家庭菜園で人気のナスですが、一般的にプランター栽培は難しいといわれています。なぜ、ナスはプランター栽培が難しいのでしょうか?
ナスのプランター栽培が難しい理由とあわせ、成功させるための注意点やコツをまとめました。
プランター栽培に合った苗や土の選び方を紹介するので、参考にしてください。
目次
ナスのプランター栽培は難しい?
ナスのプランター栽培がなぜ難しいのか知るには、まずナスの基本的な栽培方法を知ることが大切です。
ナスの基本的な栽培方法を知れば、なぜプランター栽培が難しいといわれているのかわかるでしょう。
ナスの植え付けや収穫時期
ナスの植え付けは、冬が終わり気温が上がり始める頃の、4月下旬〜5月上旬が最適です。
気温が、少しずつ20度を超える日が増える季節ですね。しかし、寒冷地に住んでいる場合は少し変わってくるので、居住地域の気温を見て時期を決めましょう。
収穫できるのは、夏から秋の期間と覚えておくとよいでしょう。
5月に植え付けたナスは、7月に一度収穫時期を迎えます。その後、8月に剪定して休ませることで、秋にもう一度収穫できるようになるんです。
しっかり休んだナスは勢いを取り戻し、美味しい秋ナスを楽しめますよ。
ナスの栽培適温
ナスは夏野菜として人気ですよね。そのため、生育するうえで適温となるのは、28〜30℃前後です。
日当たりのよい場所なら暖かいと感じる温度で、これ以上寒かったり暑かったりすると、ナスは生育しづらくなってしまいます。
ナスを種から育てるのは難しい?
家庭菜園でナスを栽培しようと思ったら、苗を買ってきて培養土に植え付ける人が多いでしょう。ナスの種子を購入し、発芽させて育てる人はあまりいませんよね。
しかし、ナスは家庭で種から育てることはそれほど難しいことではないんです。
以下に手順を紹介しますので、参考にしてください。
<ナスを種から育てる手順>
- プランターに鉢底石・培養土を入れる
- 種を土の表面に置き、土をかぶせる
- プランターの下から出るまで、たっぷり水を与える
- 発芽するまで毎日水やりする
- 種まき後、1週間ほどで発芽
苗の種類と選び方
まず、苗を買って植え付ける場合、接ぎ木苗と種から育てた苗の2種類から選びます。どちらの苗が育てやすいのでしょうか?
接ぎ木苗を選ぶ
おすすめは、接ぎ木苗です。接ぎ木苗とは、異なる2つの苗を繋ぎ合わせてつくる苗のこと。接ぎ木してつくられた苗は、2つの苗の良い部分を受け継ぐので、強く枯れにくく育つとされています。
接ぎ木苗は、種から育った苗よりもメリットが多いため、苗を選ぶときには接ぎ木苗を選びましょう。
接ぎ木苗のメリット
接ぎ木苗のメリットは、以下の3つです。
- 病害虫が発生しにくい
- さまざまな環境に強い
- 連作障害に強い
ハダニやアブラムシなどの害虫被害に強く、高温・低温への耐性がある品種で接ぎ木苗をつくることによって、強いナスに育ちます。
また、野菜でよく見られる連作障害の影響を受けにくいのも、接ぎ木苗のメリットの一つです。
連作障害とは、同じ作物を同じ場所で続けて栽培することで、作物がうまく育たなくなることをいいます。立枯病や根こぶ病を引き起こし、株がすぐに枯れてしまうことがあります。
土とプランターの選び方
プランター栽培では、土とプランターが欠かせません。ナス栽培におすすめの土とプランターの選び方をご紹介します。
培養土
販売されている野菜用培養土なら、元肥や堆肥が入っているため初心者でも使いやすいでしょう。
自分で培養土を手作りする場合、以下のポイントをおさえておいてください。
<ナスが好む培養土の作り方>
- 土の酸度はph6.0〜6.5
- 酸度が高い場合は苦土石灰で中和させる
- 多肥を好むため化成肥料プラスする
培養土を使う場合も自分で作る場合も、大切なのは土の保水性です。
ナスは水を好むタイプの野菜なので、保水性の高い土になるように意識して作ってください。
プランター
