かぼちゃを家庭菜園などで栽培していると、雄花しか咲かないことがあります。
植物の多くは、雌花と雄花が受粉することで実ができるので、雄花ばかりでは受粉ができなくなってしまいますよね。なぜ、雄花ばかりが咲くという現象が起こるのでしょうか?
今回は、雄花ばかりが咲いてしまうときに考えられる原因と合わせて、雄花と雌花の違いやかぼちゃに発生しやすい病害虫をご紹介します。
過去にかぼちゃ栽培で失敗したことがある人は要チェックです。
目次
かぼちゃの雄花ばかり咲く原因は?
かぼちゃが雄花ばかり咲いてしまうときに原因となるのは、つるぼけです。
原因を知ることで雄花ばかりが咲くことを防げる可能性があるので、覚えておきましょう。
つるぼけ現象
つるぼけしたかぼちゃは、葉が青々と茂り、たくさんのつるが伸びているため、一見生育が順調に見えます。しかし、このときのかぼちゃは葉やつるを伸ばすことに集中している状態です。
かぼちゃがつるぼけする主な原因は、ちっ素分の多い肥料の与えすぎだといわれています。
ちっ素は、茎や葉、つるを伸ばすのに使われる栄養素です。ちっ素分が多く含まれる肥料を与えすぎると、株の成長が旺盛になりすぎてしまい、株が生殖活動を忘れてしまうと考えられます。
対処法は?
前述したとおり、つるぼけの主な原因はちっ素分の与えすぎです。かぼちゃを正しく栽培したいなら、肥料の量に注意しましょう。
肥料は、与えないのも与えすぎもよくありません。かぼちゃの場合、肥料の容器に記載されている用量よりも少ない量を与え、若干ストレスを当てるくらいにするのがおすすめです。
雌花ばかりになることも
かぼちゃの成長過程では、雄花ではなく雌花ばかりが咲くこともあります。
雌花ばかりが咲く場合は、どのような原因があるのでしょうか?
ストレスがかかっている
雌花ばかりが咲いてしまうときの理由の一つとして、かぼちゃにストレスがかかっているということがあります。
そして、一口にストレスといってもいろいろな原因があるんです。
- 栽培時期がズレている
- 育苗ポットが小さすぎた
- もともと弱い苗だった
植物は、ストレスを感じると子孫を残そうと生殖活動が活発になるといわれています。そのため、雌花をたくさん咲かせて少しでも多く受粉しようとするんです。
草勢を回復させる方法
草勢を回復させたいときは、肥料の力を借りるとよいでしょう。肥料には、リン酸やカリウムなどが多く含まれるものを選んでください。
リン酸には開花や実の成長を促す作用があり、カリウムには根から水分・養分を吸収する力を高める作用があります。
この2つを多く与えることで、かぼちゃ本来の生殖活動を活発にする効果が期待できるでしょう。
また、雌花の数が多すぎる場合には、余分なものを摘み取るようにしてください。雌花が適正な数になれば、雄花の咲くスペースができるので、順調に成長していくこと間違いなしです。
雌花と雄花の違いはすぐわかる?
かぼちゃ栽培初心者だと、雄花と雌花の違いがわからないという人もいるのではないでしょうか?
かぼちゃの雄花と雌花は花びらの色も同じため、パッと見ただけではわからない可能性があります。
ここでは、雄花と雌花それぞれの特徴を解説しますので、チェックしておいてください。
<雌花の特徴>
- 子房(花の下の膨らみ)がある
- しべが円状に集まっている
<雄花の特徴>
- 子房がない
- しべが一つしかない
見分けるポイントは、子房としべの2つを見ることです。
花だけでは見分けがつきませんが、よく見ればまったく違うので、見間違えないようにしましょう。
つるの整理は必要?
かぼちゃは、つるを伸ばして成長するタイプの野菜です。つるはぐんぐん伸びて菜園に広がっていくので、整理をする必要があります。
ほかの植物の栽培スペースへ侵食しそうなときや、つるが無駄に伸びすぎてしまった場合は、つるを向かってほしい方向へ誘引し、ピンや麻ひもで留めましょう。
強い力は必要ないので、誰でも簡単にできます。
上手く受粉させるには?
雄花と雌花が順調に咲けば、かぼちゃは虫や風の力を借りて自然受粉します。
しかし、虫が来られない高層マンションのベランダや、風に当たらないビニールハウスで栽培している場合は、人工授粉させるほうが間違いないでしょう。
かぼちゃの人工授粉の手順は、以下のようになります。
- 雄花を切り取る
- 雄しべを雌しべにこすりつける
雌花の下にある子房が果実になるので、雌花は切り取ってはいけません。必ず、雄花を切り取り、雌花のなかになる雌しべにこすりつけるようにしてください。
発生しやすい病害虫
かぼちゃ栽培では、栽培方法のほか病害虫にも注意しなければいけません。
最後に、発生しやすい病気と害虫をご紹介します。
病気
かぼちゃに発生しやすい病気のなかでもとくに多いのが、うどんこ病・つる枯病・モザイク病です。
うどんこ病
かぼちゃの葉を中心に、うどんの粉をまぶしたような白いかびが発生する病気です。症状が進むと株全体に広がり、最終的に発育不良によって枯れてしまいます。
つる枯病
茎・葉・実など、株のいたるところに黄色の斑点があらわれる病気です。とくに実に症状があらわれると、見た目が悪くなるため収穫量に影響がでます。
モザイク病
葉の葉脈に黄色い線があらわれ、次第にモザイク状の斑点になるのが主な症状です。
また、葉や実の形にも影響を及ぼし、ボコボコと見た目が悪くなる場合も。症状が出た部分は治ることはないので、発生に気づいたらすぐ取り除きましょう。
害虫
かぼちゃに発生しやすい害虫は、アブラムシ・ハダニ・ウリハムシの3種類です。
アブラムシ
体長2〜4mmと小さな体ながらも、葉の裏に集団で発生するため、大きな被害を及ぼす害虫です。ストロー状の口で葉に穴を開け、栄養分を吸汁します。
アブラムシはポピュラーな害虫なので、効果的な薬剤がたくさん販売されています。発生に気づいたら、薬を使用するとよいでしょう。
ハダニ
体長0.4〜1mmと、非常に小さな害虫です。主に葉の裏に寄生し、栄養を吸汁します。吸汁された葉は葉緑素を失うため、葉が白くなるのが特徴です。
葉が白くなり、裏を見たときに小さな黒や赤の点が見えたら、ハダニに寄生されたと考えられます。
発生すると厄介なので、発生させないことが大切です。ハダニは湿気に弱いので、葉に水を散布しておくとかなり発生を抑えられますよ。
ウリハムシ
ウリ科の植物に寄生する、害虫です。体長は約1cm。オレンジ色の虫が、かぼちゃの葉や茎にいるのを発見したら、ウリハムシで間違いないでしょう。
ウリハムシは、直径1〜2cmの円ができるように葉や果実を食べるのが特徴です。
寄生されると被害が拡大するので、見つけたら手で取り除きましょう。
まとめ
かぼちゃは、育て方を間違えると、雄花しか咲かない・雌花しか咲かないという状態になってしまいます。
それぞれの原因は、以下の通りです。
- 雄花しか咲かない場合:ちっ素分の多い肥料を与えすぎた
- 雌花しか咲かない場合:育苗ポットが小さすぎた・栽培期間がズレている
成長に合わせて適度な肥料を与えることが、かぼちゃ栽培を成功させるコツです。
今回紹介した、発生しやすい病害虫の対策なども参考にして、美味しいかぼちゃを自宅で楽しみましょう。