自宅で過ごす時間が増え、家庭菜園を始める人や、これから始めようとしている人が増えています。
これから始めようとしている人の中には
「家庭菜園初心者でもトマトは育てられるの?」
「家庭菜園でのトマトの育て方が知りたい!」
と思っている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、トマトの育て方についてを畑仕事の経験がある筆者が経験者目線で解説します。
具体的には
・トマトの育て方の全体像
・事前準備
・栽培をスタートしてからの流れ
といった順番でご紹介します。
家庭菜園についての知識がない人でもチャレンジできるような内容になっていますので、ぜひご一読くださいね!
目次
トマトの育て方のポイントとは
まず、トマトの育て方のポイントには「トマトを育てるのに適している場所」と「トマトを育てるのに適している土」の2つがあります。
それぞれについてご紹介します。
トマトを育てるのに適している場所
トマトは南米が原産の野菜のため、下記のような環境で育てるのがおすすめです。
・乾燥している
・太陽の光をしっかり浴びられる
・昼夜の温度差がはっきりしている
具体的には、建物の影になりにくい場所を選ぶと良いでしょう。
というのも、トマトは乾燥している環境を好むものの、水やりは必須です。
そのためには、日光がたっぷり当たる場所、つまり建物の影になりにくい場所がおすすめなのです。
また、トマトは毎年同じ場所に植えると連作障害が出やすくなります。
連作障害とは、毎年同じ場所に植え続けていると、生育障害が起きることです。
例を挙げると
①土壌障害(細菌やウイルスが土の中で増えてしまい、野菜が病気になってしまう)
②土壌中虫(土の中に特定の虫が増えすぎてしまい、根腐れを起こしてしまう)
③生理障害(栄養素が過剰、もしくは不足し、花が咲くのに実がつかないなど)
といった障害が起きてしまうのです。
以上の理由から、3年~4年くらいトマトの苗を植えていない場所を選びましょう。
トマトを育てるのに適している土
トマトを育てるときには、土づくりも大切です。
トマトが育ちやすい土の条件は以下のような条件が挙げられます。
・水はけが良い
・多湿ではない
・栄養がある
水はけを良くするには、しっかりと耕してから、肥料を撒くことがおすすめです。
また、高畝に栽培することで、梅雨の時期に雨がたくさん降っても浸水しにくくなります。
高畝とは、地平面から20~30cmほど高く土を盛り上げることで、水はけを良くしたり、通気性を高くしたりできます。
トマトを育てるのが初めての方は苗から育てるのがおすすめ
前項目でトマトの栽培に適した環境を紹介してきました。
栽培に適した環境で育てることで、失敗するリスクを減らせますが、さらに失敗のリスクを減らす方法があります。
それは、初心者の方は「種」からではなく「苗」から育てることです。
せっかく育てるなら自分が育てたトマトを収穫したいですよね。
そのため、育てるのが初めてで不安な方は苗を用意して栽培しましょう。
トマトを育てるのに適している時期や必要な期間
家庭菜園でトマトを育てる場合は、4月下旬~5月上旬頃に苗の植え付け作業を開始するのが適しています。
具体的には、最低気温が15℃くらいになった時期がおすすめです。
正確なタイミングは、ご自身が住んでいる地域の気温を確認しながら、苗の植え付けを開始してくださいね。
4月下旬~5月上旬に苗の植え付けをすると、7月~8月頃に収穫ができます。
苗の植え付けから収穫までは、5か月くらいを想定しておくと良いでしょう。
家庭菜園でトマトを育てるための事前準備
家庭菜園でトマトを育てるためには、事前準備が大切です。
必要なアイテムや、栽培環境をご紹介しますね。
トマトを育てるために必要なアイテム
トマトを育てるために必要なアイテムは以下になります。
・トマトの苗
・苗を植えるための場所
・クワやスコップ
・ジョウロなどの水を与えるもの
・園芸用ハサミ
・支柱(雨よけを作る際にも使えるので本数に余裕があると良い)
・肥料
・ビニールマルチ
・雨よけに使用するビニール(園芸用ビニールはもちろん、ワンシーズン使い切りであれば、光を透過する大きめのゴミ袋を切って1枚にしたものでも可)
