鍋やスープに欠かせない野菜である、白菜。家庭菜園やガーデニングで育てる人も多いですが、害虫の被害に悩んだ経験はありませんか?
白菜を好む害虫は多いので、発生時期や対処法についてまとめました。白菜を栽培中の人やこれから栽培に挑戦したい人は必見です。
目次
白菜の栽培でつく害虫とは?
最初に、白菜を栽培するときにつきやすい害虫をご紹介します。害虫の種類を知ることで、白菜に虫を発見したときに慌てず対処ができるでしょう。
ハイマダラノメイガ
ハイマダラノメイガは、白菜のほかにキャベツやカブ、大根などのアブラナ科の作物を好んで食べる害虫です。
成虫が野菜の葉や茎に産卵し、孵化した幼虫は白菜の結球部に潜り込みます。旺盛な食欲で作物を食べ尽くしてしまうので、家庭菜園で1匹でも見つけたら注意が必要です。
幼虫時の特徴 | 体長約15mm・頭部が黒く、乳白色の体に褐色の線がある |
発生しやすい条件 | 気温が高く、降水量が少ない夏に大量発生しやすい |
コナガ
白菜やキャベツにキレイな緑色の青虫を見つけたら、それはコナガの幼虫です。成虫が葉裏に産卵し、孵化した幼虫は葉の内部から食害していきます。
成長すると、葉の表面を残し裏のみを食べるという特徴的な虫食い跡が残るため、すぐにコナガの仕業だとわかるでしょう。
幼虫時の特徴 | 体長約5〜10mm・鮮やかな緑色の青虫 |
発生しやすい条件 | 5月〜11月・雨が少なく乾燥した環境を好む |
カブラハバチ
幼虫のみが白菜などのアブラナ科の野菜に食害を与え、別名「ナノクロムシ」とも呼ばれています。
食害の跡はヨトウムシに似ていますが、カブラハバチの幼虫は太い葉脈を残して新しい葉のみを食べるという特徴があります。
幼虫時の特徴 | 体長約15〜18mm・真っ黒いイモムシ。触ると丸くなり落下する習性がある |
発生しやすい条件 | 涼しい環境を好み、平地では春と秋に、高冷地では夏〜初秋に発生しやすい |
ヨトウムシ
幼虫が活動するのが主に夜のため、「夜盗虫」という意味から「ヨトウムシ」と名付けられた害虫です。
幼虫は葉の裏部分を中心に集団で食害をし、その旺盛な食欲で作物の葉を白く透けた状態にしてしまいます。窒素で生成されるアミノ酸を好むので、窒素成分の少ない肥料で白菜を育てると発生しにくいでしょう。
幼虫時の特徴 | 体長約20〜40mm・褐色〜黒褐色 |
発生しやすい条件 | 涼しい環境を好み、4月〜6月と9月〜10月に発生する |
アブラムシ
トマトや玉ねぎなどの野菜にも寄生することで知られ、季節関係なく一年中発生します。
針のような口で葉や果実を刺し、栄養を吸い取る吸汁性害虫です。針を刺す際、植物が持つウィルスをほかの植物に移してしまうため、病気の媒介者としても嫌われています。
成虫の特徴 | 体長約2〜4mm・卵は10日で成虫になる |
発生しやすい条件 | 季節を問わず発生し、風通しの悪い密集した環境で増えやすい |
アオムシ
学術的には「アオムシ」という種類の虫は存在しません。幼虫時代の体が緑色をしたものが、総称してアオムシと呼ばれています。
モンシロチョウやアゲハチョウの幼虫でよく見られ、葉脈を残しながら食べるのが特徴です。
幼虫時の特徴 | 体長は種類により大小さまざま・体に細かい毛が生えている |
発生しやすい条件 | 春から秋に発生しやすいが、夏は活動量が減る |
ハクサイダニ
春や秋に発生しやすい害虫が多いなか、11月〜12月という寒い時期に活発に動くのが、ハクサイダニです。冬に旬を迎える白菜にとって、天敵といっても過言ではないでしょう。
白菜のほか、小松菜やほうれん草などの葉物野菜も好んで食べます。
成虫の特徴 | 体長約0.7mm・胴体は黒、脚は暗赤紫色 |
発生しやすい条件 | 気温が低い環境を好む・10月〜11月に孵化し、11月〜12月に成虫になる |
ハムシ類
葉虫は、昆虫目・ハムシ科に属するムシの総称です。ダイコンハムシやウリハムシなどの品種が存在し、多くが野菜の葉を好んで食べます。
