野菜の成長を日々楽しめる家庭菜園。「興味はあるけれど何から始めればいいのかな?」「庭がないから家庭菜園はあきらめるしかないのかしら。」と悩んでいる人も多いはずです。
そこで今回の記事では、手軽に始められるプランターを使った家庭菜園についてご紹介していきましょう。家庭菜園初心者にわかりやすく、プランターで家庭菜園を始めるときに必要な知識やアイテムを中心に解説します。
プランターを使った家庭菜園で育てやすいおすすめの野菜の育て方も紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
プランター家庭菜園の基礎知識
プランターを使った家庭菜園を始めるときに、最低限知っておきたい基礎知識。身につけておくと、野菜が上手に育ってますます家庭菜園が楽しくなります。
野菜の根の環境に欠かせない土作り、成長を促す水のやり方、そしてプランター家庭菜園の日当たりについて解説していきましょう。
プランター家庭菜園の土作り
プランターで家庭菜園を始めるときには、植える野菜ごとに適した土作りができます。最初は市販の野菜用の培養土を購入するのもおすすめです。
慣れてくれば赤玉土や腐葉土、肥料を使いこなして野菜の種類ごとに土をブレンドすると、野菜の生育が良くなります。また自分で土作りをすることで、コストを下げることができます。
家庭菜園の土作りの基本は、苗を植え付ける2~3週間前までに準備をすることです。特に土の酸性度を調整する苦土石灰と元となる肥料タイミングは間違えないように注意しましょう。
用土に苦土石灰を混ぜて酸性度を中和してから、1週間後を目安に元肥を入れます。その後1~2週間経ったころに購入した野菜の苗を植え付けると、野菜の根が肥料や苦土石灰の影響を強く受けて傷む心配がありません。
野菜の種類別におすすめの配合比率をご紹介します。参考にしてください。
葉菜類・果菜類におすすめの配合
赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1+苦土石灰+元肥
根菜類におすすめの配合
黒土3:赤玉土3:バーミキュライト3:川砂1+苦土石灰+元肥
プランター家庭菜園の水やり
プランターで栽培する家庭菜園では水やりがとても大切です。なぜなら庭や農園の家庭菜園では、野菜は根を自由に伸ばして土の中から水分を補給できます。しかし、プランターという容器の中で育てる家庭菜園では根を張る範囲が限られてしまうからです。
プランター家庭菜園の水やりのポイントについてまとめておきましょう。
水やりの時間帯
- 1日1回午前中に水やりをする
- プランターの底から水が流れるくらいたっぷりと
- 受け皿の水は貯めたままにせず、都度捨てる
ほとんどの植物は午前中に活発に光合成をして栄養分を作ります。そのため、できれば早朝に水やりをするのがおすすめです。
水をやるときには、プランターの底からしっかりと水が流れ出るのを確認するようにしましょう。土の中にたまっている汚れた空気を排出するのも水やりの大きな役割です。
また、プランターに受け皿を使っているときは、水を貯めたままにすることで病気の元になる細菌やウィルスが繁殖しやすくなるため、その都度捨てるようにしましょう。
土の表面の乾燥を見きわめる
用土によって乾燥の度合いは異なりますが、土の表面が白く乾燥したら水をたっぷりやりましょう。野菜によって水切れを起こしやすいもの、乾燥に強いものがあります。家庭菜園のプランターごとに水やりのタイミングを変えることも必要です。
特にベランダのプランター菜園では、強風が吹き付けると土が思った以上に早く乾燥します。こまめに観察して家庭菜園の野菜が水切れを起こさないように注意するのがポイントです。
家庭菜園初心者に多い水やりの失敗が、水の与えすぎです。頻繁に水を与えすぎると根が空気と触れる機会が少なくなり、根腐れを起こして枯れてしまうこともあります。
家庭菜園の初心者ほど、土の表面の乾燥状態を確認してから水をやるように気を付けましょう。
夏の水やり
水やりは基本的に1日1回と前述しましたが、夏場のプランター家庭菜園はそれでは間に合いません。野菜はプランターの中で根を伸ばしても限りがあります。
しっかりと家庭菜園に水分を補給するために、午前中の水やりに加えて涼しくなった夕方にもう一度水やりを行いましょう。日中の暑い時間は必ず避けるのが、夏の水やりの大きなポイントです。
