ガーデニングに慣れてきた頃に、寄せ植えに興味を持つ人も多いのではないでしょうか。気候が穏やかな秋は、ガーデニングに適した季節です。
ここでは、きれいな秋の寄せ植えを作るポイントやお手入れのポイント、寄せ植えに必要な道具と選び方などを解説します。おすすめの植物も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
秋の寄せ植えの魅力
寄せ植えとは、種類の異なる複数の植物を同じ容器に植えて育てることです。夏や冬は植物にとって厳しい季節ですが、気候の穏やかな秋はガーデニングに向いています。秋から春にかけて楽しめるように、魅力的な寄せ植えを作りましょう。
きれいな秋の寄せ植えを作るポイント
きれいな秋の寄せ植えを作るには、植物選びと配置がポイントです。また、土の入れ具合にも気を配りましょう。
秋らしい植物と春に楽しめる植物を組み合わせる
植物は、開花期や紅葉する時期が決まっています。秋らしい植物と春に楽しめる植物を組み合わせると、季節によって印象の変わる寄せ植えになります。
秋の深まりを感じる頃になったら、春に楽しめる植物を植えましょう。例えば、耐寒性のあるパンジーなどの下に春に咲く植物の球根をしこんでおくと、あたたかくなってきた頃に、新しい花が顔を覗かせます。
生育環境が似た植物をそろえる
同じ条件を好む植物なら、1つの容器で無理なく管理できます。植物ごとに好ましい生育環境は異なります。仮に湿った環境を好む植物と乾いた環境を好む植物を一緒に植えても、水やりの条件を変えられません。植物について調べ、生育環境が似た植物をそろえましょう。
色・サイズ・形のバリエーションを豊かにする
秋の植物は、実や花、カラーリーフといったように彩り豊かです。見た目の異なる植物を植えると、寄せ植えの見栄えがよくなります。
同じ植物同士でも、花の色が異なれば華やかさが増します。開花期や紅葉する時期も考慮して、見ていて楽しい寄せ植えに仕上げましょう。
成長した様子をイメージして配置を考える
成長した様子をイメージして、植物を植える場所を決めましょう。上に伸びる、横に広がるなど、成長後の形はさまざまです。植え方によっては、寄せ植えのバランスが崩れてしまうかもしれません。
また、大きめの容器に間隔を空けて植えると、植物が成長するスペースを確保できます。
土を苗の間にしっかりいれる
寄せ植えに使う苗が多いほど、土が見えにくく隙間が生じやすくなります。しかし、しっかり土が入っていないと、苗が倒れたり、成長が悪くなったりする恐れがあります。葉を持ち上げ、箸のような細いもので土を隙間に押し込みましょう。
秋の寄せ植えのお手入れポイント
秋の寄せ植えのお手入れポイントを紹介します。日々丁寧にお手入れすると、寄せ植えを長く楽しめます。
1.水やり
水のやりすぎで植物の調子が悪くなる場合があります。夏と比べると、秋は土が乾きにくい傾向が見られます。水をやりすぎないように、土の湿り気を確認してから水やりしましょう。なお、外に寄せ植えを置いていれば、雨が降った日は水やりしなくて構いません。
2.置き場所
寄せ植えの置き場所は、植物の生育環境にしたがって決めます。日の当たり具合を確認してから、風通しのよい場所に寄せ植えを置きましょう。玄関先のように目に見える場所なら管理しやすく、病気や害虫などの異常をいち早く察知できます。
3.土と肥料
植物によって適した土は変わるため、植える植物に適した土を選びましょう。土には前もって培養土や肥料で栄養を混ぜておきます。培養土や肥料は植物に栄養を与えるだけではなく、害虫の予防・駆除にも効果的です。
長く花が咲く植物ほど、肥料を必要とします。花持ちを長くして花数を増やすため、植え付け後には定期的に肥料を足してください。
4.花がら取り
しぼんだ花は摘み取りましょう。花がらが残っていると見栄えが悪くなるだけではなく、栄養不足も心配です。咲き終わったあとに実をつけると、新しい花を咲かせたり、植物を成長させたりするはずの栄養が吸い取られてしまいます。また、花がらを放置すると、害虫がつきやすくなるためご注意ください。
5.切り戻し(剪定)
切り戻しの目的は、成長しすぎた植物を切って見栄えを整えて、元気な姿を取り戻させることです。葉や枝の混み具合を調整して通気性をよくするためにも、切り戻しは重要です。切り戻すと、切った部分から新しい芽が出てきます。
秋の寄せ植えに必要な道具と選び方
秋の寄せ植えに必要な道具や、鉢や鉢底用の石などのアイテムについて、おすすめのものを紹介します。
寄せ植えで使う道具
寄せ植えで使う基本的な道具はこちらです。
・土入れ:鉢に土を入れるために必要で、細いものがおすすめ
・園芸用ハサミ:茎や根を切ったりするために必要で、手のサイズに合う切れ味のよいものがおすすめ
・ジョウロ:水やりのために必要で、先端の「はす口」を着脱可能なものがおすすめ
・グローブ:手指を土や植物のトゲから守るために必要で、土が隙間から入らないようにフィット感のあるものがおすすめ
鉢
鉢は成長したあとの植物のサイズを考慮して選びます。寄せ植え用の鉢は、8号程度が一般的です。鉢のサイズは「号」という単位で表され、号1つ分が直径3cm程度です。10号の鉢ならば、直径30cm程度になります。