ナスの栽培に必要なプランターのサイズは、横30cm・縦30cm・深さ30cmです。
これより小さいプランターではナスが十分成長できず収穫量も減ってしまうため、注意してください。
植え付けと支柱立て
品種にもよりますが、ナスは成長すると高さが80〜100cmになります。そのため、支柱などで支えなければ倒れてしまう可能性があるんです。
ここでは、ナスの植え付け方法と支柱立てのコツをご紹介します。
支柱立て
ナス栽培での支柱の立て方は、1本仕立て・2本仕立て・3本仕立てなど、いくつかのやり方があります。
仕立て方を変えることで収穫量が変わるので、希望に合わせて選びましょう。
1本仕立て
ナスの茎に沿って支柱を1本立て、育てていく方法です。横に広がらないため、栽培スペースが狭い場合におすすめ。
2本仕立て
真ん中の支柱で交差するように、2本の支柱を斜めに立てる方法です。実を多く収穫できないかわりに、少ない実に栄養が凝縮するため大きな実ができる傾向があります。
3本仕立て
1本仕立てにプラスして、成長した枝に沿わせるように支柱を斜めに挿す方法です。ナスは斜めに伸びるので、より大きく成長できるというメリットがあります。
植え付け
購入した苗や種から成長した苗を定植するときには、5つのポイントをおさえておきましょう。
- 培養土に育苗ポットより一回り大きい穴を掘る
- 穴全体が濡れるように水を与える
- 育苗ポットからナスを取り出し、根を少しほぐす
- 穴に苗を入れ、土をかぶせる
- 株元を少し抑え、苗を安定させる
ナスの育て方
最後に、ナスの育て方をご紹介します。水やりや追肥のタイミングから収穫まで、美味しいナスを育てるコツを覚えておいてください。
水やりのタイミング
ナスは水を好む植物です。プランター栽培では水が蒸発しやすいため、水分不足による土壌の乾燥に気をつけましょう。
プランターの場合、風通しの良い場所で管理し、水やりは毎日行うのがおすすめ。プランターの底から水が流れ出るまで、たっぷりと水を与えてください。土の乾燥が気になる真夏では、朝と夜の2回水やりをしてもよいでしょう。
肥料・追肥のタイミング
ナスは、肥料を好む性質があります。生長しながら肥料を吸収するので、定期的に追肥するのが効果的です。
ナスの追肥には、化成肥料を使用しましょう。追肥のタイミングは、一番果を確認したとき、1番果を見つけたときに、その後2週間ほどの間隔をあけて追肥するのがおすすめです。
摘芯
摘芯とは、主枝から伸びたわき芽の先端をカットする作業のことをさします。
摘芯の仕方は、とても簡単。わき芽にできた花芽が開花したら、上にある葉を2枚残しカットします。すると、カットした部分からさらにわき芽が伸び、より多くの実を収穫できるでしょう。
一番果の若取り
ナスは一般的に6月下旬から果実ができはじめます。最初にできる実を一番果というのですが、これは成長を待たず早めに取りのぞいてください。
こうすることで、株が栄養をたくわえ、収穫時期となる7月にはたっぷり栄養の詰まった実を収穫できるんです。
収穫
ナスの一般的な収穫時期は、7月です。しかし、ナスの収穫は7月だけでは終わりません。
7月にある程度収穫したら、8月にできた実はすぐにカットし、追肥をしながら株を休ませましょう。
8月に肥料を吸収して、たっぷり休んだナスは、秋になるとまた収穫できます。昔から秋ナスは美味しいといわれているので、食べるのがさらに楽しくなりますよ。
まとめ
プランターでのナス栽培は、コツをおさえれば十分可能です。縦・横・深さが30cm以上のプランターに野菜用培養土を入れて、病害虫に強い接ぎ木苗を定植しましょう。
接ぎ木苗は暑さ・寒さに強いうえ、病害虫や連作障害の予防にもなるため、苗を選ぶときは必ず選択してください。
初心者でも、プランター栽培で美味しいナスを楽しめること間違いなしです。
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