あったかい鍋料理に欠かせない白菜は、秋冬に育てたい植物の代表格ですよね。丸ごと食べるものだから、家庭菜園で無農薬で育てたいという方もいるでしょう。
でも、せっかく挑戦したものの、うまく結球しない、霜枯れした、など収穫に至らなかったという話もよく耳にします。
この記事では、ガーデニング初心者の方でも白菜をうまく結球させるコツと育て方のポイントを解説します。
目次
白菜が結球しない理由とは?
白菜・レタス・キャベツなどの葉物野菜が、球状に丸くなる性質を結球といいます。なぜ起こるかというと、成長ホルモンが葉の裏表から外側に移動するためです。
白菜がうまく結球しない主な原因は、温度管理の失敗、害虫被害、肥料の過不足などがあげられます。
タネまきの時期
白菜は、種まきの時期が早すぎても遅すぎても結球しにくくなります。種まきは8月下旬までに行いますが、初心者には夏の盛りに発芽させるのは容易ではありません。
育苗ポットやセルトレイなどに種まきをして、涼しい場所で管理するとよいでしょう。
苗の植え付け時期
白菜は、植え付けのタイミングが遅れるとうまく結球しません。お住まいの場所や育てる品種によっても時期は違いますが、9月の上旬~中旬までには植え付けを完了してください。
育苗に失敗して植え付けが遅れそうな時は、既に大きく育った苗を購入して植えてください。
また、難易度はあがりますが、元気な株から断根挿し木して鉢上げするのも1つの手です。
害虫被害
白菜は、苗が若いうちに外葉の芯が害虫被害に遭うと、成長ホルモンのバランスが崩れて結球しません。
アオムシ、アブラムシ、ヨトウムシ、コナガなどの食害対策としては、種まきから結球するまでネットを被せて防虫してください。
家庭菜園で農薬を使いたくない方は、株もとにもみ殻燻炭を撒いておくとナメクジがつきにくくなります。心を鬼にして、芯の部分に消毒するのも効果があります。
追肥が遅い
白菜は、秋から冬まで長い栽培期間の間に追肥が必要になる植物です。
植え付け時に溝施肥などで緩行肥料を与えていない場合は、定植から2週間後に新規の追肥を行います。それから2週間ごとに1㎡あたり50gを目安に追肥を行います。
ただし、化成肥料を与えすぎると、葉焼けの原因にもなるので、魚粉や油かすなど有機肥料もおすすめです。
肥料過多または不足
極端な黄緑色に育ってしまったら肥料過多のサインです。追肥は行わず、中耕と除草のみで対処してください。白菜の根は細く深く張っているので傷つけないように注意しましょう。
また、肥料が少ないと白菜の葉は弱々しく、うまく結球できなくなります。即効性のある尿素を含む窒素肥料を与え、適切な追肥と同時に中耕と除草を行ってください。
白菜の栽培に失敗しないコツ
ここからは、失敗せずにうまく結球させるコツや育て方を解説します。種まきから収穫まで栽培のポイントを順次お伝えしますので、参考にしてください。
土壌選びと畑づくり
白菜は水はけのよい土壌を好むため、畝を立てて栽培してください。水持ちの良過ぎる土で育てると結球しません。
直播きや苗の植え付けの際には、2週間前までに苦土石灰、1週間前までに堆肥を入れてよく耕しておきましょう。
白菜は栽培期間が長いので、畑づくりの際にはゆっくり効いてくる緩効性の有機肥料での溝施肥がおすすめです。
種まき
種まきの時期が早過ぎると病害虫の被害が出やすく、遅過ぎると結球しにくくなります。
春まきより秋まきの方が簡単ですが、8月下旬から9月上旬の種まきのタイミングを逃さないことが重要です。
初心者の方は、家庭菜園での生育に適した早生種を選んで、セルトレイに撒いて管理すると楽です。各セル内に5ミリ程度の穴をあけ、1~3粒をまきバーミキュライトで覆土してください。
温度管理
