛のある背中に白い斑点があれば、ハナムグリだと考えて間違いないでしょう。
一見カナブンやコガネムシと見分けがつきにくいですが、白い斑点があることがハナムグリの最大の特徴です。
ハナムグリが好む植物
ハナムグリが好むのは、木の幹から流れる樹液や花の蜜です。ハナムグリが活動する6月頃から9月頃には、北海道から九州まで日本中の家庭菜園で花に頭から突っ込み食事をする姿が見られます。
捕獲したハナムグリを飼育する場合には、エサには昆虫ゼリーや果実がおすすめです。カブトムシ用として販売されている昆虫ゼリーを与えれば、喜んで食べるでしょう。
害虫はコガネムシ!カナブンとハナムグリは問題なし
ハナムグリと似たカナブンとコガネムシですが、害虫なのはコガネムシのみです。
カナブンとハナムグリは草花への食害の心配はないので、家庭菜園で見つけても駆除する必要はありません。
コガネムシの特徴
<コガネムシの特徴>
- 光沢があるメタリックな体色
- 体長約2cm
- 緑色と茶色が混ざった色合い
- 羽根の付け根が楕円形
- 本州、四国、北海道まで全国に分布
羽根の付け根の中央部分が楕円形になっていたら、コガネムシです。
ハナムグリやカナブンは付け根部分が三角形になっているので、見分けるポイントとして覚えておくと役立ちます。
コガネムシにはアオドウガネという光沢のない種類がいるので、迷ったら付け根でチェックしましょう。
コガネムシによる被害
コガネムシによる主な被害は、食害です。コガネムシは幼虫時代には植物の根を、成虫は葉を食べてしまいます。
コガネムシの成虫が食い荒らした葉は、葉脈が残され骨のような状態になってしまうため、園芸を楽しむ人の間では嫌がられる存在です。
目につけば至急除去できる成虫以上に、土の中にいる幼虫にはさらに気をつけましょう。
コガネムシは土の中に産卵するので、気づかないうちに幼虫が大量発生していることもあります。根を食べられた植物は栄養を吸収できず、あっという間に枯れてしまうでしょう。
コガネムシの発生時期
コガネムシの成虫が発生するのは、初夏〜秋にかけての気温の高い時期です。夏の終わりに成虫が地中に産卵し、幼虫は土のなかで冬を超えます。約1年後の初夏、土から出た成虫は植物の葉などを食べて暮らし、夏の終わりに卵を産んで生涯を終えるんです。
ここで注意なのが、幼虫による害になります。成虫の発生時期は夏から秋にかけての短い期間ですが、幼虫は1年を通して土のなかにいるので常に油断できません。
コガネムシの幼虫は植物の根を食い荒らすため、ガーデニングや家庭菜園で大量発生すれば大きな被害となるでしょう。
コガネムシが発生しやすい環境とは
コガネムシが好む草花を栽培していると、自然と発生しやすくなります。コガネムシは雑草などとにかく何でも食べますが、とくに好んで食べる植物の種類は、以下の3つです。
- バラの葉
- 芝生
- マメ科の植物
ガーデニングでポピュラーなバラや芝生、家庭菜園で多くの人が栽培するマメ科の植物と、どれも人気の高い植物ですよね。
コガネムシの発生を予防する方法を後述しているので、発生する前に試してみてください。
コガネムシが発生した場合の対処法
どんなに気をつけていても、コガネムシの発生を抑えられないことがあります。そんなときのため、発生してしまったときの対処法も確認しておきましょう。
薬剤
コガネムシの駆除には、薬剤の使用が効果的です。幼虫と成虫で異なったタイプの薬剤を使えば、厄介なコガネムシも一網打尽にできます。
幼虫に効果的なのが、土壌に混ぜて使える粒状の薬剤です。使い方は、粒を植物が植えてある土に混ぜるだけ。植物が根から殺虫剤の成分を吸収し、その根を食べたコガネムシの幼虫は薬剤の効果で死に至ります。
成虫のコガネムシには、水溶性の薬剤がおすすめ。直接葉に散布することで、葉を食べたコガネムシが薬剤の影響により命を落とします。
捕まえる
「野菜を育てるのに薬剤はなるべく使いたくない」という場合には、コガネムシを自力で採集する方法がよいでしょう。コガネムシはそれほど動きが早くないため、誰でも簡単に捕獲できますよ。
また、コガネムシの駆除には、トラップを使うと作業効率がグッとアップします。
<トラップの作り方>
- ペットボトルの上部3分の1をカット
- 逆さにして下部分とくっつける
- 下にブドウジュース・酒・砂糖・酢などを混ぜた液体を入れる
- ベランダや庭に吊るしておく
臭いにつられたコガネムシがペットボトルに落ち、出てこられなくなります。ほうっておくだけでたくさんのコガネムシを採集できる、おすすめの方法です。
業者に頼む
コガネムシが大量発生してしまった・虫が苦手で触れないという場合には、害虫駆除業者に頼むとよいでしょう。インターネットなどで「コガネムシ 駆除 (町の名前)」と入力すれば、最寄りの業者が簡単に見つかります。
被害状況などを伝えれば、費用の見積もりを無料でしてもらえる場合も。1匹でもコガネムシを見つけたら、被害が大きくなる前に業者に連絡しましょう。
コガネムシを予防する方法
コガネムシの発生は、予防することができます。発生してから駆除するよりも、効果的な対策をしておくほうが草花の被害は防げるのでおすすめです。
マルチング
マルチングとは、植物を植えた地中の表面に不織布やシートを張ることでコガネムシの産卵を防ぐ方法です。
コガネムシの成虫は、土の中に潜り込み卵を産みつけます。地中の表面を覆うことで成虫が土の中に入れなくなり、産卵を防ぐことができるんです。
土の上にシートを張るだけなので、マルチングは誰でもできるのがメリット。初心者でコガネムシの発生を予防したい人は、まずはマルチングを試してみましょう。
コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは、植物どうしで一緒に植えるとお互いに良い影響をもたらすとされる植物のことです。
コガネムシ対策の場合、コガネムシが嫌う植物を隣に植えることにより寄せ付けない効果があります。
<コガネムシ対策におすすめなのコンパニオンプランツ>
・ルー
・ゼラニウム
・キャットニップ
・マリーゴールド
以上の4つは、コガネムシが嫌うため、ガーデニングや家庭菜園のさいに一緒に植えてみるとよいでしょう。
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まとめ
ハナムグリは、花の受粉を助けたり土壌を豊かにしたりする益虫です。見つけても追い払わず、見守りましょう。
注意すべきなのは、コガネムシです。根や葉を食い荒らして草花を枯らすこともあるので、予防して発生しないようにしてください。