プランター家庭菜園の日当たり
家庭菜園に必要な最後の条件は日当たりです。野菜が成長するためには、水と酸素、そして日光が必要です。特に日照を必要とするもの、逆に半日陰を好むものと野菜の種類によってプランターを置く位置を変えましょう。
ただし、夏場の西日はプランター家庭菜園には強すぎます。葉が日焼けを起こしてしまうこともあるため、避ける対策をするのがおすすめです。
プランター家庭菜園のメリットとデメリット
プランター家庭菜園のメリット
プランターで家庭菜園する一番のメリットは、菜園との距離が近いことです。庭やベランダで管理するプランター家庭菜園は、農園などへわざわざ出かけなくてもすぐに様子を観察できます。そのため、こまめに防虫対策や水やりなど世話ができて、おいしい野菜の収穫につながります。
また、気候の影響も最小限に抑えることができます。台風が来そうなときには軒下や玄関へプランターを避難させる、遅霜の恐れがあるときには保温シートをかけるなど、すぐに対策することで家庭菜園の野菜を守りやすいのもメリットです。
わざわざ収穫に出かけなくても、ベランダや庭に出るだけで野菜が採れるのも大きな魅力です。忙しい毎日を送る人でも、趣味の一つとしてプランターでの家庭菜園は始めやすいですね。
プランター家庭菜園のデメリット
では、プランター家庭菜園のデメリットとはどんなものがあるのでしょうか。プランター菜園では、プランターを置く場所が限られるため、あらかじめ計画をしっかり立てる必要があります。
畑や農園に比べると自由度が低いプランター菜園。置き場所によっては育てた野菜の背が高くなりすぎて困る、横に広がりすぎてベランダの使い勝手が悪くなることも考えられます。
また、ベランダや庭の方向によってはプランター菜園に不向きな場合があります。北向きや西向きのベランダでは日差しの管理が難しく、プランター菜園には向いていないといえるでしょう。
プランター家庭菜園にそろえておきたい道具
プランターの家庭菜園に必要な基礎知識が身についてきたら、いよいよ道具をそろえていきましょう。プランター菜園を始めるときに必要なアイテムをご紹介します。
プランター
ひと口にプランターといっても、さまざまなサイズのものがそろっています。育てる野菜の種類とプランターを置く場所に適した大きさと深さのものを選ぶことが大切です。
プランターの主な種類についてまとめておきましょう。
- 平鉢型プランター
プランターの表面積に対して深さが浅いものを指します。ほうれん草などの短い草丈の葉物野菜の栽培に適しています。 - スタンダードポット
円形のプランターで口径、深さがともに30cm、容量は15L程度のものを指します。おしゃれなデザインのものも多く、ミニトマトやピーマンなど果菜類の栽培に向いています。 - 650型プランター
長さ65cm×幅20cm×深さ20cm程度のプランターです。容量は15Lで標準的なプランターのサイズとされています。ほとんどの野菜の栽培に向いています。
用土
家庭菜園初心者は野菜用の培養土からスタートするのがおすすめです。家庭菜園経験者は畑や庭の菜園と同じ配合で、苗を植え付ける3週間前までに用土を配合しておきましょう。
ジョウロ
最近ではコンパクトに収納できるおしゃれなジョウロも販売されています。ベランダでのプランター菜園では場所を効率よく使う必要があります。
また、おしゃれなジョウロがあると、水やりの時間が楽しくなります。水を入れて持ち歩くのに負担がないかどうか確認して購入するのがおすすめです。
鉢底土とネット
プランターの底には水はけを確保するために穴が開けられています。必要な穴なのですが、その穴から虫が侵入してくるのは防がないといけません。そのためにも鉢底に敷くネットは必ず準備してください。
また、鉢底土は非常に軽く、水はけを良くするだけではなくてプランター全体の重さを軽くできるというメリットがあります。
プランターの底にはネットを敷いてその上に鉢底用の土、そして用土を入れましょう。
支柱
キュウリや豆類など、つるを伸ばして成長する野菜には支柱が必要です。また、背が高く成長するミニトマトやピーマン、ナスが倒れるのを防ぐためにも支柱があると便利です。
支柱の長さは育てる野菜とプランターのサイズ、置き場所を考えて選ぶようにしましょう。
その他のツール
