家庭菜園などでもつくられることの多い、トマトやミニトマト。初心者でも簡単に育てられるとあって人気の農作物ですが、栽培にあたってはカメムシの食害に注意が必要です。
今回は、カメムシの生態やトマトへの被害内容、正しい対処法をまとめました。トマトへの被害を最小限に抑えるため、カメムシの正しい駆除方法を学びましょう。
目次
害虫カメムシが付くとトマトはどうなる?
学術的には、「カメムシ」という名称の昆虫は存在しません。カメムシ目に属する昆虫の総称を、一般名称としてカメムシと呼びます。
さまざまな種類がいますが、体長は1〜2.5cmほどで、体色は緑色や褐色であることが多いです。強烈なニオイを放つことから、「クサムシ」や「ヘコキムシ」と呼ばれることもあります。
カメムシによってトマトが食害をうけると、その部分には細い針で刺されたような斑点状の跡が残るのが特徴です。カメムシは、口から出した細い管をトマトに刺し込み、ストローのように水分を吸汁します。このときの刺し跡が、斑点のように残ってしまう原因となるんです。
カメムシの被害にあったトマトは、吸われた部分の色が変わり、形もイビツになってしまいます。とくに農業で生計を立てている人にとっては、カメムシは天敵だといえるでしょう。
カメムシ被害にあったトマトは食べられる?
カメムシの被害にあったトマトは、食べられないため収穫できません。正確には、「食べられないわけではないけれど、美味しくない」です。
前述したように、カメムシはトマトに管を刺して中身を吸汁します。そのため、食害にあったトマトは水分が抜けて硬くなるという症状があらわれます。
熟して赤くなったトマトでも、カメムシの被害にあうと、熟す前の青いトマトを食べているような食感になってしまうんです。
カメムシが発生する原因
ガーデニングや家庭菜園をするなら、カメムシが発生するのは防ぎたいですよね。予防のためには、発生する原因を知っておかなければなりません。
カメムシが発生する主な原因は、2つ。
- 近所に植物が生い茂る空き地がある
- 暖かい気温
カメムシが発生する原因の1つ目が、産卵と食事ができる草花が生い茂った空き地の存在です。
植物が生い茂っていることで、果実や花の蜜はカメムシの食事になり、繁殖・産卵の場としても最適となります。空き地で増えたカメムシは、食事を求めて庭やベランダに飛来するため、農家や一般家庭に被害をもたらすんです。
暖かい気温も、カメムシが発生する原因とされています。カメムシの産卵期は6月で、7月の気温が高くなる頃には孵化して幼虫となり、脱皮を繰り返しながら9月には成虫に。
11月頃まで活発に行動し、被害を広げます。カメムシの寿命は1年半といわれているため、越冬するのもポイントです。
カメムシが発生してしまったら
どんなに対策をしても、カメムシは発生してしまうことがあります。
ただ、発生しても諦める必要はありません。駆除方法を知れば、大切な作物を食害から守れますよ。
気温低い時間に除去する
カメムシが活発に動き回るのは、気温が高い時間です。気温が高いと元気に動き回るため、捕まえにくい可能性があります。そのため、カメムシを駆除するなら朝や夕方、夜などの、一日のなかで比較的気温が低い時間を狙うのがおすすめです。
昆虫が苦手ではないなら、カメムシは手で簡単に捕獲できます。動きが鈍った時間を狙い、一網打尽にしましょう。
株全体をゆすって落とす
発生した数が多い・手で触りたくないという場合におすすめなのが、株全体をゆすってカメムシを落とす方法です。
カメムシといえば、鼻にツンとくる嫌な悪臭が有名ですよね。手で捕獲すると臭いがつく場合があるので、ゆすって落ちてきたカメムシを靴で踏んで退治するとよいでしょう。
数が減ったら木酢液や竹酢液を使う
手で捕獲したり株をゆすったりしてカメムシの数が減ったら、次は木酢液や竹酢液を使ってみましょう。
