収穫を期待して、土に植えた里芋。芽が出なくて困った経験はありませんか?里芋は、家庭菜園やガーデニングで比較的簡単に育てられる野菜ですが、栽培にはコツがあるんです。
今夏は、里芋の芽が出ないときに考えられる原因や、催芽方法をご紹介します。
里芋栽培を失敗させないポイントもまとめましたので、参考になること間違いなしです。
目次
里芋の芽が出ないのはなぜ?
最初に、里芋の芽が出ないときに考えられる原因を解説します。
主に2つの理由がありますので、栽培時のコツとして覚えておきましょう。
発芽までの期間
里芋は、植え付けてから発芽するまでに約2ヶ月かかるといわれています。
里芋の仲間であるジャガイモやさつまいもが発芽にかかる時間は、1ヶ月もかかりません。そのため「いくら待っても発芽しない」と勘違いする人が多いんです。
発芽するまでの期間を知っておけば、芽が出なくても気長に待てますよね。
土のなかでしっかり育てられるので、水やりなどの世話を怠らないようにしましょう。
深植え
里芋の植え付けは、種イモとよばれる実を土に植えることで完了します。このとき、表面から20cm以上深い場所に植え付けてしまうと、かぶせた土の重みで芽が出なくなることがあるんです。
種イモを植えるときの深さは、表面から7〜8cmが適切。深く植えすぎないよう、注意してください。
里芋の発芽を早める催芽とは
里芋栽培の成功率を上げる方法として、催芽という作業があります。催芽とは、土に植える前に種イモの芽を出しておくことです。
催芽は、里芋の成長に多くのメリットがありますので、ぜひ試してみてください。
初期の生育が早くなる
前述したとおり、里芋は催芽せずに植え付けた場合、発芽までにかなり時間がかかります。しかし、あらかじめ芽を出してから植え付ければ、発芽を待つ必要がなくなるため、成長が早くなるというメリットがあるんです。
初期の成長が早くなるということは、それだけ栽培期間も伸びるということですよね。
長く栽培できれば、里芋の実が大きく成長するでしょう。大きいサイズの実がたくさん収穫できますよ。
発芽不良がなくなる
種イモを催芽せずに植えた場合、すべての種が順調に成長するとはかぎりません。
土のなかで腐ってしまったり、十分に栄養を吸収できなかったりして芽が出ないものが必ずあります。
発芽不良の種いもが多いと、それだけ実の収穫量が減ってしまいますよね。催芽すれば、発芽不良の心配がなくなるため、収穫量が大幅にアップすること間違いなしです。
畝を有効活用ができる
一般的な里芋の植え付け時期は、4月中旬〜下旬です。しかし、催芽する場合の植え付け時期は、5月中旬になります。
植え付け時期が遅くなるぶん、菜園をほかの野菜の栽培に使えるのも、メリットの一つです。
里芋の催芽方法
続いて、催芽の方法をご紹介します。催芽の正しい方法を知れば、初心者でも里芋栽培による失敗がグッと減りますよ。
適した時期
季節によって湿度や気温が大きく違うので、催芽は適した時期にすることが非常に大切です。時期を間違えると、どんなにほかの環境を整えても栽培はうまくいきません。
催芽する時期でおすすめなのは、3〜4月中旬です。催芽しない種いもの植え付け時期より、1ヶ月ほど前になります。
ポットに植える
里芋の催芽は、育苗ポットなどカリの植え付け場所を用意します。ポットに野菜用の培養土を入れたものを準備してください。
種イモを培養土のなかに植えるときは、芽が出るほうを上にするのがポイントです。間違えて芽が出るほうを下にして植えると、うまく発芽しなくなる可能性が高いので、注意してください。
植え付ける深さは、種イモが土に隠れる程度にしましょう。そして、植え付け後は水をたっぷり与えます。
この後、発芽するまでは水やりはしないので、ポットの底から水が流れ出るくらいの量をやりましょう。
保温して発芽させる
種イモを植え付けたポットは、日当たりのよい場所で管理します。里芋の発芽には20℃以上の温度が必要なので、なるべく暖かい環境になるようにするのがコツです。
雨や気温の低い日が続く場合は、簡易ビニールハウスなどを用意するのがおすすめ。冷気は地面からくるので、ポットの底が冷えないように注意しましょう。
植え付けの目安
前述したように、里芋の発芽に必要な地温は20℃以上です。しかし、一口に温度20℃といっても、住んでいる地域によって20℃を超える時期は違いますよね。
以下に、地域ごとの植え付け時期の目安をまとめましたので、参考にしてください。
<催芽しない場合>
地域 | 目安の時期 |
暖地 | 3月下旬〜4月 |
中間地 | 4月上旬〜5月中旬 |
寒冷地 | 5月〜6月上旬 |
<催芽する場合>
地域 | 目安の時期 |
暖地 | 4月下旬〜5月 |
中間地 | 5月上旬〜6月中旬 |
寒冷地 | 6月上旬〜7月上旬 |
里芋栽培で失敗しないポイント
野菜の栽培は、発芽してからがスタートです。芽出しに成功しても、その後間違った栽培方法で育てれば、野菜は枯れてしまうでしょう。
最後に、里芋栽培を失敗しないためのポイントを2つご紹介します。
芽かき
里芋は、発芽のさいに1つの種いもから2つ以上の芽が出るときがあります。1つの種イモから2つ以上の芽が出ると栄養分が分散してしまうので、芽かきをしましょう。
芽かきの方法は、とても簡単です。生えてきた芽のうち、健康的で勢いのあるものだけを残し、あとは引き抜いてしまいます。
このとき、芽だけを持って引っ張ると、種イモごと抜けてしまうため気をつけましょう。
種イモが抜けないよう、土の表面をおさえ、不要な芽だけが抜けるよう慎重に引っ張ってください。
追肥・土寄せ
里芋の栽培では、追肥と土寄せという作業も大切です。大きな実をたくさんつける里芋は、とくに追肥が欠かせません。
栽培途中で肥料を追加しないと、栄養分が足りなくなってしまう可能性があるので、忘れないようにしてください。
里芋栽培における主な追肥・土寄せの時期は、以下の2回です。
1回目:5月下旬〜6月中旬
里芋の本葉が2〜3枚になった頃を目安に追肥します。1株あたり、1握りの化成肥料を与えましょう。土寄せは、5cmほどの高さになるように株元に土を盛ります。
2回目:7月中旬
里芋が本葉の数5〜6枚にまで成長した頃にします。追肥は、1回目と同じ要領で、化成肥料を与えてください。
土寄せも、同じく5cmの高さになるよう、盛りましょう。
まとめ
里芋の芽が出ない場合、2つの理由が考えられます。
- 発芽期間を把握していなかった
- 種いもを深く植えすぎた
里芋栽培を成功させたいなら、植え付け前に催芽するのがおすすめです。
あらかじめ種イモの芽を出してから定植すれば、初心者でも芽が出なくて困ることは少ないでしょう。
発芽したあとは、芽かきや追肥・土寄せ作業をすることで、里芋栽培が失敗する可能性がグッとおさえられます。自宅で、採れたての新鮮な里芋を楽しんでください。