トマトやミニトマトの茎がブツブツしているのを見つけて、驚いた経験がある人はいませんか?
茎がぶつぶつしていると、「なにかの病気?」「どうすれば消えるの?」とパニックになりますよね。
とくにトマト栽培初心者の場合、このまま栽培を続けてよいのか悩んでしまうでしょう。そこで今回は、トマトの茎にできるぶつぶつの正体についてご紹介します。
ぶつぶつが発生したときの対処法から収穫したトマトを食べてもよいのかまで解説しますので、要チェックです。
目次
トマトの茎のぶつぶつの正体は「気根」
トマトの茎に出現するぶつぶつは、「気根」といい、地上に出る根の一種です。
気根はどんな植物にも出るもので、主に4つの役割があります。
- 空気中の水分を吸収するため
- 呼吸するため
- 株本体や茎を支えるため
- ほかの樹木などに着生・貯水するため
トマトに出る気根は、多くの場合空気中の水分を吸収するためだといわれています。つまり、株が水分不足になっている可能性が高いということです。
気根が出たからといっても、トマトがすぐに枯れてしまうわけではありません。
栽培環境が少しよくないものの、気根自体が発育に悪影響を与えるわけではないので、栽培は続けられますよ。
気根が発生した場合の対処法
発育に問題ないとはいっても、茎にぶつぶつが現れるのはあまりよいものではありませんよね。
ここでは気根が発生してしまう原因と対策を解説するので、トマト栽培の参考にしてください。
用土が過乾燥で水不足
培養土が水不足により乾燥していると、トマトは空気中の水分を吸収するために気根を出して、水不足を補おうとします。
土が乾燥していることがわかったら、たっぷり水を与えましょう。
トマトの水やりは、毎日1回、朝行うのがおすすめです。朝のうちにたっぷり水やりすれば、日中は太陽の光を浴びてスクスク成長します。
水不足にならないようにするなら、1日1回の水やりを欠かさないようにしましょう。
根腐れによる水不足
水不足により気根が出現すると紹介しましたが、水は与えすぎてもよくありません。
植物の根は、土のなかで呼吸しています。水を与えすぎると、土のなかで呼吸できなくなるため根が腐ってしまうんです。
トマトの水やりは、怠らずやりすぎないように与えるのが適切。前述したように、1日1回朝に水やりするのがおすすめです。
真夏など、気温が高い時期は土の様子を見ながら夕方も与えるとよいでしょう。
また、畝を高くして土壌の水はけをよくする方法もおすすめです。水はけを良くすれば、土のなかで根が窒息しにくくなるため、根腐れする可能性がグッと減りますよ。
根の環境が狭すぎる
根の環境が狭すぎる場合も、トマトに気根が出現します。
土のなかが狭いと根がのびのび成長できないので、水分を吸収できなくなってしまうんです。すると、トマトは水分不足になり気根を出して水分を吸収しようとします。
根の環境が狭いと感じたら、以下の方法を試してください。
- 大きなプランターに植え替える
- 広い菜園に移植する
根が広い環境で生育できなければ気根が出る可能性が高いので、植え替えるのが有効です。
プランター栽培なら一回り大きなものに、地植えなら株間をもっと取れる場所へ植え替えましょう。
土壌菌が原因の病気
トマトの気根は、土壌中に存在する菌が原因となって出現することもあります。
気根が出る原因になる土壌菌は、以下の2つです。
<かいよう病>
トマトに気根が発生する原因でもっとも可能性が高いのが、かいよう病です。茎に気根が出現するほか、下のほうにある葉がしおれ、クルッと巻いた状態になります。
かいよう病の原因となる菌は湿度の高い環境を好むので、風通しの良い環境で栽培するのがおすすめです。
とくに雨が多く湿度が高い梅雨時期は、雨と湿度に注意してください。
<青枯病>
トマトの茎から乳白色の液体がぶつぶつと出てきたら、青枯病を疑いましょう。
青枯病は、天気の良い日に症状が出るのが特徴の病気です。天気が良い日は葉がしおれて元気がないのですが、晴れると枯れてしまうので、ほかの菌との判断がつきやすいでしょう。
水はけの悪い環境でトマトを栽培すると、土壌のなかにいる青枯病の細菌が流れ出ずに根から侵入するといわれています。
青枯病を防止したいなら、水はけの良い場所で栽培しましょう。
茎のぶつぶつは元に戻るの?
トマトに出現するぶつぶつは、見た目がよいものではありません。気持ち悪いと感じる人も多いことでしょう。しかし、一度出てしまったぶつぶつは、元に戻ることはないんです。
ぶつぶつがどうしても気になる場合は、その部分を切りとるしかありません。
病気が原因でない限り、ぶつぶつがある部分を切っても発育に影響はないので、問題なく栽培できます。
茎にぶつぶつがあるトマトは食べてよい?
ぶつぶつが出現したときに多くの人が気になるのは、「収穫したトマトの実は食べられるのか」という点ですよね。心配はいりません。ぶつぶつが出現したとしても、トマトの実は問題なく食べられます。
茎にできるぶつぶつは、トマトが空気中の水分を取り込むために気根を出現させていると考えられています。気根は人体に害があるものではないので、安心して実を食べてください。
しかし、ぶつぶつの原因が病害虫で、症状が実にも出ている場合は、食べるのは避けたほうがよいでしょう。
まとめ
トマトの茎にあらわれるぶつぶつは、気根とよばれるものです。
気根は、トマトがさまざまな理由から水分不足になったことで空気中の水分を取り込むために出していると考えられています。
トマトが気根を出す原因は、以下の4つ。
- 用土が過乾燥で水不足
- 根腐れによる水不足
- 根の環境が狭すぎる
- 土壌菌が原因の病気
病害虫が原因である場合をのぞき、気根が出たからといってトマトが枯れてしまうわけではありません。
気根が出現したら、トマトからのSOSだと思い、一度栽培環境を見直しましょう。トマトをより良い環境で栽培すれば、たくさんの美味しい実を収穫できること間違いなしです。
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