鉢は根が育つ場所であるため、素材の通気性や水はけも考慮して選びましょう。また、見栄えのよい寄せ植えを作るには、植物と素材の見た目のバランスも重要です。
鉢底用の石
鉢底用の石を、鉢の高さの5分の1程度まで入れておきましょう。鉢底用の石とは、水はけと通気性がよい石のことです。乾いた環境を好む植物を育てる場合は特、鉢底用の石が役立ちます。ネットに鉢底用の石を入れて使用すると、土と混ざらないため再利用しやすくなります。
鉢底ネット
鉢底ネットとは、土の流出や害虫の侵入を防ぐために使われるシートのことです。鉢底ネットと鉢底石を入れるネットは別ものなのでご注意ください。あらかじめ鉢底の穴のサイズに合わせて鉢底ネットをカットしておき、鉢底に敷いてから鉢底用の石をいれましょう。
秋の寄せ植えにおすすめの花3選
秋の寄せ植えにおすすめの花を紹介します。明るい色合いで、華やかな寄せ植えを作りましょう。
コスモス・ポットマム
コスモスは色や背丈のバリエーションが豊かです。ピンク、白、赤・黄色などの明るいものもあれば、チョコレートコスモスのように落ち着いた色合いのものもあります。
ポットマムは、スプレーマムを鉢植え用に改良したものです。小さな花びらが密集した、丸く個性的な花を咲かせます。
パンジー・ビオラ
パンジーやビオラは、いずれも開花期が長い花です。フリル咲きや八重咲きなど花の形がバリエーションに富んでいて、色合いもさまざまです。秋に植えれば春まで、鮮やかな色合いを楽しめるでしょう。
パンジーもビオラも小ぶりですが、パンジーの方が大きめの花を咲かせます。
ガーデンシクラメン、プリムラジュリアン
ガーデンシクラメンとプリムラジュリアンは、相性のよい組み合わせです。ガーデンシクラメンは背丈が高く、プリムラジュリアンは低めです。高低差を活かすと、バランスがよい寄せ植えになります。
ガーデンシクラメンは秋から春にかけて、赤や白、ピンクなどの花を咲かせます。プリムラジュリアンも秋から春にかけて開花し、カラフルな色彩が魅力的です。
秋の寄せ植えにおすすめのカラーリーフ3選
秋はカラーリーフが色づく季節です。秋の寄せ植えにおすすめのカラーリーフを紹介します。
【ヒユ科】アルテルナンテラ・ハゲイトウ
アルテルナンテラは暗めの色味のカラーリーフで、秋になると赤く色づきます。光によく当てるほど色づきがよくなるため、日当たりのよい場所で育てましょう。
ハゲイトウは黄と赤の色合いが鮮やかで、気温が下がるほど濃い色味になります。アルテルナンテラとハゲイトウは、いずれも寒さに弱い植物です。霜が降りるまでを目安に、彩りを楽しみましょう。
【キョウチクトウ科】ハツユキカズラ・テイカカズラ
ハツユキカズラは白とピンクの葉が不規則に混じったカラーリーフで、秋になると赤く色づきます。
テイカカズラは濃い緑の葉をしており、こちらも秋になると葉の色が赤く変わります。テイカカズラは、全ての葉が赤くなる訳ではありません。紅葉が進むにつれて、緑と赤のコントラストが目を引くようになります。
【ゴマノハグサ科】エレモフィラ・ヘーベ
エレモフィラの表面には短毛が密生し、全体が白っぽく見えます。冬から梅雨にかけてエレモフィラは開花期に入り、紫色の花を咲かせます。1年を通じて多様な表情を見せてくれるところは、エレモフィラの魅力です。
ヘーベは、葉の中央部と周辺部の色が異なります。気温が下がると、葉の色がしだいに暗く濃い色合いに変わっていきます。
秋の寄せ植えにおすすめの実物3選
秋ならではの実物も、寄せ植えに取り入れてみましょう。おすすめの実物を紹介します。
【ナス科】鑑賞用トウガラシ
赤や黄、オレンジ、紫など、鑑賞用トウガラシには1つの株にカラフルな実がなります。実の形も、ころんとした丸いものもあれば、細長いもの、大きなものなどバリエーション豊かです。なお、観賞用トウガラシは食用ではありません。食べないように注意しましょう。
【ツツジ科】ハッピーベリー
ハッピーベリーは、冬になるとツヤのある大きな実を結びます。赤や白、ピンクなどの実はインパクトがあり、彩りが少なくなりがちな時期に華を添えます。クリスマス飾りのアクセントにも、ハッピーベリーはおすすめです。
【ヤマゴボウ科】ジュズサンゴ
ジュズサンゴは、その名のとおり、赤や黄、ピンクなどの小ぶりな実が数珠のように連なっています。小ぶりな実を寄せ植えにちりばめると、かわいらしい雰囲気になります。
3ポットで作る秋の寄せ植えのアイディア
たくさんの苗を組み合わせようとすると、デザインがまとまらないかもしれません。寄せ植えのデザインが決まらないときは、3ポットで作るシンプルな寄せ植えがおすすめです。
トライアングルを意識して苗を配置すると、デザインが安定しやすくなります。特に、背丈の違う植物を組み合わせると、メリハリが出て見栄えがよくなります。
まとめ
きれいな秋の寄せ植えを作るには、色やサイズ、形、開花期などにバリエーションを持たせましょう。生育環境の合う植物を選び、水やりをして適時花がら取りや切り戻しをすると、見栄えのよい状態を長く楽しめます。土入れやじょうろなど、基本的な道具を準備して寄せ植えを始めましょう。
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