スコップや土入れ、園芸用のハサミ、支柱に野菜をくくり付ける麻ひもも忘れずに準備しましょう。
プランター家庭菜園で育てやすい野菜
プランターでの家庭菜園に向いている野菜の代表、ミニトマトとキュウリ、そしてブロッコリーの育て方をご紹介します。
ミニトマト
家庭菜園初心者は種からではなく、ホームセンターや園芸店で購入できる苗から始めるのがおすすめです。
苗の購入は4月下旬~5月。植え付け前に土作りを行います。プランターのサイズはミニトマト1株に対してスタンダードポット1つが目安です。650型のプランターでは2株までにしましょう。
苗を植え付けたら株元に垂直に支柱を立てます。麻ひもなどで茎と支柱を8の字にしばります。茎の成長を考えてゆるめにしばるのがポイントです。
ミニトマトの栽培で一番大切な作業が「わき芽かき」です。茎と葉の間から出てくるわき芽を放置すると葉が茂り過ぎて管理しづらくなります。清潔なハサミでこまめにかくようにしましょう。
プランター菜園では支柱の先端まで茎が伸びたら、そこで主枝の芯を切るのが摘芯です。土の量や高さに制限があるプランター菜園では、摘芯することでミニトマトの実に十分に栄養がいきわたります。
ミニトマトの実が大きくなってきたら、化成肥料を2週間に1度追肥します。
最初の花が咲いてから約40日経つと、ミニトマトの実が赤く色づき始めます。赤く色づいたものから収穫して新鮮なミニトマトを味わいましょう。
キュウリ
キュウリの苗はゴールデンウィークごろに植え付けるのがおすすめです。早い時期から苗は出回りますが、暖かくなってから購入した方が生育状態が良い苗が手に入ります。
根鉢を崩さないように注意しながらプランターへ植え付けます。株元に支柱を立てて8の字にゆるめに誘引しましょう。たっぷりと水やりをして日当たりの良い場所で管理します。
キュウリは水切れにとても弱い性質があります。植え付け後の管理も水切れに注意しながら行いましょう。
キュウリは背が高く伸びる野菜です。プランター菜園では支柱の高さで摘芯をして管理します。キュウリは成長期には毎日伸びて葉も繁ります。つるを適切に誘引するためにはキュウリネットがおすすめです。混み合った部分は整枝して、風通し良く管理しましょう。
キュウリは水はけや風通しが悪いとうどんこ病にかかりやすくなります。
また、キュウリの代表的な害虫にはアブラムシとウリハムシがあげられます。アブラムシは新芽につきやすいため、よく観察して粘着テープなどで駆除しましょう。ウリハムシは飛んでくるため、防ぐのが難しい害虫です。葉を食害して数が増えるとキュウリが枯れる原因にもなります。
食品成分を使った農薬などを適切に使用することも考えましょう。
キュウリは収穫のタイミングを逃すと風味が落ちてしまいます。約20cm程度が標準的な大きさと言われていますが、夕方に小さかったキュウリが翌朝には大きく育っていることもあります。
少し小さめのうちに収穫するのが、おいしくキュウリを食べるポイントです。
ブロッコリー
ブロッコリーは根を真っすぐ伸ばす、直根性の野菜です。そのため、深さが30cm以上のプランターを準備しましょう。また、ブロッコリーは冬場に害虫や鳥から狙われやすい野菜です。防虫ネットも合わせて準備したいですね。
ブロッコリーは土の過湿を嫌う性質があります。用土は水はけの良いものを選び、鉢底土や赤玉土の大玉を使用しましょう。
生育のよい苗はポットの中で根が巻き付いていることがあります。その巻き付いたままの状態を崩さずに植え付けるのが大切です。
植え付けたらすぐに防虫対策を行います。
大きくて厚みのある葉を広げるブロッコリーは成長に肥料をたくさん必要とします。花蕾が見え始めたら、チッソ成分の多い油粕を週に1度くらい追肥すると元気に育ちます。
株の中心にできるのが頂花蕾と呼ばれる部分です。頂花蕾が大きくなったら収穫しましょう。すると側花蕾が伸びて再び収穫できます。
ブロッコリーの収穫は包丁で行います。切るときには斜めに切ると水分がたまらず茎が腐りにくくなります。
プランター家庭菜園でとれたて野菜を楽しもう!
プランターで育てる家庭菜園はベランダや庭で始めやすく、管理もしやすいおすすめの方法です。しかし、限られたスペースの中で家庭菜園を行うためには、しっかりとした計画が必要なことがわかりました。
ご紹介した基礎知識や育て方を参考にして、ぜひ身近な場所で新鮮な野菜を育てて楽しんでみてくださいね。