初心者でも簡単に育てられることから、ガーデニングや家庭菜園で人気の高いきゅうり。栽培が簡単な反面、いろいろな害虫が好み、天敵が多いという欠点があります。
そこで、今回はきゅうりにつく害虫についてまとめました。害虫の品種や被害状況、予防から対策まで解説しますので、きゅうりを栽培中の人は必見です。
目次
きゅうりにつきやすい害虫とは?
まずは、きゅうりに寄生する害虫をご紹介します。作物の代表的な害虫には、ヨトウムシやセンチュウ、カメムシなどがいますが、きゅうりにつきやすいのは別の品種です。
生態を解説しますので、どんな病害虫がいるのか確認しておきましょう。
ウリハムシ
ウリハムシは、体長約8mm、オレンジ色の体色が特徴の甲虫です。主にウリ科の植物に寄生し、幼虫時代には植物の根を、成虫になると葉っぱに食害を与えます。
成虫は体を回転させながら葉っぱの表面を食べるため、穴が空いたり輪状の跡が残ったりするのが特徴です。
ハダニ
きゅうりはもちろん、どんな作物も被害にあう可能性があるのが、ハダニです。植物の葉っぱの裏に集団で寄生し、栄養を吸収します。
ハダニの食害にあうと植物は葉緑素を失い、光合成できなくなるという多大な影響を与えてしまうんです。
アブラムシ
アブラムシは、アブラムシ科に属する虫の一般名称で、学術的に「アブラムシ」という虫は存在しません。アブラムシ科の虫の多くは、口にストロー状の細長い管を持ち、それを植物の葉っぱに刺して栄養を吸汁します。
体長は1〜2mmのものが多く、数匹に寄生されただけでは見つけづらいでしょう。そのため、被害が広がってから気づくことが多い、園芸をするうえで非常に厄介な虫です。
粉蝨(コナジラミ)
きゅうりに白っぽい粉のようなものを見つけたら、コナジラミの寄生を疑いましょう。コナジラミは、コナジラミ科に属する昆虫の総称で、植物に発生すると食害を及ぼす病害虫です。
気温が高く乾燥した環境を好むため、雨が当たらないベランダでのプランター栽培や、観葉植物に発生しやすいといわれています。
草花が生い茂った場所で繁殖するため、雑草を放置していると大量発生しやすいのが特徴。株本体だけではなく、周辺環境にも注意が必要です。
タバコガ
きゅうりの葉っぱ・茎・果実にまで食害を与えるのが、タバコガです。成虫は、体長約1.5cmにまで成長し、きゅうりだけではなく、なすやトマト、ピーマンなど、さまざまな植物に寄生します。
成虫は空を飛んで植物を渡り歩き、卵を産み付けます。孵化すると青虫となり、葉っぱを食べたり茎や果実のなかに潜り込んだりしながら、被害を広げていくのが特徴です。
アザミウマ
アザミウマ目に属する昆虫の総称で、同じ系統の虫を一般名称としてアザミウマと呼びます。現在200種以上が発見されていますが、どれも体長は小さく、1〜2mmほどの大きさのものばかりです。
きゅうりなどの野菜に寄生すると、口から針状の器官を出して穴を空けます。続けて、その穴にストロー状の口から唾液を流し込み、植物の組織を壊しながら吸汁するという食事スタイルです。
きゅうりに発生する害虫の被害
きゅうりが病害虫の被害にあったら、まずはどの害虫が原因なのか突き止めなければ、対策できませんよね。そこでポイントになるのが、作物の被害状況です。
ここでは、初心者でもわかる害虫被害の見分け方を解説します。
きゅうりの葉に穴が開く
きゅうりの葉っぱに穴が空いているのを見つけたら、ウリハムシが原因である可能性が大きいでしょう。
気温が高い時期に活発に活動するため、5月〜8月頃の被害なら、ほぼ間違いありません。