木酢液・竹酢液とは、木炭や竹炭を製造する過程で出る水蒸気を冷やし、集めた液体です。独特な香りで、アブラムシやカメムシなどの防除によく使われています。
トマトについたカメムシを見つけたら、木酢液や竹酢液をスプレーしてみてください。数匹なら、臭いを嫌がって駆除することができるでしょう。
カメムシに有効な予防方法
カメムシの駆除に成功したからといって、もうカメムシが発生しないわけではありません。
また、発生しないようにするためには、対策をすることが大切なんです。最後に、カメムシ予防に有効な対策を解説します。
風通しを良くする
カメムシが生息するのは、たくさんの植物が生い茂り、隠れやすい場所です。
家庭菜園のトマトが伸び放題となっていると、カメムシは居心地がよいため大量発生してしまいます。カメムシが発生しないように、風通しを良くすることを心がけましょう。
こまめにわき芽を刈り取る・上の葉っぱを取り除き下まで日光があたるようにする、などの作業を欠かさず行ってください。
カメムシの被害を抑えたいのなら、日常の管理が大切です。
周辺の雑草を除去する
どんなにトマト本体の風通しをよくしても、周辺に雑草があればそこでカメムシが発生してしまいます。近くで発生したカメムシは、トマトに飛来し、食害を及ぼすでしょう。
被害を防ぐためには、家庭菜園のなかだけではなく、周辺の手入れも怠ってはいけません。
とくに、カメムシが活発に動くうえ雑草の成長も進む暑い季節は、雑草が伸びすぎないように注意しましょう。
落ち葉やゴミを溜めない
ゴミや落ち葉を溜めないことも、カメムシ対策として大事なポイントです。積もった落ち葉やゴミの隙間にカメムシが侵入することで、カメムシが越冬する場を与えてしまいます。
冬の間は大人しくしていても、越冬したカメムシは、暖かくなると植物に被害を与えるでしょう。
発見したらすぐに駆除する
有効的な対策として、カメムシを発見したらすぐに駆除することも大切です。トマトにカメムシがいたら、被害にあう前に駆除してしまいましょう。
そのためには、日々の管理を怠らないようにしてください。トマトの様子を毎日確認していれば、カメムシがいたときにすぐに対処できますよ。
木酢液を使用する
駆除方法でも紹介したとおり、カメムシの退治には木酢液が有効です。カメムシを見つけたら、木酢液を散布してみましょう。
農薬を使っていない木酢液は、トマトなどの食材に使う害虫駆除としては最適です。殺虫剤ではないですが、カメムシが嫌がる臭いで防虫効果は抜群ですよ。
また、木酢液は植物の肥料と一緒に使うことで、トマトの生育を促進させる効果もあります。病気の予防にもなり、カメムシ予防にもなるため、一つ持っておくと安心です。
トマトの隣にミントを栽培する
カメムシが嫌うのは、木酢液だけではありません。ガーデニングで人気の高いミントの香りも、カメムシを寄せ付けないといわれています。
ミントを使った予防方法は、非常に簡単です。トマトの隣でミントを栽培するだけ。人間にはミントが放つ爽やかな香りは心地よいですが、カメムシは寄りつきにくくなること間違いなしです。
しかし、一点だけ注意があります。ミントは地植えせず、プランターなどに植え付けてトマトの隣に置きましょう。
ミントなどのハーブ類は生命力が非常に強く、隣に植えてある植物に悪影響を及ぼすことがあるためです。カメムシが寄ってこなくなったとしても、ミントがトマトの生育を邪魔しては本末転倒ですよね。
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まとめ
トマトの水分を吸い尽くしてしまうカメムシは、菜園の天敵です。せっかく育てたトマトを美味しく食べるためにも、カメムシ対策は欠かせません。
雑草を刈り風通しをよくする・木酢液を使う・横でミントを育てるなどの予防をすることで、カメムシを寄せ付けないようにできます。
カメムシの被害を最小限に抑え、美味しいトマトを楽しんでください。