サツマイモは栽培に手間がかからないため、家庭菜園でも気軽に育てやすいです。甘くておいしいサツマイモを自分の手で育てれば、より一層おいしく感じられるでしょう。この記事では、家庭菜園でサツマイモを育てる手順やコツについて解説します。サツマイモの栽培を失敗しないための方法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
家庭菜園でサツマイモを育てよう
サツマイモは家庭菜園で育てやすい野菜です。ここでは、サツマイモの魅力を解説します。
サツマイモの魅力
サツマイモを栽培する魅力は、手間をかけずにおいしく育てられるところです。サツマイモにはビタミンCや食物繊維が豊富に含まれており、甘さもあります。サツマイモを春に植えれば、秋には収穫可能です。
ただし、サツマイモは比較的育てやすいですが、状況によっては思うように育たない場合もあります。たとえば、ツルが伸びすぎたり、小さなサツマイモしかできなかったりするトラブルもあるため、後述するポイントを押さえて栽培しましょう。
サツマイモの品種
サツマイモの品種はさまざまあります。ここでは、サツマイモの品種について解説します。
サツマイモは品種によって味が違う
サツマイモにはさまざまな品種があり、国内では40種類ほどが栽培されています。品種によって味や食感が違うため、料理の向き不向きもそれぞれ異なります。また、育てやすさにも品種による差があります。
以下ではサツマイモの具体的な種類とその特徴について解説するため、品種選びの参考にしてください。
紅あずま
紅あずまは、サツマイモの定番の品種で、スーパーなどにも多く出回っています。紅あずまは他のサツマイモよりも丈夫で、生育も早いというメリットがあるため初心者でも育てやすい品種です。食感はホクホクしており、焼き芋として食べると特においしいです。
紅はるか
紅はるかも、メジャーな品種の1つです。紅はるかは収量が多く、ネコブセンチュウという寄生虫への抵抗があるのが特徴です。繊維質が多く、甘くてねっとりしています。後述する追熟に時間をかけると、より甘さが強くなります。
鳴門金時
鳴門金時は関西で人気のサツマイモで、食感はホクホクしています。上品な甘さが特徴的です。鳴門金時は生育が早いため、家庭菜園の初心者でもスムーズに育てられます。
安納いも
安納いもは、鹿児島で定番のサツマイモです。ねっとりとした食感が魅力的で、焼きいもとしてよく食べられています。サツマイモのなかでは栽培の難易度が少し高いと言われていますが、基本的な栽培方法とあまり変わりません。ただ、他のサツマイモと比べて乾燥に弱いため、雨が少ない植え付けでは水やりをするなど、保湿管理が必要です。
シルクスイート
シルクスイートは、「春こがね」と「紅まさり」という2つの品種をかけあわせて作られた品種です。ホクホクとねっとりの2つの食感をあわせ持っています。栽培方法は他のサツマイモとあまり変わりませんが、貯蔵性が高いため2〜3ヶ月ほど寝かせて熟成させた方が甘味が増して美味しくなります。
パープルスイートロード
パープルスイートロードは、濃い紫色のサツマイモです。ホクホクとした食感を楽しめ、紫芋の中では高い糖度をほこります。パープルスイートロードは収量が多いため、家庭菜園初心者でも正しく育てれば、たくさんの収穫が可能です。
家庭菜園でサツマイモを育てる手順
家庭菜園でサツマイモを育てるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、家庭菜園でサツマイモを育てる手順を解説します。
苗の準備
サツマイモの苗は、4月下旬頃になるとお店で販売されます。茎が太く、葉に厚みがあって色が濃い苗を選びましょう。また、5〜8節程度の節が詰まっており、20〜30cm程度の長さがあるものがよいです。
苗を購入するタイミングは、植え付けの直前がおすすめです。苗を購入したら水をはったバケツに入れ、日陰に置いておきましょう。
土づくり
サツマイモを栽培するうえで特に重要なポイントは、土づくりです。土を耕して高さ20~30cmの高畝を作りましょう。
サツマイモは、通気性が高くて乾燥した砂壌土でよく育ちます。サツマイモは養分を吸収する力が高いため、改めて肥料を与える必要はありません。根を深く張り、もともと土にある養分を必要な分だけ吸収します。また、サツマイモの栽培に適している土壌の酸性度は、5.5〜6.0pH程度です。
植え付け
厳密にいうと、サツマイモの植え付け時期は種類によって異なります。ただし、多くの品種の植え付け時期は、5~6月頃です。平均気温が18度程度で地温が15度以上になれば、植え付けができます。また、サツマイモを植え付けるときは、土がよく湿っている必要があります。雨が降ってから2~3日後が最適です。
