トマトやミニトマトは、病気にかかると茎や葉に症状があらわれることがあります。
家庭菜園で育てるトマトの葉や茎が茶色や変色したときは、どうすればよいかご存知でしょうか?
今回は、トマトに発生しやすい病気とその被害内容をご紹介します。
茎や葉に発生しやすい病気と、株全体に症状が出る病気をそれぞれまとめました。トマト栽培の成功率がグッとアップすること間違いなしです。
目次
トマトの茎葉に発生する病気
まずは、トマトの茎や葉に症状があらわれる病気について解説します。
病気によって症状が異なるので、それぞれの特徴を覚えておきましょう。
灰色かび病
茎と葉を中心に、灰色のかびが発生する病気です。対策が遅れると、茎や葉だけではなく株全体に被害が拡大し、最終的に枯死します。
灰色かび病が発生しやすい条件は、気温23℃・多湿状態だといわれているので、風通しのよい環境で栽培しましょう。
うどんこ病
主に葉の表面に、うどんの粉をまぶしたような白い粉があらわれる病気です。
糸状菌というカビの一種が原因で、近くにうどんこ病に寄生された株があると、菌が風に乗って飛んでくることで感染します。
うどんこ病は、肥料に含まれるチッ素成分が多いと発生率がアップするのが特徴です。そのため、チッ素成分の少ない肥料を使えば発生する確率が減るでしょう。
疫病
葉や茎のほか、果実にも症状があらわれるのが、疫病です。葉が褐色になる症状が、下葉からはじまり、徐々に上のほうへ進んでいきます。
梅雨の時期、雨が続き湿度が高くて気温の低い日が多くなると、疫病が発生しやすいといわれています。
また、土壌中で増殖した菌が、雨や水やりのときに下葉に跳ね返ることで下葉から感染するので、土の表面を覆うマルチングという作業をしておくのも効果的です。
トマトの株全体に発生する病気
続いて、発生すると症状がトマトの株全体にあらわれる病気について解説します。
症状が出ているにもかかわらず放置すると、生育を阻害する病気もあるので、発症をすぐ気付けるようにしておきましょう。
青枯病
培養土に潜んでいる青枯病菌が、根から感染するのが特徴。根から侵入した青枯病菌は、導管を通り株全体にまわりながら増殖していきます。
青枯病が増えると、導管は水分吸収を阻害されるため、株が少しずつ枯死してしまうでしょう。青枯病菌は気温が高くなる夏場に活発化するので、25℃以上になる時期は要注意です。
青枯病には、土壌温度が高温にならないようマルチングしたり排水性を高めたりといった対策が効果的です。
発病すると、近くの植物に次々と感染するなど非常に厄介なので、感染しないようにしましょう。
モザイク病
トマトの葉や果実に、モザイクがかかったような斑点の症状があらわれたら、モザイク病の感染を疑いましょう。
モザイク病は、主にアブラムシが媒介するといわれています。そのため、アブラムシを寄せ付けないようにするのが効果的な対策です。
防虫ネットや寒冷紗などで株を覆ったり、天敵のテントウムシを放ったりするとよいでしょう。
モザイク病が発症すると、病原菌を取り除くことは不可能だといわれています。
発病してからでは手遅れになってしまうので、アブラムシ対策を積極的に行いましょう。
黄化葉巻病
元気だったトマトの葉が黄色くなり、表に向かって巻くような形になったら、黄化葉巻病に感染したと考えられます。黄化葉巻病は、症状が進むと葉が縮れていくのが大きな特徴です。
黄化葉巻病の感染原因となるのは、タバココナジラミという害虫になります。
発病すると、薬剤などで菌を殺すことは難しいため、防虫ネットや寒冷紗を使いタバココナジラミを寄せ付けないよう栽培するのがもっとも有効な対策です。
病気以外の要因にも予防対策
トマトに異常が出るのは、病気だけが原因とは限りません。
病気に感染する以外の要因をご紹介しますので、予防方法と合わせてチェックしておいてください。
連作を避ける
トマトをはじめ、野菜には連作障害があります。
連作障害とは、一度野菜を栽培した場所で再度同じ野菜を育てたり特定の野菜を育てたりすると、野菜が成長しにくくなるという生理障害です。
トマトが連作障害を起こす可能性がある野菜には、以下の3つがあります。
- ナス
- ピーマン
- ジャガイモ
上記3品種の野菜は、トマトと同じナス科であるのが特徴です。
野菜としての科目が同じ場合、成長に必要な栄養素がかぶるため、土壌中に次に育てる野菜の栄養素が足りなくなってしまうと考えられています。
カルシウム不足
植物は、成長するにあたって人間と同じようにカルシウムが必要です。
カルシウムが不足すると、株全体に悪影響を及ぼします。カルシウム不足により見られる代表的な症状が、尻腐れ病です。
尻腐れ病とは、感染初期にトマトの実が下のほうから腐っていく症状が出ますが、病気ではありません。カルシウムが不足したことで見られる生理障害で、トマトのほかピーマンやナスに発症しやすいといわれています。
カルシウム不足を防ぐには、土壌に苦土石灰をまくのが効果的です。
植え付けのタイミングで培養土に苦土石灰をすきこんでおく・追肥で与えるなど、成長に合わせてその都度栄養を与えましょう。
マグネシウム不足
葉が黄色くなる症状があらわれたら、マグネシウム不足になっている可能性が高いでしょう。黄色くなった葉を放っておくと枯死しはじめ、そこから株全体に症状が広がっていきます。
トマトがマグネシウム不足になる原因は、以下の3つです。
- カルシウムやカリウムを含む肥料の与えすぎ
- 気温・湿度が高い
- 日照不足
上記3つの要素でトマトはマグネシウム不足になりやすいので、栽培時には注意しましょう。
病気になったトマトは食べられる?
トマトが病気になった場合、心配なのは実が食べられるのかということですよね。結論からいうと、病気に感染したトマトの実は、基本的に食べられます。
今回紹介した、うどんこ病・青枯病・モザイク病などは、病気による症状が出るのは葉や茎なので、実は食べても問題ないでしょう。植物には悪影響ですが、人間に影響はありません。
実に症状が出る尻腐れ病は、見た目が悪いので食べるのを躊躇してしまう人もいるでしょう。しかし、人体に影響はないので、茶色くなった部分を取り除けば食べられます。気にならないなら、ぜひ食べてみてください。
まとめ
トマトの茎や葉に症状があらわれる病気は、以下の3つがあります。
- 灰色かび病
- うどんこ病
- 疫病
葉や茎の色が変色するなど明らかに異常が出るので、発病していることはすぐに気付けるでしょう。しかし、いずれも症状が出てからではもとの状態に回復するのは難しいので、予防が大切です。
今回は、病気の種類や症状と合わせて防除方法も解説していますので、病気に感染しないよう栽培しましょう。
少し栽培時に気をつければ発病をおさえられるので、初心者でも栽培を失敗する可能性が減りますよ。