プランターで育てる場合は、プランターも用意しましょう。
プランターで大玉トマトを育てることも出来なくはないですが、プランターで育てたい場合は実が小ぶりなミニトマトが適しています。
今回は、大玉トマトを露地栽培する場合について詳しくご紹介していきますね。
露地栽培とは、ハウスやプランターなどを使わず、屋外の畑で作物を育てることです。
アイテムが揃ったら土づくりをして栽培環境を整える
トマトを育てるのに必要なアイテムが揃ったら、土づくりをしていきましょう。
「トマトを育てるのに適している土」で先述したとおり、トマトを育てるには土づくりが大切です。
植えつけ前に、苗の植え付けを予定している場所に石灰を撒き、しっかりと耕します。
トマトの根は意外と深くまで張るので、深めに耕すことがポイントです。深く耕すことで、水はけも良くなりますので、忘れずにおこないましょう。
植えつけの1週間くらい前になったら、畝を作ります。
20cm~30cmの畝を作り、ビニールマルチを張りましょう。
ビニールマルチとは、畝に被せる資材のことで
・雑草を生えにくくする
・畝の水分量が多くなりすぎるのを防ぐ
といった効果があります。
ビニールマルチには、色が複数ありますが、トマトを育てる際には黒色のビニールマルチがおすすめです。
黒色のビニールマルチは、土の中の温度を適度に上げて保湿するので、春に植えつけをするトマトに適しています。
準備が整ったらトマト栽培をスタート
準備が整ったらトマトの栽培をスタートしましょう。
はじめてトマトを育てる人は種ではなく苗の植えつけから
苗を植えつけは下記の手順で行います。
※ポットから出したときに根についている土を崩さないようにやさしく取り出しましょう。あえて、土を落とす必要はありません。
※土を押さえて固める必要はありません
苗を植える際のポイントが1つあります。
それは、花を同じ向きに揃えて植えることです。
なぜかというと、トマトの花は同じ側につくため、花の向きを揃えておくと収穫がしやすくなるのです。
花を通路側に向けておくことで収穫がスムーズに行えますので、意識してみてくださいね。
苗を植えたらすぐに支柱を立てて安定感を
苗の植え付けが完了したら、次は支柱を立てましょう。
支柱とは、苗が風で折れないように支えるための棒のことです。
苗の植えつけ後すぐに支柱を立てることで、風で苗が折れてしまうことを防げます。
植えつけをしてから支柱を立てるまでに時間が空いてしまうと、その間に天候の影響で苗が倒れてしまうこともあるので、できるだけ早めに支柱を立てるのがポイントです。
主茎が伸びてきたら誘引をします。
主茎とは、苗の中心にある太くてしっかりとした茎のこと、誘引とは、支柱に沿って主茎が育つように誘導することです。
主枝の誘引は支柱に30cmほどの間隔でひもを八の字で結んでいきます。
ひもの種類は、トマトの実を傷つけない素材をえらびましょう。
具体的には
・ビニールひも
・麻ひも
がおすすめです。
トマトは成長すると、150cmくらいに伸びるので、支柱の長さは200cm前後を選びましょう。太さは15ミリ~20ミリであれば、トマトの実がついても支柱がしなることもないので、安心して栽培できます。
雨よけのための屋根を設置して実が割れるのを防ぐ
トマトの実が雨に当たると、実割れを起こしたり、病気になったりします。
実割れや病気を防ぐためには、雨よけのための屋根を張るのがおすすめです。
雨よけの屋根は、トマトが植えてある畝の両側に支柱を何本か立て、その上にビニールをかぶせるだけで完成です。
ビニールが飛ばないようにしっかりと支柱に結びつけておきましょう。
また、支柱とビニールがセットになった雨よけセットも市販されています。
畑のサイズと合ったサイズのものがあれば、市販の雨よけを活用しても良いでしょう。
大玉トマトは収穫まで時間がかかるので、雨に晒される時間も長くなります。
そのため雨よけを設置しておかないと収穫ができなくなってしまうこともあります。
わき芽かきをして中心の幹がたっぷり栄養を得られるような状態に