サツマイモの栽培を楽にするにはマルチングもおすすめです。マルチングとは、マルチと呼ばれるビニールを苗に被せて地温を確保する方法を表しています。
サツマイモの植え付けにはさまざまな方法があるため、以下でそれぞれ解説します。
斜め植え
斜め植えは、最も一般的なサツマイモの植え方です。苗が斜めになるよう植える方法で、サツマイモの個数が多くなります。根が横に伸びるため、サツマイモの形は細長いです。収穫時期は早くなります。
垂直植え
垂直植えは、苗の根本を10cm程度の深さまで突き刺す植え方です。地面に突き刺すだけで簡単に植え付けできます。収穫量は少なめですが、大きくて丸いサツマイモになります。収穫時期も早めです。
水平植え
水平植えも、よく行われているサツマイモの植え方です。苗の先端を地上に出し、それ以外の部分は地表と並行になるように植えます。サツマイモのサイズは小さめになりますが、収穫量は多いです。
船底植え
船底植えは、苗の両端を浮かせる、水平植えから派生した植え方です。耕作面積が少ない場合におすすめの植え方であり、家庭菜園に向いています。植え付けには手間がかかりますが、乾燥や寒さに強いです。
つる返し
つる返しとは、株元以外のつるを地面からはがし、葉の上に乗せる作業です。つる返しはつるぼけを防ぐために行います。つるぼけとは、つるが伸びてばかりで、サツマイモがうまく育たないことを意味しています。つるぼけが起きる主な原因は、水のやりすぎや水はけの悪さなどです。また、土壌の窒素が多すぎるせいでつるぼけが発生する場合もあります。
つる返しは、サツマイモを植えてから約2ヶ月後の夏から秋にかけて行いましょう。
収穫
サツマイモは、植え付けてから110〜140日程度で収穫できます。土が湿っている状態で収穫すると傷がつきやすく、土が乾いているときに収穫するとよいです。掘り出したサツマイモを乾かす必要もあるため、張れた日の午前中がおすすめです。サツマイモの表面がよく乾いたら保存しましょう。
サツマイモの家庭菜園で気をつけるポイント
ここでは、サツマイモの家庭菜園で気をつけたいポイントを解説します。
雑草をこまめに取り除く
サツマイモを植え付けたばかりのうちは、雑草をこまめに取り除きましょう。マルチングをしていても、雑草は生えてきます。サツマイモを栽培するうえで雑草の除去は重要であるため、植え付けから1ヶ月程度経過したら除草作業を始めてください。
雑草を放置しているとサツマイモに日が当たりにくくなり、成長を妨げる原因になります。病気や害虫が発生するリスクも高まるため、注意が必要です。なお、つるが伸びてくれば雑草は生えにくくなります。
サツマイモの病気に注意する
家庭菜園でサツマイモがかかりやすい病気は、つる割病、黒斑病、基腐病、立枯病などです。つる割病はカビが原因で発生し、植物を枯らします。黒斑病もカビによって引き起こされる病気であり、黒褐色の病斑が現れます。基腐病も原因はカビで、茎が黒く変色する病気です。さらに、立枯病は土壌菌が原因となって発症します。葉の色が赤紫や黄になってしおれる病気です。
サツマイモの害虫に注意する
サツマイモの家庭菜園においては、害虫にも注意が必要です。たとえば、アブラムシが発生すると、サツマイモの養分を吸い取ったり、ウイルス制の病気を媒介したりする恐れがあります。また、コメツキムシの幼虫であるハリガネムシがつくと、土の中でサツマイモの食害が発生します。
・ヨトウムシ、イモキバガ、ナカジロシタバは、いずれもサツマイモの葉などを食べる害虫です。成虫が卵を産み付けて繁殖するため、気付いた時点で早めに駆除する必要があります。
サツマイモをおいしく食べる方法
ここでは、家庭菜園で育てたサツマイモをおいしく食べる方法を解説します。
追熟で甘味アップ
サツマイモは、収穫した直後はそれほど甘くありません。サツマイモの甘味をアップさせるには、追熟がおすすめです。乾燥した状態で日光に当てず、は10〜15度程度の温度で貯蔵しましょう。追熟が完了するまでには1〜2ヶ月程度かかります。
おいしい食べ方
サツマイモは焼く食べ方が定番ですが、他にも幅広い食べ方があります。甘さを活かしておやつとして食べる場合は、スイートポテト、サツマイモチップス、大学芋なども人気です。また、食事として食べる場合は、ポテトサラダ、グラタン、天ぷら、炊き込みご飯など、さまざまな食べ方があります。
まとめ
サツマイモは基本的に育てやすく、初心者でも家庭菜園でおいしく育てられます。さまざまな品種があるため、食べたい食感のサツマイモを選んで栽培してみましょう。追熟したり食べ方を工夫したりすれば、自分で育てたサツマイモをよりおいしく食べられます。
農業屋は、家庭菜園や農業に必要なものを扱っているお店です。家庭菜園や農業に関することなら何でも相談できます。植付時期には、多く品種のサツマイモ苗が入荷します。