家庭菜園やガーデニングで栽培される多くの作物に寄生し、根から葉、茎や蕾まで食べ尽くしてしまう、厄介な害虫です。
成虫の特徴 | 体長は種類により大小さまざま・体色も青や黄色、オレンジなど多様に存在 |
発生しやすい条件 | 一年中発生するが、とくに春〜夏に活発に動く |
害虫の発生時期と対策が必要な理由
害虫はそれぞれ生態が異なりますが、多くは活発に動き回る季節が決まっています。害虫を退治するには、発生時期をしっかり把握することが重要です。
発生時期を狙い、まだ若い幼虫の間に駆除することで、作物への被害が小さく抑えられるでしょう。
具体的な白菜の害虫対策
白菜に寄生する害虫についてわかったら、具体的な対策も知っておくとよいでしょう。
主な害虫対策のポイントは、2つです。
害虫の飛来を防ぐ
害虫は、なにもない場所から出てくるわけではありません。白菜がある場所へ、成虫が飛来してくることで食害が発生するんです。
そのため、害虫が飛来してくることを防ぐことが有効な対策となります。
飛来を防ぐのにおすすめの対策は、4つ。
- 防虫ネットや寒冷紗で白菜を覆う
- 殺虫剤を散布しておく
- 木酢液を散布しておく
- コンパニオンプランツとしてレタスを植える
防虫ネットや寒冷紗を使用すれば、害虫は物理的に白菜に近づけないので効果は抜群です。
見た目が気になる人は、害虫が近づけないように殺虫剤や木酢液を散布するだけでも害虫の防除になります。
そしてレタスには、アオムシやコナガが嫌う特有の香りを放つ性質があるため、白菜の隣に植えれば防虫効果が期待できるでしょう。
雑草を取り除く
白菜を栽培する菜園やプランターに雑草が茂っている状態だと、害虫が発生する原因になってしまいます。
繁殖した害虫は、食べるものを求めて白菜へやってくるでしょう。白菜の周りの雑草は、日頃から溜めないように手入れを怠らないことが大切です。
白菜に虫がついている時の取り方
白菜に寄生した害虫は、薬剤を使わなくても簡単に取れます。最後に、初心者でもできる駆除方法をまとめたので、覚えておきましょう。
50度洗い
収穫した白菜は、50度のお湯で洗い流しましょう。50度という温度がコツで、お湯につけると白菜の葉表面にある気孔が開き、水分を取り込みやすくなります。
害虫駆除になるだけではなく、白菜の食感も良くなるので、一度試してみてください。
まるごとバケツにつける
白菜をまるごとバケツのなかに入れておくのも、害虫駆除に効果的です。
浸す時間の目安は、3時間。放置しておくだけで、白菜の葉っぱのすき間にいる害虫が浮いてくるので、食べる前に行いましょう。
酢を入れた水につける
害虫とともに除菌もしたいなら、酢水を使用するとよいでしょう。
酢水には殺菌力があるため、収穫した白菜をつけておくだけでOK。何度か洗い、虫が出てこなくなったら最後にしっかり洗い流せば完了です。
重曹で洗う
重曹を溶かした水を用意し、白菜を洗うときに使うのもおすすめです。
重曹は食べ物用のものを使用すれば、口に入っても害はないので安心。農薬も一緒に洗い流してくれるため、作物を洗うときには使ってみましょう。
塩水で洗う
塩水は、酢水と同じく殺菌効果があるので、害虫対策に効果的です。
洗い方は簡単。塩を混ぜた水に白菜をいれてジャブジャブするだけで、害虫は自分から這い出してきます。塩はもともと食材なので、安心して使えるのが嬉しいですね。
まとめ
白菜は、一年中さまざまな虫が害を与える可能性があります。葉に食害の症状を見つけたら、まずは害虫の正体を突き止めましょう。
犯人がわかれば、種類に合った駆除ができるため、退治するのは難しいことではありません。白菜の栽培方法とあわせて害虫の駆除方法も知ることで、家庭菜園でも美味しい白菜が作れるでしょう。
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