葉の付け根から出てくる「わき芽」は、すべて「わき芽かき」をします。わき芽とは、葉のつけ根や茎のつけ根から出ている芽のことです。
わき芽を放置していると下記のデメリットがあります。
1.葉が茂りすぎて花がつきにくくなってしまう
2.わき芽が成長してしまうと、主枝との見分けがつきにくくなってしまう
3.わき芽の成長に養分を使ってしまうので、実に十分な養分が行き渡らなくなる
わき芽かきは、トマトを育てるにあたってとても重要な作業ですので、1週間に1回程度のチェックがおすすめです。
かき取るときは、ハサミではなく手で摘み取ります。
なぜなら、ハサミで切ってしまうと、ハサミの刃に付着した樹液を介してウイルスに感染してしまう危険があるのです。
わき芽かきは切り口が乾きやすい、晴れた日の午前中におこなうと良いでしょう。
もしわき芽を見逃してしまって大きくなってしまった場合でも大丈夫。
大きくなってしまった場合は、手で摘むのが難しくなりますので、大きくなってしまった場合に限り、ハサミを使用してわき芽を取り除きましょう。
花が開いたら受粉のタイミング
花が開いたら、受粉のタイミングです。
ほとんどの場合、花が風で揺れ、その揺れで受粉されますので、特に手を加える必要はありません。
落花防止や着果を促進するために、ホルモン剤を散布しても良いでしょう。
ホルモン剤は、開花した花にだけ散布し、気温が高すぎない日に散布します。
また、濃度が高すぎると空洞果というトマトの果肉とゼリー状の部分に隙間が出来てしまう原因になってしまうので、注意が必要です。
成長に応じて肥料を追加で与える
実がつきはじめたら、追肥をします。
追肥とは、トマトの成長に応じて追加で肥料を与えることです。
大玉トマトの場合は、実がピンポン球くらいの大きさになった頃が追肥のタイミングです。
追肥は株のすぐ近くではなく、少し離れたところに施します。
なお、追肥は絶対ではありません。
・茎が太い
・葉が内側に向かって丸くなっている
・葉の色が濃い
上記のような場合は、肥料が効きすぎているため、追肥は必要ありません。
葉や茎の状態をチェックして、追肥が必要かどうか判断しましょう。
主茎が成長したら先端を摘み取って成長を止める
主茎の先端が支柱のてっぺんに達したら、先端を摘芯しましょう。
摘心とは、苗の芽の先端部分を摘み取ることです。
トマトは放っておくと、どんどん成長し先端が伸びていきます。
先端が伸びすぎると、主茎の成長に養分がとられてしまい、実に十分に行き渡らなくなってしまいます。
そのため、適度なタイミングで先端を摘み取るのです。
摘芯の際に気をつけるポイントがあります。
それは、1番上にある花房より上に出ている2・3枚の葉を残しておくことです。葉を残しておくことで、株が充実し、実に養分がたっぷりと届きます。
主茎が十分に成長した頃には、株の下の葉は役目を終えています。
先端を摘み取るのと一緒に下葉かき(最初に実をつけたトマトより下の葉を取り除くこと)も行いましょう。
下葉かきを行うことで、風通しが良くなり、日当たりも良くなるので、病気になる確率を下げられるのです。
栄養をしっかりめぐらせるために摘果をおこなう
大玉トマトは、1つの花房に多く着果した場合は摘果をおこないます。
なぜかというと、1個1個の実にしっかりと養分を届けるためです。
1つの房には、4~5個の実がつくように摘果をしましょう。
形の良い実や、順調に育っている実を残して、他の実を摘み取ります。
適度な摘果により、十分な大きさで形の整った実が育ちます。
ついに収穫!赤く熟したトマトから収穫
開花してから、60日前後が収穫のタイミングの目安です。
見た目で判断するときは、ガクが反対側に反り返ったら収穫時期と判断しましょう。
実の色がまんべんなく赤くなった実から順番に収穫します。
トマトは日中に光合成をして養分を作り、夜に養分を実に蓄えます。
そのため、朝収穫するのがおすすめです。
家庭菜園初心者でもポイントを押さえればトマトの栽培ができる
家庭菜園初心者の方向けにトマトの育て方をご紹介しました。
自分で育てて収穫したトマトは普段のトマトよりもさらにおいしさを感じられるのではないでしょうか。
今までトマトを育てたことがない方もぜひ挑戦してみてくださいね。