白菜の生育のための適温は15~20℃なので、温度管理には注意が必要です。生育適温から大きく外れてしまうと生育不良を起こしてしまい、結球しません。
寒くなってきたり気温が零度以下になるような場所では、マルチを張る、外葉で縛る、など保温する工程が必要になってきます。
遅くとも11月下旬には、細胞内の水分が凍って霜枯れしてしまわないように、外側の葉で縛って保温してあげましょう。
育苗の環境と潅水管理
白菜は、体内に96%もの水分量を含む野菜なので、潅水管理は徹底して行います。直まきで育苗するときは、トンネルの上に日除け用の寒冷紗を張り、日中の高温と直射日光から苗を守ってください。
セルトレイで育苗する場合も、本葉がでるまでの潅水は、朝たっぷり水やりしたら夕方の土は乾き気味にするなど、水分調整をマメにして、苗の徒長を防ぎます。
本葉3枚以降は生育が旺盛になるので潅水はたっぷり行いましょう。
定植
苗を植える2週間前までに堆肥、1週間前までに苦土石灰を入れて土づくりは済ませておきましょう。
ネットは防虫だけでなく、日除けや防寒にも使える寒冷紗、マルチは大根サイズの植え穴があるシルバーマルチを用意してください。苗を定植する際は、事前に植穴にたっぷり水やりしましょう。
手順は下記のとおりです。
- 溝に肥料を埋め込む
- 畝を上げる
- マルチを張る
- 白菜を定植する
- トンネルを作り、ネットを張る
病害虫対策
なるべく無農薬で育てたいときは、防虫ネットを被せて栽培し、葉裏の害虫チェックにつとめ、見つけ次第拿捕してください。
有機栽培農家などでは、元肥にもみ殻燻炭とボカシを埋め込んでおき、根を強くして病気になりにくく育て、燻炭の匂いで虫を寄せつけないようにします。
白菜農園では、植え付け時に粒剤を土の中に埋め込み、薬剤散布して消毒します。軟腐病、べと病、根こぶ病など発生してからでは致命的な状態になる病気については、家庭菜園でも早期防除に努めましょう。
結球しなかったときの対処方法
白菜栽培で最もよくある失敗は、葉っぱが巻かないことです。通常は10月中旬から徐々に結球が始まりますが、結球しないときは、即効性のある液肥を水やり代わりに与えてください。
中芯の結球部分は、外葉が元気に育って光合成エネルギーを送ってくれないと体力不足で結球できません。
結球時期の気温が15℃を下回るような地域では、プランターを軒下に移動させたり、縛る作業を早目に始めて、防寒対策を施しましょう。
霜枯れから白菜を守るとともに寒さで甘みが増して食べやすくなります。初霜に当てて葉や茎をやわらかくしてから、外葉をまとめあげ、紐でひねるようにして縛ると傷めません。
早生品種は、種まきから60日前後で収穫できるので、年内どりなら縛る必要はありませんが、越冬どりをする場合は、11月下旬から縛る作業をはじめます。1月になると外葉は枯れてきますが、中の葉っぱは充実していき、収穫期を迎えます。2月初旬まで順次必要な量だけ収穫してください。
前述した通り、白菜が11月になっても結球しない場合はその後結球することはありません。捨てるのがもったいないからリーフレタスのようにそのまま食べてみては?と思うかもしれませんが、残念ながら、結球しない葉は固くて苦いです。
対処法としては、白菜としての収穫は諦め、春まで待って菜の花として食べるのがよいでしょう。
まとめ
白菜栽培を失敗しないためには、温度管理、追肥、防虫、縛る作業など、いくつか大切な工程がありました。最近の農業では、縛る工程を省くため葉を巻きやすくした品種など、いろんな種類のタネが改良され、利用されています。
園芸初心者の方でも、早生種のミニハクサイなら気軽にプランター栽培で楽しめそうですね。育てやすい品種を選んで、ご家庭での白菜作りに挑戦してみてください。
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