きゅうりの葉に白い筋ができる
きゅうりの葉に、白い筋状の汚れがあったら、トマトハモグリバエの幼虫による食害を疑いましょう。トマトハモグリバエは、野菜や草花に好んで寄生するハエの仲間です。
成虫は植物の葉のなかに産卵し、孵化した幼虫は葉の内部で育ちます。トンネル内を進むように食害を広げていくため、トマトハモグリバエに寄生されると白い筋ができるのが特徴です。
きゅうりの葉脈に沿って白い斑点
きゅうりの葉脈に白い斑点状に変色したカビのような部分があれば、ミナミキイロアザミウマによる被害の可能性が大きいです。
ミナミキイロアザミウマは、体長約1mmという非常に小さな虫で、葉に寄生して栄養を吸汁します。対応が遅れると葉っぱが壊死してしまうので、見つけたら早急に退治しましょう。
きゅうりに発生した害虫の駆除方法
きゅうりに発生する害虫は数種類いますが、基本的な駆除方法は4つです。
- 手やテープで捕獲する
- 歯ブラシでこすり取る
- 木酢液を散布する
- 殺虫剤を散布する
害虫の数が多くないなら、手やテープ、歯ブラシなどを使用し捕獲するのがおすすめです。気づいたときにすぐ対処できるため、被害の広がりを抑えられるでしょう。
大量発生してしまったときは、木酢液や農薬などを株全体に散布するのが効果的。木酢液に殺虫成分はないものの、特有のニオイで害虫を退治できます。
きゅうりの害虫を予防する対策
害虫対策は、きゅうりに寄せ付けないことが何よりも重要です。最後に害虫を予防する方法を紹介します。
防虫ネット
多くの害虫は、別の場所からきゅうりに飛来してやってきます。
幼虫も、もとは成虫が産み付けた卵が孵化したものなので、成虫の侵入を防ぐことが防除になるんです。簡単にできて効果の高い害虫対策が、防虫ネットでしょう。
防虫ネットとは、物理的に無視が入れないようにした網目の細かいネットのことをいいます。
きゅうりの株全体を覆うようにネットをかけるだけで、害虫の侵入を防げるのでおすすめです。
牡蠣の殻
予防効果が高い防虫ネットですが、菜園の見た目が悪くなってしまうというデメリットがあります。
普段のお手入れもやりにくくなるので、別の方法がよいと思う人もいるでしょう。そこでおすすめなのが、牡蠣の殻を使った予防方法です。
有機石灰として植物の肥料にもよく使われる牡蠣殻ですが、病害虫予防にも効果を発揮します。
土壌に砕いた牡蠣殻をまくだけで、厄介な害虫を寄せ付けにくくなるので、試してみてください。
簡単にできる手作り虫除けスプレー
害虫予防には、虫除け効果のあるスプレーを散布しておくことが効果的です。
虫除けスプレーはさまざまな種類が販売されていますが、手作りできることをご存知でしょうか?
<材料>
- 純米酢:500ml
- トウガラシ:10本
- ニンニク:1〜3片
- ガラス容器:750ml
<作り方>
- トウガラシのヘタと種子を取り除く
- 皮をむいたニンニクを包丁で潰す
- ガラス容器に純米酢を注ぎ込み、①のトウガラシと②のニンニクを入れる
- 30〜60日かけて浸透させる
材料はどれもスーパーなどで簡単に手に入りますし、作り方も簡単です。薬剤を使わず害虫予防したい人は、作ってみてください。
まとめ
きゅうりが害虫被害にあうと、生長を阻害したり見た目が悪くなったりするため、収穫ができなくなる場合もあります。そうならないためには予防が大切です。
防虫ネットや牡蠣殻、手作りスプレーなどを使い、害虫が寄りつきにくい環境で栽培しましょう。
この記事も読まれています➡土作りの順番|家庭菜園で成功するために知っておくべき超基本